SEEG検査(頭の深い部分の脳波を調べる検査)ってどんな検査?
概要
SEEG(エスイーイージー)は「定位的(ていい的)頭蓋内(ずがいない)脳波検査」とも呼ばれる検査です。頭の骨に数ミリの小さな穴をあけ、とても細い電極(電気を感じ取る針のようなもの)を脳の深い部分まで入れ、数日間そのまま留置して脳の電気的な動きを記録します。おもに、てんかん(脳の電気の乱れで発作が起きる病気)の手術を考えている人が、発作がどこから始まるのかを詳しく調べるために行います。頭の表面につける普通の脳波検査では届かない、脳の奥の様子を知ることができるのが特徴です。
重要な事実
- 脳の深い部分の電気活動を、数日間かけて直接記録する検査です。
- 検査そのものは治療ではなく、これからの治療方針を決めるための「調べる」ステップです。
- 通常は数日から2週間ほどの入院が必要で、検査中にあえて発作を起こして記録することがあります。
- 経験のある脳神経外科・てんかん専門チームが行う、専門性の高い検査です。
とても一般的な検査ではありません。てんかんのある人全体から見ると、SEEGが必要になるのはほんの一部の人です。多くの人はまず脳波検査やMRIなどの検査で十分な情報が得られます。
おもに、てんかんの薬をいくつか試しても発作が十分に抑えられず、手術を考えている人に行われます。MRI(磁気共鳴画像)では原因がはっきりしない場合や、発作の始まる場所が脳の奥深くにあると考えられる場合に検討されます。子どもから高齢者まで、必要に応じて行われます。
症状
- けいれん発作が5分以上続いている、または短い発作をくり返して意識が戻らない(すぐに119番)
- 呼吸が苦しそう、唇や顔色が青白い、息が止まっているように見える
- 検査後に頭を強く打った、または激しい頭痛・何度も吐く・意識がぼんやりしている
- 高熱と首の硬さ、光がまぶしいと感じるなど、普段と明らかに違う様子がある
- ⚠38度以上の発熱がある
- ⚠電極が入っている部分が赤く腫れてきた、膿のようなものが出ている
- ⚠頭痛や吐き気がだんだん強くなってきた
- ⚠ふだんより発作の回数が明らかに多い、または発作の様子が違う
一般的な症状
- この検査は「症状」ではなく、次のような状況のときに検討されます。
- 何種類かのてんかんの薬を試しても発作が続いている
- ふだんの脳波検査やMRIだけでは、発作が始まる場所を絞り込めない
- 発作の始まり方が人によって違う、あるいは検査の結果が食い違っている
- 手術で取り除ける場所かどうか、詳しく確かめたい
子供の症状
- 小児でも必要に応じて行われます。全身麻酔で電極を入れるため、事前に小児科・麻酔科の医師と相談します。
- 入院中は保護者の付き添いが決められていることが多く、子どもの不安に寄り添えるよう準備しておくと安心です。
- 検査中は安静が必要な場面があるため、退屈しのぎの道具や好きな本を持参すると過ごしやすくなります。
高齢者の症状
- 高齢の方は、血圧や心臓の病気、血液を固まりにくくする薬を使っているかどうかが事前に確認されます。
- 出血や感染のリスクを慎重に見極めるため、ふだん飲んでいる薬は必ず医師・薬剤師に伝えてください。
- 入院中は体力が落ちやすいので、ベッド上での過ごし方やリハビリについても相談できます。
原因
主な原因
- この検査が必要になる背景には、てんかんの発作が薬だけでは抑えきれず、手術を視野に入れた検討が必要になったことがあります。
- 脳の表面の脳波だけでは、発作が始まる場所を十分に絞り込めないことがあります。
- MRIで明らかな異常が見つからない、または異常があってもそれが発作の原因か確信が持てない場合があります。
- 発作の始まりが脳の深い部分(海馬や帯状回など)にあると疑われる場合があります。
リスク要因
- 検査そのもののリスクとして、電極を入れた部分からの出血や感染、脳のむくみ(浮腫)などが挙げられます。
- 血液を固まりにくくする薬を使っている方は、出血のリスクが高まることがあります。
- 糖尿病や免疫の働きが弱まる病気があると、感染のリスクが上がることがあります。
- 以前に脳の手術を受けたことがある、頭の形や骨の状態に特徴がある場合は、事前の計画がより入念に行われます。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- けいれん発作が長引く、くり返す、意識が戻らない(119番)
- 検査後に発熱、強い頭痛、嘔吐、首の硬さ、意識の変化がある
- 電極の周りが腫れる、膿む、痛みが強くなる
- 自分や家族が「いつもと違う」と感じる変化がある
定期受診を予約すべき場合:
- 手術を考えているが、SEEGの必要性や流れについてよく知りたい
- 検査を受けるかどうか迷っていて、利点とリスクを整理したい
- 入院期間中の仕事・学校・家族の予定を調整したい
- 現在の発作の記録や薬の内容を、主治医に見直してほしい
診断
SEEGは「診断のための検査」そのものです。まず主治医が、これまでの発作の様子、薬の効き方、脳波やMRIの結果を総合して、SEEGが必要かどうかを判断します。必要と判断された場合は、脳神経外科・てんかん専門のチームが、どの位置に何本の電極を入れるかを頭の画像をもとに細かく計画します。
行われる可能性のある検査
- 詳しい問診と発作の記録(どんなときに、どんなふうに始まるか)
- 通常の脳波検査(頭の表面につける電極)
- MRIやCTなどの画像検査
- ビデオ脳波同時記録(入院して、発作の様子と脳波をカメラで一緒に記録する検査)
- 必要に応じて、脳の血流や代謝を調べる画像検査、神経心理検査
- SEEG本体(計画に沿って電極を留置し、数日間記録する)
診察で予想されること
