フェリチン検査 — 体に鉄が足りているかを調べる血液検査
概要
フェリチンは、体の中で鉄をためておくためのたんぱく質です。鉄は赤血球のヘモグロビン(酸素を運ぶもと)をつくるのに欠かせませんが、使いきれなかった鉄はフェリチンの形で肝臓などに蓄えられます。血液の中にはごくわずかなフェリチンが流れているので、その量を測ると「体に鉄が足りているか、余りすぎていないか」をおおよそ知ることができます。フェリチン検査は、腕の静脈から少し採血して調べる、ふつうの血液検査のひとつです。
重要な事実
- 採血だけで調べられる、体への負担が少ない検査です。
- 数値が低いと鉄不足、高いと鉄の余りや体の炎症などが疑われますが、それだけで病名が決まるわけではありません。
- 基準値(正常とされる範囲)は検査機関や年齢・性別によって異なります。
とてもよく行われる基本的な血液検査のひとつで、健康診断や貧血の詳しい検査など、さまざまな場面で測られます。
疲れやすさや息切れ、めまいなどの症状がある人、健康診断で貧血を指摘された人、妊娠を考えている人、慢性の病気で通院している人など、幅広い年代の人が受けます。
症状
- 胸の痛みや強い圧迫感が続く
- 息が苦しくて話せない、横になれない
- 意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い
- 吐血やコーヒー色の嘔吐、黒い便や血の混じった便が大量にある
- けいれんや失神が起きた
- ⚠動悸や息切れが続き、日常生活がつらい
- ⚠立ちくらみで倒れそうになる、実際に転倒した
- ⚠出血が止まりにくい、月経の量が急に増えた
- ⚠急な強いだるさで動けない
一般的な症状
- 疲れやすい、体がだるい
- 少し動くと息切れがする、動悸がする
- 顔色が悪いと言われる、まぶたの裏や爪の色が白っぽい
- めまい、立ちくらみ
- 爪がもろい、割れやすい
- 髪が抜けやすい
- 氷や土など、ふつうは食べないものを食べたくなる(異食症)
- 関節の痛み、皮膚が黒っぽくなる(鉄が余りすぎている場合)
子供の症状
- 元気がない、遊びたがらない
- 集中しにくい、覚えたことが身につきにくい
- 食欲がない、好き嫌いが強い
- 身長や体重の増えがゆっくりになる
- 顔色が悪い、すぐ疲れる
高齢者の症状
- 症状が出にくく、貧血が進んでも気づかれにくい
- 息切れ、動悸、むくみ
- 食欲の低下、体重の減少
- ふらつき、転びやすくなる
- 慢性の病気や飲んでいる薬の影響で数値が変わりやすい
原因
主な原因
- 鉄が足りない(鉄欠乏):出血、食事からの鉄不足、吸収の悪さなど
- 体の炎症・感染・肝臓の病気などで数値が上がる(鉄は足りていても高くなることがあります)
- 鉄が体にたまりすぎる病気(鉄過剰症)
- 腎臓の病気や透析、甲状腺の病気、腫瘍性の病気などで数値が変動する
- 栄養状態の偏りやビタミンCの不足
リスク要因
- 月経の量が多い女性、妊娠中・授乳中の人
- 偏った食事、極端なダイエット、菜食中心で鉄が不足しがちな人
- 胃や腸の潰瘍・ポリープなどから慢性的に出血している人
- 胃の手術を受けたことがある、胃酸を抑える薬を長く使っている
- 頻繁に献血をしている人
- アルコールを多く飲む人、肝臓の病気がある人
- 家族に鉄がたまりやすい体質の人がいる
- 慢性の炎症性の病気や腎臓の病気がある人
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛み、強い息苦しさ、失神がある
- 吐血や黒い便など、出血のサインがある
- 動悸や息切れが強く、横になっても楽にならない
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断でフェリチンや血算(赤血球・ヘモグロビンなど)の異常を指摘された
- 疲れやすさ、息切れ、めまいが数週間続いている
- 爪や髪の変化が気になる
- 妊娠を考えている、または妊娠中に貧血を指摘された
- 鉄のサプリメントを使っているが、数値を確認したい
診断
まず問診と診察を行い、そのうえで血液検査で調べます。フェリチンだけでなく、血算(赤血球やヘモグロビンの量)、血清鉄、総鉄結合能(体がどれだけ鉄を運べるかを示す数値)などを組み合わせて、鉄が足りないのか、余っているのか、炎症の影響なのかを判断します。必要に応じて、出血の原因を探す検査や、鉄過剰症が疑われる場合の詳しい検査が行われます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(フェリチン、血算・ヘモグロビン、血清鉄、総鉄結合能、CRP=炎症の度合いを示す数値など)
