全身骨シンチ検査(全身骨スキャン)ってどんな検査?
概要
全身骨シンチ検査(ぜんしんこつシンチけんさ)は、体全体の骨の状態を一度に調べる画像検査です。放射線を出すごく微量の薬(トレーサーと呼びます)を腕の静脈に注射し、時間をおいてから体の外から撮影します。この薬は骨に集まりやすい性質があるため、骨の代謝(骨がつくられたり壊されたりする働き)が活発な部分が画像に濃く映ります。レントゲンでは見つけにくい変化も見つかることがあります。
重要な事実
- 検査は「注射 → 2〜4時間ほど待つ → 撮影」という流れで、半日ほどかかることが多いです。
- 使う薬の放射線量はごくわずかで、通常の生活に戻ったあとも周りの人への心配はほとんどありません。
- この検査は「治療」ではなく「調べる」ための検査です。結果をもとに、主治医が今後の方針を考えます。
はい。骨のがん転移が疑われるとき、原因のわからない骨の痛みがあるとき、骨折や骨の感染症を調べるときなどに、日本でもよく行われる検査です。特別な珍しい検査ではありません。
症状
- 検査のあと、息苦しさ、のどの腫れ、全身の発疹、意識がもうろうとするなど、アレルギーのような強い反応が出たとき(非常にまれですが、その場合はすぐに119番へ)
- 胸の強い痛み、突然の息切れ、冷汗が同時に出たとき
- 意識を失った、けいれんが起きた
- ⚠注射した場所の赤みや腫れが広がる、強く痛む
- ⚠じんましんや軽いかゆみが出た
- ⚠検査のあと38度以上の発熱が出た
- ⚠痛みが急に強くなり、動くのがつらい
一般的な症状
- この検査は症状を治すものではなく、症状や状況の「原因を調べる」ために行います。次のようなときに検討されます。
- 長く続く骨の痛み、背中の痛み、腰の痛み
- 原因がはっきりしない関節や骨の腫れ
- 転倒やケガのあと、レントゲンではわからない細かい骨折が疑われるとき
- がんの経過観察中に、骨への広がりがないか確認したいとき
- 血液検査で、骨に関係する数値(例:アルカリホスファターゼ)が高いと言われたとき
- 発熱と骨の痛みが一緒に続き、骨の感染症が疑われるとき
子供の症状
- 小児では、骨の腫瘍(できもの)や骨の感染症、成長に伴う骨の変化を調べるために行われることがあります。
- じっとしているのが難しい場合は、検査を安全に受けられるよう、スタッフが体勢を工夫したり、場合によっては眠った状態で撮影したりすることがあります。
- 保護者の方が付き添えるかどうかは施設によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
高齢者の症状
- 高齢の方では、転倒後の骨折、骨の変形、前立腺がんなどの経過観察のために行われることが多くあります。
- 腎臓(はいぞう)の働きが低下していると、薬が体の外に出るまで時間がかかることがあります。持病や飲んでいる薬は必ず事前に伝えてください。
- 長時間じっとしているのがつらい場合は、検査前にスタッフに相談しておくと対応してもらいやすくなります。
原因
主な原因
- この検査は「原因を調べる検査」なので、検査を受ける理由(きっかけ)には次のようなものがあります。
- がんでの骨への転移(がん細胞が骨に広がっていないかの確認)
- 骨折(ケガや、骨がもろくなる病気による骨折)
- 骨の感染症(骨髄炎など)
- 骨の代謝の病気(骨が過剰につくられたり壊されたりする状態)
- 関節の炎症や変形、骨の腫瘍
- 原因のわからない骨の痛みの追究
リスク要因
- 検査を受ける「必要性」が高くなる背景には、次のようなことがあります。
- がんでの治療中・経過観察中である
- 骨粗しょう症(骨がもろくなる病気)や、骨折の経験がある
- ステロイド薬を長く使っている、ホルモンに関わる治療を受けている
- 腎臓の働きが低下している(薬の排泄に時間がかかる)
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある(事前に必ず伝えてください)
- 閉所が苦手、じっとしているのがつらい(撮影の工夫が必要になることがあります)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 検査のあと、息苦しさ・のどの違和感・全身の発疹・めまいがある(アレルギー反応の可能性。すぐに救急へ)
- 注射した部位の腫れや赤みがどんどん広がる
- 38度以上の発熱、悪寒(さむけ)
- 今までにない強い骨の痛みが急に出た
定期受診を予約すべき場合:
- 検査結果の説明を受ける予定の日(結果は撮影したその日には出ないことが多く、後日説明になります)
- 骨の痛みが続いている、または少しずつ強くなっている
- 検査について不安なこと、体勢や痛みの心配がある(検査前に相談しておくと安心です)
- 妊娠の可能性がある、授乳中である
- 持病や飲んでいる薬に変更があった
診断
この検査自体が「診断のための検査」のひとつです。医師が症状や血液検査、これまでの画像を見て必要性を判断し、必要であれば全身骨シンチ検査を行います。画像の結果と、問診・診察・ほかの検査をあわせて、総合的に判断します。つまり、この検査ひとつだけで病気が決まるわけではありません。
行われる可能性のある検査
- 全身骨シンチ検査(今回のテーマの検査)
- レントゲン検査
- CT検査、MRI検査
- 血液検査(骨に関わる数値、炎症の数値、腎臓の働きなど)
- 骨密度検査
