MIBGシンチグラフィ検査(MIBGスキャン)とは
概要
MIBGシンチグラフィは、体の中の特定の細胞の働きを画像で見るための検査です。「MIBG(エムアイビージー)」は、体の中で神経のような働きをする細胞に取り込まれやすい、ごく微量の放射性の目印(トレーサー)です。これを腕の静脈から注射し、少し時間をおいてからカメラで体全体を撮影します。目印が集まっている場所を調べることで、副腎(腎臓の上にある小さなホルモン腺)などにできた腫瘍(褐色細胞腫など)や、小児の神経芽腫(しんけいがしゅ)という腫瘍の有無や広がりを確認したり、心臓の神経の働きを見たりするのに使われます。
重要な事実
- 検査そのものは「診断を決める」ものでも「治療」でもなく、体の状態を写真に写し出す検査です。
- 放射性の目印はごく微量で、ふつう数日のうちに体内から自然に減っていきます。
- 注射から撮影まで数時間かかることが多く、当日に2回撮影することもあります。
- 専門の設備がある病院で行われ、結果の説明までに数日から1〜2週間かかることがあります。
ふだんの健康診断で行われる検査ではありません。褐色細胞腫や神経芽腫が疑われたときなど、必要な方だけが受ける専門的な検査です。
血圧の発作や動悸などの症状があり副腎の腫瘍(褐色細胞腫)が疑われる方、小児の神経芽腫が疑われるお子さん、神経内分泌腫瘍(神経からホルモンを作る細胞にできる腫瘍)の広がりを確認したい方、心臓の神経の働きを調べたい方が対象になります。年齢を問わず行われます。
症状
- 血圧が非常に高く、激しい頭痛・胸の痛み・息苦しさ・意識がもうろうとする・けいれんがある(ためらわず119番へ)
- 突然の強い腹痛や背中の痛みで立っていられない
- 呼吸が苦しく、顔色が明らかに悪い
- ⚠動悸・汗・頭痛を伴う血圧上昇の発作が繰り返す
- ⚠血圧が高い状態が続き、薬を使っても下がりにくい
- ⚠子どものおなかのしこりや、原因不明の体重減少がある
一般的な症状
- 発作的に血圧がとても高くなる(数分〜数十分でおさまることが多い)
- 動悸、たくさん汗をかく、頭痛、強い不安感がセットで起こる
- 原因がはっきりしない高血圧が続く
- 体重が減る、疲れやすい
- おなかにしこりを感じる
子供の症状
- おなかが張る、おなかにしこりを触れる(神経芽腫では腹部に多い)
- 理由のない機嫌の悪さ、食欲低下、体重が増えない
- 骨や関節の痛み、歩きにくさ
- 目のまわりにあざのような色づきが出ることがある
- 発熱やだるさが続く
高齢者の症状
- 以前はなかった高血圧が急に始まる
- 動悸や冷や汗を伴う血圧の上昇を繰り返す
- ほかの病気の薬を飲んでいることが多く、検査前に薬の確認が必要になる
原因
主な原因
- 副腎にできる腫瘍(褐色細胞腫)が疑われるとき
- 小児の神経芽腫が疑われるとき、または治療後の確認
- 神経内分泌腫瘍の広がりを確認したいとき
- 心臓の交感神経(心臓を活発にする神経)の働きを調べたいとき
リスク要因
- 褐色細胞腫・神経芽腫・神経内分泌腫瘍と診断された、または疑われている
- 複数の内分泌腺に腫瘍ができる遺伝性の病気などの家族歴がある
- 血圧の発作、動悸、発汗、頭痛が繰り返し起こる
- 小児で腹部のしこりや原因不明の体重減少がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 動悸・冷や汗・頭痛を伴う血圧上昇の発作が繰り返すとき
- 血圧が高い状態が続き、日常生活がつらいとき
- お子さんのおなかにしこりを触れる、体重が増えない状態が続くとき
定期受診を予約すべき場合:
- 家族に褐色細胞腫や遺伝性の病気の方がいる
- 検査の結果や今後の方針について詳しく聞きたい
- 検査の前に飲んでいる薬やサプリメントの確認をしたい
診断
MIBGシンチグラフィは、単独ではなく、血液検査・尿検査・CT・MRI・超音波検査などと組み合わせて使われます。検査が必要かどうか、いつ行うかは、症状やこれまでの検査結果をもとに主治医が判断します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査・尿検査:ホルモン(カテコラミンなど)の値を調べます
