血管エコー検査(血管の超音波検査)
概要
血管エコー検査は、体の外側から超音波(人の耳には聞こえない高い音の波)を当てて、血管の様子を画像で見る検査です。エコー(超音波)は、お腹の赤ちゃんを見るときと同じ仕組みで、痛みはなく、放射線も使いません。血管が狭くなっていないか、詰まっていないか、こぶのようにふくらんでいないか、血の塊(血栓)ができていないか、血液が正しい向きに流れているか、といったことを調べられます。首の血管、脚や腕の血管、腹部の大きな血管など、体のいろいろな場所の血管を対象にできます。
重要な事実
- 痛みがなく、放射線を使わない、体への負担が少ない検査です。
- 検査の時間は15〜30分ほどが一般的で、その日のうちに結果の説明を受けられることもあります。
- 血管の狭まり・詰まり・ふくらみ(動脈瘤)・血栓・血液の逆流などを、画像と血流の音で確認できます。
はい。とてもよく行われている基本的な検査のひとつで、健康診断の場面でも、病院の外来でも、幅広く使われています。特別な準備が要らないことが多く、何度受けても体への負担が少ないのが特長です。
年齢を問わず受けられる検査です。足の冷えやむくみ、歩いたときの脚の痛みがある方、血圧が高い方、糖尿病や脂質異常症(血の中の脂肪が多い状態)を指摘された方、喫煙習慣のある方、家族に血管の病気の人がいる方などが、医師の判断でこの検査を受けることがあります。症状がなくても、経過をみるために行われることもあります。
症状
- 突然の激しい胸の痛み、または背中を裂くような痛み(大動脈解離〈かいり〉や動脈瘤〈どうみゃくりゅう〉の破裂が疑われる状態)
- 片方の脚が急に赤く腫れあがり、強く痛む、熱を持つ
- 突然の息切れ、胸の痛み、冷や汗、意識がもうろうとする
- 顔や手足の急な麻痺、ろれつが回らない、言葉が出ない、視界が突然おかしい(脳卒中の疑い)
- お腹や脚の付け根のこぶが急に痛み出した、触ると硬く変わった
- ⚠脚の腫れや痛みが数日のうちに強くなっている
- ⚠歩くと脚が痛く、休みながらでないと歩けない状態が続く
- ⚠足の傷が治らず、黒ずんできた、においが出る
- ⚠足の指の色が悪く、感覚がにぶくなってきた
一般的な症状
- 足の冷え、しびれ、皮膚の色の変化(青白い、赤黒いなど)
- 歩くとふくらはぎや太ももが痛くなり、立ち止まって休むと楽になる(間欠性跛行〈かんけつせいはこう〉)
- 脚のむくみ、だるさ、重さ
- 脚の血管が青く浮き出て見える、ボコボコする
- 傷や靴ずれが治りにくい、爪が伸びにくい
- 脚の片側だけが腫れる、触ると熱い
- お腹や太ももの付け根に、脈打つこぶのようなものが触れる
- めまい、一時的に言葉が出にくい、手足の力が入りにくい(首の血管が関係することもあります)
子供の症状
- 小児では検査の頻度は多くありませんが、生まれつきの血管の形の違いを調べるときや、カテーテル治療の前後に血管の状態を確認するときに行われます。
- 発熱や脱水のときの血管の評価、けがのあとの血流確認などに使われることもあります。
- 子どもは検査中じっとしているのが難しいことがありますが、痛みはなく、体を温めてリラックスするなど工夫して行われます。
高齢者の症状
- 加齢に伴う動脈硬化(血管が硬く、狭くなる変化)で、脚の血流が落ちていることがあります。
- 足の冷えや歩行時の痛みを「年のせい」と感じて受診が遅れることがあるため、気になる変化は早めに相談しましょう。
- 血圧が高い方、糖尿病のある方、腎臓の機能が低下している方では、血管の状態を定期的に確認することが大切です。
- 持病の治療で血液が固まりやすくなる状態がある場合は、医師の指示で検査が行われます。
原因
主な原因
- この検査は「病気の原因」ではなく、血管の状態を調べるためのものです。検査が必要になる背景には、動脈硬化(血管が硬く狭くなる変化)による血流の低下があります。
- 脚の静脈の血液が逆流したり、血の塊(血栓)ができたりして、むくみや腫れが出ている場合。
- 腹部や脚の付け根の動脈がこぶのようにふくらむ動脈瘤が疑われる場合。
- 首の血管に狭いところがあり、脳への血流が気になる場合。
