ビリルビンって何? 数値が高い・低いと言われたときに知っておきたいこと
概要
ビリルビンは、血液中の赤い色素(ヘモグロビン)が古くなって壊れるときにできる、黄色っぽい「燃えかす」のような物質です。ふつうは肝臓で処理され、胆汁(たんじゅう=脂肪を消化するための消化液)に混ぜられて、便や尿といっしょに体の外へ出ていきます。血液検査では、このビリルビンの量を測ることで、肝臓や胆道(たんどう=胆汁の通り道)、赤血球の状態に問題がないかを、間接的に知ることができます。数値が高いと、皮膚や白目が黄色くなる「黄疸(おうだん)」が起きることがあります。
重要な事実
- ビリルビンは血液検査で測る項目のひとつで、肝臓・胆道・赤血球の状態を教えてくれるサインです。
- 生まれたばかりの赤ちゃんでは、ビリルビンが高めになる「新生児黄疸」がとてもよく見られます。多くは自然に落ち着きます。
- 大人の場合、少し高いだけなら体質によるもので心配ないことも多い一方、高い数値が続くときは原因を調べる必要があります。
とてもよくある検査項目です。健康診断で「ビリルビンが少し高め」と言われる人は少なくありません。生後数日の赤ちゃんのほとんどに、程度の差はあれ新生児黄疸が見られます。
生まれたばかりの赤ちゃん、肝臓や胆道の病気がある人、赤血球が壊れやすい病気(溶血性貧血)のある人、体質的にビリルビンが高めな人(ジルベール症候群など)、大量の飲酒や肥満のある人、特定の薬を長く使っている人が関係しやすいです。
症状
- 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応がおかしい。
- けいれんが起きた。
- 高熱と強い黄疸が同時にある。
- おなかの激しい痛みが続き、動けない。
- コーヒーの残りかすのようなものを吐いた、黒い便が出た。
- 赤ちゃんがぐったりしている、哺乳ができない、体が反り返る。
- ⚠白目や皮膚が黄色くなったことに気づいた。
- ⚠尿が急に濃い茶色になった。
- ⚠便の色が白っぽくなった。
- ⚠皮膚のかゆみが強く、眠れない。
- ⚠黄疸に発熱や寒気をともなう。
- ⚠黄疸が2週間以上続いている、またはだんだん強くなっている。
一般的な症状
- 数値が少し高いだけでは、ほとんど無症状のことが多いです。
- 白目や皮膚が黄色っぽくなる(黄疸)。
- 尿の色が濃い(紅茶やコーラのような色)。
- 便の色が白っぽい、または薄い黄色になる。
- 皮膚のかゆみ。
- だるさ、疲れやすさ、食欲が落ちる、吐き気。
- 右上のおなかの違和感や痛み。
子供の症状
- 生後2〜4日ごろから、顔や目のまわりが黄色っぽくなる(新生児黄疸)。
- 授乳やミルクの飲みが悪い、よく眠ってばかりいる。
- うんちの色が白っぽい、おしっこが濃い色をしている。
- 黄疸が足の先まで広がっているように見える。
高齢者の症状
- 黄疸が目立ちやすい一方、痛みなどがはっきりしないことがあります。
- 強いかゆみ、体重が減る、食欲がない。
- だるさや元気のなさが続く。
- 急にぼんやりする、話がかみ合わないなど、いつもと違う様子が出ることがある。
原因
主な原因
- 赤血球がふだんより多く壊れる(溶血性貧血など)。
- 肝臓がビリルビンを処理しきれない(肝炎、脂肪肝、肝硬変など)。
- 胆汁の流れが悪くなる(胆石、胆管の狭窄、腫瘍など)。
- 体質によるもの(ジルベール症候群など。病気というより体の特徴で、健康への影響はほとんどありません)。
- 薬の影響や、漢方・サプリメントによる影響。
- 新生児の生理的な黄疸(肝臓の機能がまだ発達途中のため)。
- 長時間の絶食、脱水、激しい運動、疲労などで一時的に高くなる。
リスク要因
- 生まれたばかりの赤ちゃんであること。
- 家族に肝臓や胆道の病気の人がいる。
- お酒を多く飲む習慣がある。
- 肥満、糖尿病、脂質異常がある。
- 胆石がある、または以前に胆のうの病気をしたことがある。
- 赤血球が壊れやすい体質や病気がある。
- 肝臓に負担をかける可能性のある薬を長期間使っている。
- 食事を極端に抜く、水分不足になりやすい生活をしている。
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 白目や皮膚の黄色に気づいたとき(特に初めて気づいたとき)。
- 発熱、寒気、おなかの痛みをともなう黄疸。
- 尿が濃い茶色、便が白っぽいなど、色の変化がはっきりある。
- 赤ちゃんの黄疸が強くなっている、哺乳が悪い、元気がない。
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断でビリルビン高値を指摘された。
- 数値が高めと言われたまま、とくに説明を受けていない。
- だるさ、食欲低下、かゆみが続いている。
- 黄疸が何度も繰り返す、または長く続いている。
- 市販薬やサプリメントを始めてから数値が変わった気がする。
診断
まずは問診(飲酒、薬、食事、家族歴、症状の経過)と診察、そして血液検査で判断します。ビリルビンには「間接ビリルビン」と「直接ビリルビン」があり、どちらが高いかで原因の見当がつきます。たとえば間接優位なら赤血球が壊れている可能性、直接優位なら胆汁の流れが悪い可能性を考えます。必要に応じて画像検査を追加します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(総ビリルビン、直接・間接ビリルビン、肝機能の数値、血算)。