- CT・MRI・超音波検査:腫瘍の位置や大きさを見ます
- MIBGシンチグラフィ:今回の検査です
- 必要に応じて、遺伝についての検査や、組織を採って詳しく調べる検査
診察で予想されること
腕の静脈から放射性の目印を注射し、数時間待ってから撮影します。撮影は20〜60分ほど、ベッドに横になってカメラの下でじっとしているだけです。多くは翌日にもう一度撮影します。甲状腺を守るためのお薬を検査前に使うことがあり、また一部の薬は検査の前に休む必要があるため、飲んでいる薬は必ず医師に伝えてください。妊娠中・妊娠の可能性がある方・授乳中の方は事前に相談しましょう。検査後はふつうに日常生活を送れます。結果は数日〜2週間ほどで説明されます。
治療
MIBGシンチグラフィは検査であって治療ではありません。結果をもとに、腫瘍があるかどうか、広がりはどうかを主治医が判断し、その後の方針を一緒に決めていきます。
自宅でのセルフケア
- 検査前に食事を抜くよう指示された場合はそのとおりにする
- 飲んでいる薬・サプリメントのリストを用意して持っていく
- 検査後は水分を多めにとり、指示があれば授乳や小さなお子さんとの長時間の接触について確認する
- 血圧の記録や症状のメモをとっておき、受診日に見せる
医療治療
腫瘍が見つかった場合の治療は、腫瘍の種類・場所・広がり、年齢や体の状態によって変わります。手術で取り除く、薬で腫瘍の働きを抑える、放射線を当てる、経過を見ていくなど、いくつかの方法を組み合わせることがあります。具体的な方法と順番は主治医と相談して決めます。
手術が検討される場合
腫瘍の場所や広がりによっては、手術で取り除くことが検討されます。手術が難しい場所にある場合や広がりがある場合は、別の方法を組み合わせることがあります。
この病気と共に生きる
検査のあとは、ふつうはすぐにいつもの生活に戻れます。体内の放射性の目印は時間とともに減っていきますが、念のため検査の日は水分を多めにとり、授乳中の場合や小さなお子さんと長時間接する場合は医師の指示を確認してください。
生活習慣のアドバイス
- 血圧を毎日決まった時間に記録する
- 動悸・汗・頭痛が起きた時刻と続いた時間をメモする
- 処方されている薬を自己判断でやめたり減らしたりしない
- 検査結果や聞きたいことをメモして受診日に持っていく
食事と運動
特別な食事制限はありませんが、血圧が高いと言われている方は減塩を心がけ、医師の指示に沿って無理のない範囲で体を動かしましょう。検査の前に食事を抜くよう指示される場合があります。
精神的健康と心の健康
結果を待つ間は、不安で落ち着かないのが自然です。一人で抱え込まず、家族や友人、医療スタッフに気持ちを話してみてください。眠れない日が続く、気持ちが沈み続けるなどつらい状態が続くときは、早めにかかりつけ医やお住まいの地域の相談窓口に連絡してください。つらい気持ちが強いときは、ためらわず医療機関や地域の相談窓口を頼ってください。
予防
MIBGシンチグラフィは検査なので、「受けること自体を予防する」という考え方はありません。ただし、関係する腫瘍を早い段階で見つけるために、気になる症状を我慢せず受診することが大切です。
検診プログラム
症状がない方にこの検査を routine に行うことはありません。家族に褐色細胞腫や遺伝性の病気の方がいる場合は、遺伝カウンセリングや、どの検査をいつ受けるかについて主治医に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 腫瘍があっても気づかれず、発見が遅れることがある
- 腫瘍の広がりが把握できず、治療の方針を立てにくくなる
- 血圧の発作が繰り返し、日常生活に支障が出ることがある
長期的な見通し
MIBGシンチグラフィは、体の状態をよく知るための検査です。結果が分かることで、必要な対応を早く始められます。多くの場合、検査そのもので体調が悪くなることはなく、結果をふまえて主治医と一緒に次の一歩を決めていけます。
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最終更新: 2026年11月3日
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