- 血圧の左右差、脈の触れにくさ、透析(血液をきれいにする治療)のための血管の確認など、治療や処置の前後の評価が必要な場合。
リスク要因
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症(血の中の脂肪が多い状態)
- 喫煙、または過去の喫煙歴
- 加齢、家族に血管の病気の人がいること
- 運動不足、長時間同じ姿勢で座り続けること、水分不足
- 大きな手術のあと、長期間の入院や安静
- 妊娠中や出産後、ホルモンに関わる治療中など、血液が固まりやすい状態
- 腎臓の病気、肥満、ストレスの多い生活
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に脚が腫れて痛む、赤くなる、熱を持つ
- 歩くと脚が痛く、少し歩いただけで休む必要がある
- 足の傷が治らない、皮膚が黒ずむ、じくじくする
- 脈打つこぶが急に痛む、大きくなった気がする
- 一時的に手足が動かしにくい、言葉が出にくいといった症状があった(数分で戻っても必ず相談を)
定期受診を予約すべき場合:
- 足の冷え、しびれ、むくみが続いている
- 脚の血管が浮き出て気になる
- 健康診断で血圧や血糖、コレステロールを指摘された
- 家族に動脈瘤や血管の病気の人がいる
- 喫煙習慣があり、血管の状態を一度確認しておきたい
診断
血管の状態は、問診(症状や生活習慣、持病、服薬の確認)、診察(脈を触る、足の色や温度を見る、血圧を左右で測る)、血液検査などを組み合わせて判断します。そのうえで、血管エコー検査は「血流がどのくらい保たれているか」「狭いところや詰まりがないか」を画像で確かめる検査として行われます。検査の結果だけで診断が決まるのではなく、症状や他の検査とあわせて医師が総合的に判断します。
行われる可能性のある検査
- 血管エコー検査(ドプラ法):血流の向きと速さを色や音で確認します。
- 足関節上腕血圧比(ABI)・脈波検査:腕と足首の血圧を比べて、脚の血流の目安を見ます。
- 血液検査:血糖、コレステロール、腎臓の働き、血液の固まりやすさなどを調べます。
- CT検査・MRI検査:必要に応じて、血管の立体的な形を詳しく見るために行われます。
- 心電図や胸部レントゲン:全身の状態を確認するために行われることがあります。
診察で予想されること
検査着のまま、ベッドに横向きか仰向けに寝ます。調べる場所にジェルを塗り、細長い機械(プローブ)を皮膚の上から当てます。冷たさや軽い圧迫感はありますが、痛みはありません。血流の音をスピーカーで聞かせてもらえることもあります。息を止めたり、力を抜いたり、足を動かしたりと、その場で簡単なお願いをされることがあります。所要時間は15〜30分程度で、終わったらジェルを拭き取るだけです。検査後は普段どおりに過ごせます。
治療
血管エコー検査は「調べる」ための検査で、それ自体が治療ではありません。結果をもとに、血管の状態に合わせた方針を医師と一緒に決めていきます。異常が軽ければ生活の見直しと定期的な経過観察、血流の低下が明らかであれば生活習慣の改善に加えて薬による治療や、場合によってはカテーテル治療・手術が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 禁煙を心がける(受動喫煙も避ける)
- 長時間同じ姿勢を続けず、1時間に一度は立ち上がって足を動かす
- 水分をこまめにとる(医師に水分制限を指示されている場合はそれに従う)
- 足の毎日の観察:色、温度、むくみ、傷がないかをチェックする
- きつい靴下や靴で血流を妨げない、足を清潔に保つ
- 寒い時期は足を冷やさないよう温める
- 睡眠と休息を十分にとり、ストレスをためない
医療治療
検査で見つかった状態に応じて、血管を広げる治療、血圧や血糖・コレステロールを整える治療、血液が固まりにくくなる治療などが行われることがあります。どの治療をどのくらいの強さで行うかは、年齢や持病、腎臓の働き、出血のリスクなどを踏まえて医師が判断します。薬の種類や量については、必ず処方した医師・薬剤師の説明を受けてください。自己判断で服用を始めたり中止したりしないようにしましょう。