全身麻酔で電極を入れるため、手術室で行われます。目が覚めたあとは頭に包帯を巻いた状態で、数日から2週間ほど入院しながら記録を続けます。記録を充実させるために、医師の管理のもとで発作を起こして記録する場面があります。電極を抜くときは短時間で済み、多くの場合、抜いたあと数日で退院の準備が進みます。入院中はスマートフォンの使用や体の向きに制限があることがあるので、事前に確認しておくと安心です。
治療
SEEGで得られた記録をもとに、チームが「発作がどこから始まり、どのルートで広がるか」を話し合い、これからの治療方針を決めます。手術で取り除ける場所かどうか、取り除いた場合に言葉や記憶などへの影響がどの程度か、を総合的に判断します。検査の結果、手術が適さないと判断されることもあります。その場合も、別の治療の選択肢を一緒に考えていきます。
自宅でのセルフケア
- 検査前は、飲んでいる薬をどうするか必ず主治医の指示に従ってください。自己判断で中止したり量を変えたりしないでください。
- 入院の準備として、入院中の過ごし方や面会・付き添いのルールを事前に確認しておきましょう。
- 検査後は、指示された期間は頭を洗わない、激しい運動を避けるなど、決められた注意を守りましょう。
- 発作の記録(時刻、きっかけ、様子、回復までの時間)を家族と一緒にメモしておくと、診療の役に立ちます。
- 眠気や気分の変化など、体調の変化は我慢せずに看護師や医師に伝えましょう。
医療治療
検査の結果をもとに、治療の選択肢が話し合われます。てんかんの治療には、薬による治療、手術、脳に刺激を送る機器を使う治療、食事の内容を調整する治療などがあります。どの方法が合うかは、発作の種類や始まる場所、年齢、生活スタイルによって異なります。具体的な薬の種類や量については、必ず主治医・薬剤師の説明を受けてください。
手術が検討される場合
SEEGの結果、発作の始まる場所がはっきり特定でき、そこを取り除いても言葉・記憶・運動などの働きへの影響が許容できる範囲だと判断された場合に、手術が検討されます。手術をしない場合でも、記録から得た情報は今後の治療の調整に役立てられます。手術の適否は、複数の専門家による話し合いを経て慎重に決められます。
この病気と共に生きる
検査を受ける前後は、仕事や学校、家族の予定調整が必要になることがあります。入院期間の目安や退院後の注意を主治医に確認し、家族や職場・学校と早めに共有しておくと安心です。退院後しばらくは、運転や高所作業など、発作が起きたときに危険が大きい活動について制限を指示されることがあります。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠不足は発作のきっかけになりやすいので、規則正しい睡眠を心がけましょう。
- 飲酒や過度のカフェインは発作に影響することがあるため、主治医に相談しましょう。
- 発作のきっかけ(強い光、ストレス、発熱など)を家族と共有しておくと、対応しやすくなります。
- 入浴中や階段など、発作時に危険が大きい場面での見守り体制を家族と話し合っておきましょう。
食事と運動
特別な食事制限が必要な場合を除き、バランスのよい食事を心がけましょう。食事の内容を大きく変える治療(食事療法)は、必ず医師・管理栄養士の指導のもとで行います。運動は体調に合わせて無理のない範囲で続けて大丈夫ですが、入浴や水泳など、発作時に危険が大きい活動については主治医に確認してください。
精神的健康と心の健康
検査や手術の話は、本人にも家族にも大きな不安をもたらします。「手術をしても発作が消えなかったらどうしよう」「検査中に発作が起きるのが怖い」と感じるのは自然なことです。気持ちが落ち込む、眠れない、不安が強い状態が続くときは、一人で抱え込まずに主治医や看護師、公認心理師などに話してください。つらい気持ちが続くときは、お住まいの自治体の相談窓口や医療機関の相談室も利用できます。ご本人だけでなく、ご家族の気持ちのケアも大切です。
予防
SEEGは検査であり、病気そのものを予防するものではありません。ただし、検査に伴う出血や感染などのリスクを減らすための準備はできます。飲んでいる薬(特に血液を固まりにくくする薬やサプリメント)をすべて正直に伝えること、検査前の指示を守ること、検査後の注意事項をきちんと守ることが大切です。
検診プログラム
てんかんの手術を検討する段階では、脳波検査やMRIなどの検査を段階的に行い、SEEGが必要かどうかを見極めていきます。定期的な通院と発作の記録が、適切なタイミングでの検討につながります。
合併症
治療しない場合
- SEEGを受けない場合、発作がどこから始まるのか十分に特定できず、手術の判断が難しくなることがあります。
- 発作が続くことで、日常生活の制限(運転、仕事、学校生活)が長引くことがあります。
- 発作をくり返す状態が続くと、けがや事故のリスクが高まることがあります。
- なお、SEEGを受けないことが必ず悪化につながるわけではありません。検査の必要性は一人ひとりの状況で判断されます。
長期的な見通し
SEEGは、これからの治療をより本人に合ったものにするための大切な情報を与えてくれます。検査によって発作の始まる場所がはっきりし、治療の選択肢が広がる方も多くいます。検査のリスクは決してゼロではありませんが、専門チームが事前に計画を立て、入院中も注意深く見守ります。不安な点は一つずつ主治医と確認しながら、納得して進めていくことができます。
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最終更新: 2026年11月3日
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