- 必要に応じて、気になる部分の組織を採る検査(生検)
診察で予想されること
当日は、まず問診と説明があります。腕の静脈にトレーサーを注射し、骨に集まるまで2〜4時間ほど待ちます。この間は飲食が可能なことが多いですが、水分は多めにとるよう案内されます。撮影の直前にトイレで膀胱(ぼうこう)を空にしてもらいます。撮影はベッドに仰向けに寝て行い、20〜60分ほどかかります。体を動かすと画像がぶれるため、できるだけ安静にします。金属類(時計、アクセサリー、下着の金具など)は外すよう案内されます。検査全体で半日ほどみておくとよいでしょう。結果はその場では伝えられず、後日の診察で説明を受けるのが一般的です。
治療
全身骨シンチ検査は「調べる検査」であり、それ自体が治療になるものではありません。画像の結果をもとに、主治医が今後の方針を決めます。結果が問題なしであれば安心材料になりますし、何か見つかった場合も、その後の治療や経過観察につなげることができます。
自宅でのセルフケア
- 検査の前後は水分を多めにとり、トイレを我慢しないようにしましょう。
- 検査当日は、金属類やアクセサリーを外して行くとスムーズです。
- 妊娠の可能性がある方、授乳中の方は必ず事前に伝えてください(授乳についての案内がある場合があります)。
- じっとしているのがつらい、閉所が苦手、痛みがある場合は、検査前にスタッフに相談しておきましょう。
- 検査後は通常どおりの生活で問題ありませんが、案内があった場合はそれに従ってください。
医療治療
検査で見つかった内容に応じて、治療の考え方はまったく異なります。痛みの緩和、骨を強くするための治療、炎症を抑える治療、がんであればその治療方針など、主治医が総合的に判断します。どのような選択肢があるか、それぞれの目的や期間、副作用の可能性について、遠慮なく主治医に確認してください。
手術が検討される場合
手術が必要かどうかは、検査の結果だけで決まるものではありません。骨折の状態、骨の感染症、腫瘍の性質や場所などによって、主治医と専門の医師が相談して判断します。まずは検査結果の説明をしっかり受けることが大切です。
この病気と共に生きる
検査を受けたあとは、特別な制限なく普段の生活を送れます。結果が出るまでの間は、気になって落ち着かないこともあるかもしれません。検査はあくまで「情報を集める」ためのものだと考えると、気持ちが少し楽になるかもしれません。結果については、必ず主治医の説明を受けるようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 骨の健康のために、無理のない範囲で体を動かす習慣を保つ
- 転倒を防ぐため、家の中の段差や物の置き場所を見直す
- 十分な睡眠と休息をとる
- 痛みや体調の変化をメモしておき、診察のときに伝えられるようにする
- 検査の記録(日付、結果の説明内容)を残しておくと、今後の診療に役立ちます
食事と運動
骨を健康に保つには、バランスのよい食事と、無理のない運動が役立ちます。カルシウムを含む食品(乳製品、小魚、大豆製品、緑の野菜など)を日常にとり、日光を浴びて過ごす時間も意識してみましょう。運動は、散歩や軽いストレッチなど、続けられるものを少しずつ行うのがおすすめです。痛みがあるときや、運動を始める前に、主治医や理学療法士に相談すると安心です。
精神的健康と心の健康
検査を受けたり結果を待ったりする間は、不安や緊張が強くなりやすいものです。眠れない、気持ちが落ち着かない、何度も考えてしまうといったことがあっても、それは自然な反応です。一人で抱え込まず、家族や友人、医療スタッフに気持ちを話してみてください。つらさが続くときは、医療機関で相談することもできます。
予防
全身骨シンチ検査は「必要なときに受ける検査」なので、検査そのものを予防するという考え方はありません。ただし、骨の健康を保ち、転倒を防ぐ工夫をすることは、骨に関わる問題を減らす助けになります。気になる症状を我慢せず、早めに相談することも大切です。
検診プログラム
骨の健康については、自治体によって骨粗しょう症検診などの機会が設けられていることがあります。また、がんでの治療中であれば、主治医の方針に沿って定期的な画像検査が行われることがあります。自分に必要かどうかは、年齢や持病、これまでの病歴をふまえて、主治医に相談して決めるとよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 検査を受けずにいると、骨の変化に気づくのが遅れることがあります。
- 骨折や骨の感染症、骨の代謝の変化などが、はっきりしないまま経過してしまう可能性があります。
- がんでの経過観察中に、骨への広がりを見逃す可能性があります。
- ただし、症状がない場合や必要がないと医師が判断した場合は、受けないことが正しい選択になることもあります。
長期的な見通し
全身骨シンチ検査は、短時間で体への負担が少ない検査です。多くの場合、結果は安心につながるものですし、何か見つかったとしても、早く知ることで今後の対応を考えやすくなります。結果についての説明をしっかり受け、気になることは遠慮なく質問してください。
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最終更新: 2026年11月3日
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