手術が検討される場合
血管が著しく狭い、または詰まっているために痛みや傷が強い場合、動脈瘤が大きい場合には、カテーテルを使って血管を広げる治療や、血流を別の道でつなぐバイパス手術、動脈瘤の手術が検討されることがあります。手術が必要かどうかは、血管の状態だけでなく、全身の健康状態や生活の状況をふまえて総合的に判断されます。
この病気と共に生きる
検査で血管の変化を指摘されても、多くの方は生活の工夫と定期的な通院で、落ち着いて過ごせています。足の色や温度、むくみを毎日見る習慣をつけ、変化があれば早めにかかりつけ医に伝えましょう。検査結果の数字だけに一喜一憂せず、前回との比較で見ていくことが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を続ける。禁煙が難しい場合は、医療機関の禁煙外来に相談する
- 適度な運動を無理のない範囲で続ける(医師に運動の制限を指示されている場合は従う)
- 長時間のフライトや車の移動では、こまめに足を動かし水分をとる
- 足に合った靴を選び、靴ずれや傷を作らないようにする
- 定期的に血圧を測り、記録しておく
- 睡眠を十分にとり、体重を適正に保つ
食事と運動
食事は、塩分を控えめにし、野菜・魚・大豆製品をバランスよくとることが基本です。揚げ物や加工肉、甘い飲み物は控えめにしましょう。運動は、歩くことや軽い体操など、息が少し上がる程度を無理なく続けるのがおすすめです。脚の痛みがある方は、痛みが出る前に休む「休みながら歩く」方法が勧められることがあります。どの程度の運動がよいかは、血管の状態によって変わるため、主治医に相談してから始めてください。
精神的健康と心の健康
「血管が悪いと言われた」「手術になるかもしれない」と言われると、不安や落ち込みを感じるのは自然なことです。検査結果は、悪いところを早く見つけて対処するための材料でもあります。一人で抱え込まず、家族や友人、医療者に気持ちを話してみてください。不安が続いて眠れない、気分が晴れない状態が2週間以上続く場合は、かかりつけ医に相談しましょう。つらい気持ちがあるときは、地域の相談窓口や医療機関の相談員に話すことも助けになります。
予防
血管エコー検査そのものを「防ぐ」という考え方はありませんが、この検査で見つかる血管の変化は、生活習慣を整えることで進みにくくできる部分があります。禁煙、塩分を控えた食事、適度な運動、血圧と血糖の管理は、血管を大切にする基本です。
ワクチン
この検査で調べる血管の病気に、ワクチンで直接防げるものはありません。ただし、感染症にかかると体への負担が増し、持病が不安定になることがあります。年齢や持病に応じた予防接種については、かかりつけ医にご相談ください。
検診プログラム
日本では、特定健康診査(メタボリックシンドロームに着目した健診)や、自治体・職場の健診で血圧・血糖・脂質を確認できます。脚の血流が気になる方は、かかりつけ医に相談のうえで、必要に応じて血管エコー検査やABI検査を受けることができます。健診の結果をそのままにせず、毎年確認していくことが大切です。
合併症
治療しない場合
- 動脈硬化が進むと、脚の血流がさらに低下し、歩行時の痛みが強くなることがあります。
- 血流が長く不足すると、足の皮膚や組織が傷つき、治りにくい傷(潰瘍)になることがあります。
- 血の塊(血栓)が血管をふさぐと、急な腫れや強い痛みを引き起こします。
- 腹部や脚の動脈瘤が大きくなると、破裂の危険が高まります。
- 首の血管が狭くなると、脳への血流が減り、脳卒中に関わることがあります。
長期的な見通し
血管エコー検査は、こうした変化を早い段階で見つけるための頼もしい手段です。見つかった時点で生活を見直し、必要な治療を続けることで、多くの方は症状をコントロールしながら日常を過ごせています。検査の結果を前向きな「これからの手がかり」として受け止め、主治医と一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年11月3日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.