- 便潜血検査(腸からの出血がないかを調べる)
- 胃カメラ・大腸カメラ(出血の原因を探す)
- 腹部超音波検査やCT検査(肝臓や脾臓の状態を見る)
- 必要に応じた遺伝子の検査(鉄過剰症が疑われる場合)
診察で予想されること
腕の静脈から少量の血液をとるだけで、数分で終わります。結果はふつう数日以内に出ます。食事をとってよいかなどは施設によって違うので、事前の案内に従ってください。基準値は検査機関ごとに異なるため、数値だけでなく「その施設の基準値」とあわせて見ることが大切です。結果の意味は医師が症状や他の検査と合わせて説明します。
治療
フェリチンの数値そのものを治療するのではなく、数値が高い・低い理由に合わせて対応します。低ければ鉄を補う方法を、高ければ原因となる炎症や病気、鉄のたまりすぎへの対応を考えます。いずれも自己判断でサプリメントを始めたりやめたりせず、医師と相談しながら進めます。
自宅でのセルフケア
- 肉・魚・卵・大豆製品・緑黄色野菜など、鉄を多く含む食品を毎日の食事に取り入れる
- ビタミンC(果物や野菜)と一緒にとると鉄が吸収されやすい
- コーヒー・紅茶・緑茶は、食事の直前や直後に大量に飲むのは控えめにする
- 鉄のサプリメントは自己判断で量を増やさない(過剰になることがあります)
- 月経の量や便の色など、体からのサインをメモしておく
- 飲酒はほどほどにし、睡眠と休息を十分にとる
医療治療
原因に応じて治療の方向が変わります。鉄が足りない場合は、食事の見直しに加えて、医師の判断で鉄を補う治療が行われます。出血が原因なら、その出血源の治療が優先されます。鉄が余りすぎている場合は、原因となる病気の治療や、体内の鉄を減らす治療が検討されます。いずれも医師の指示に従い、自己判断で薬を始めたり中止したりしないでください。
手術が検討される場合
胃や腸の潰瘍・ポリープ・腫瘍など出血の原因が見つかった場合や、鉄過剰症で臓器への影響が強い場合などに、手術や処置が検討されることがあります。多くの場合はまず検査で原因を確かめ、必要性を医師と相談して決めます。
この病気と共に生きる
数値は一度で決まるものではなく、治療や食事の変化で動いていきます。通院のたびに数値を記録し、体調の変化とあわせて見ていくと、自分に合ったペースがつかめます。
生活習慣のアドバイス
- バランスの良い食事を規則的にとる
- 散歩など適度な運動を無理のない範囲で続ける
- 十分な睡眠と休養をとる
- 喫煙は控える
- 飲酒はほどほどにする
- 月経や便の様子など、体の変化を記録する
食事と運動
鉄を多く含む食品(赤身の肉・魚・貝類・卵・大豆製品・ほうれん草など)を、ビタミンCの多い野菜や果物と一緒にとると吸収が助けられます。反対に、食事と一緒に濃いお茶やコーヒーを大量に飲むと、鉄の吸収が妨げられることがあります。運動は散歩など無理のない範囲で続け、息切れや動悸が強いときは休みましょう。
精神的健康と心の健康
疲れやすさや息切れが続くと、家事や仕事、育児が思うように進まず、不安や落ち込みを感じることがあります。数値のことで心配が続くときは、一人で抱え込まずに医師や看護師、薬剤師に質問してください。つらい気持ちが強いときは、地域の相談窓口や医療機関に相談を。緊急の場合は119番に連絡してください。
予防
フェリチンの異常そのものを完全に防ぐことはできませんが、偏りのない食事、出血のサインへの気づき、定期的な健康診断によって、鉄不足や鉄のたまりすぎを早めに見つけることができます。
検診プログラム
健康診断や特定健診の血液検査で、貧血の有無とあわせて鉄の状態を確認できます。妊娠を考えている人、月経の量が多い人、慢性の病気で通院している人は、かかりつけ医に相談して必要に応じて検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 鉄不足が進むと貧血が悪化し、動悸・息切れ・集中力の低下が起きる
- 妊娠中は母体と赤ちゃんへの影響が心配される
- 重症になると心臓への負担が増すことがある
- 鉄が余りすぎると肝臓・心臓・膵臓・関節などに鉄がたまり、臓器の働きが落ちることがある
- 出血の原因(潰瘍や腫瘍など)が隠れている場合、発見が遅れる
長期的な見通し
フェリチン検査は、体の鉄の状態を早く知るための手がかりです。多くの場合、原因に合わせた対応で数値は改善し、体調も戻っていきます。気になる症状や数値があれば、早めに医療機関に相談することが、安心への一番の近道です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年11月3日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.