- 尿検査(ウロビリノーゲン、ビリルビン、尿の色の確認)。
- 腹部エコー(超音波)検査で肝臓・胆のう・胆管を見る。
- 必要に応じてCT検査やMRI検査。
- 溶血(赤血球が壊れること)を調べる検査。
- ウイルス性肝炎の検査。
- 新生児では、必要に応じて皮膚や血液で黄疸の強さを測る。
診察で予想されること
多くの場合、採血と尿検査だけで大きな方向性がわかります。結果は数日で出ることが多いですが、施設によっては当日わかることもあります。画像検査は予約制のことが多く、当日にすべて終わらないこともあります。検査の前に絶食を求められる場合があるので、事前に確認しておくと安心です。
治療
治療は「ビリルビンを下げること」そのものより、「なぜ高くなっているのか」という原因に合わせて行われます。体質による軽度の高値なら治療は不要で、定期的な確認だけで済むことがほとんどです。原因が見つかった場合は、その病気に応じた対応をします。
自宅でのセルフケア
- お酒の量を減らす、または一定期間やめてみる(肝臓を休ませるため)。
- 水分をこまめにとり、脱水を避ける。
- 極端な食事制限や長時間の絶食を避け、規則正しく食べる。
- 市販薬・サプリメント・健康食品は、始める前にかかりつけ医や薬剤師に相談する。
- 十分な睡眠と休息をとる。
- 体重が増えすぎている場合は、無理のない範囲で減量を心がける。
- 黄疸の変化(白目の色、尿や便の色)をメモしておき、受診時に伝える。
医療治療
原因によって方針が変わります。ウイルス性肝炎や自己免疫による肝臓の炎症には、炎症を抑える治療が検討されます。赤血球が壊れやすい病気では、その病気に応じた治療が行われます。胆汁の流れが悪い場合は、詰まりを取り除く処置が検討されます。新生児の黄疸が強い場合には、光を当ててビリルビンを分解しやすくする光線療法が行われます。いずれも具体的な薬の種類や量は、担当の医師が状態に合わせて判断します。
手術が検討される場合
胆石や胆管の詰まり、腫瘍など、胆汁の通り道に物理的な原因がある場合には、内視鏡的な処置や手術が検討されることがあります。体質による高値や、肝臓の炎症が原因の場合は、通常は手術ではなく経過観察や内科的な治療が中心になります。
この病気と共に生きる
ビリルビンが少し高めでも、ふだんどおりの生活を送れている人がほとんどです。数値だけに振り回されず、体調の変化(だるさ、かゆみ、尿や便の色)に気を配りながら、決められた通院や検査を続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 飲酒は量と頻度を意識して控えめにする。
- 睡眠をしっかりとり、過労を避ける。
- 水分補給を習慣にする。
- 薬やサプリは自己判断で増やさない。
- 黄疸の有無をときどき鏡で確認する習慣をつける。
- 健診結果を1か所にまとめて保管し、変化を比べられるようにする。
食事と運動
特別な食事制限が必要なのは、特定の病気がある場合だけです。ふだんは、野菜・たんぱく質・主食をバランスよくとり、揚げ物や甘い飲み物をとりすぎないことが基本です。急な絶食や極端なダイエットは、かえってビリルビンが上がることがあるので避けましょう。運動は、ウォーキングなど無理のない範囲で続けるのがおすすめです。体調がすぐれないときは無理をせず休んでください。
精神的健康と心の健康
「黄疸」「肝臓」という言葉は不安を感じさせます。とくに検査結果を待つ間は、いろいろ考えてしまい眠れなくなる人もいます。体質による高値と説明を受けた場合は、生活への影響はほとんどないことが多いので、必要以上に心配しないでください。一方で、不安が続いて日常生活に支障が出るときは、ひとりで抱え込まず、かかりつけ医や相談窓口に話してみてください。つらい気持ちが強いときは、地域の相談窓口や専門の相談ダイヤルを利用することも大切です。
予防
体質による高値は予防できませんが、肝臓に負担をかける生活を避けることで、肝臓や胆道が原因となる高値を防ぐ助けになります。飲酒を控えめにする、肥満を防ぐ、薬やサプリの使い方に気をつける、健診を毎年受ける、といったことが基本です。
ワクチン
ウイルス性肝炎の中には、ワクチンで予防できるものがあります。B型肝炎ワクチンは日本では定期接種の対象になっています。自分が肝炎ウイルスに感染していないかは、自治体などが行う肝炎ウイルス検査で確認できます。詳しくはかかりつけ医やお住まいの自治体にご相談ください。
検診プログラム
健康診断の血液検査と尿検査に、ビリルビンや肝機能の項目が含まれています。毎年受けて前回との変化を見比べることが、いちばんの早期発見になります。新生児は、出生後や退院前、1か月健診などで黄疸の確認が行われます。
合併症
治療しない場合
- 原因によっては肝臓の炎症や線維化が進み、肝機能が低下することがあります。
- 胆汁の流れが悪いままだと、胆管に炎症が起きたり、胆のうの病気につながったりすることがあります。
- 赤血球が壊れ続ける病気では、貧血が進むことがあります。
- 新生児でビリルビンが非常に高くなった場合、脳への影響が出ることがあります(現在は早期発見・早期対応でまれです)。
- 強いかゆみや食欲低下が続き、生活の質が下がることがあります。
長期的な見通し
多くの場合、ビリルビンの高値は命に関わるものではなく、原因を確認して必要な対応をすれば落ち着きます。体質による高値なら、健康への影響はほとんどなく、ふつうに生活できます。新生児黄疸も、ほとんどの赤ちゃんは自然に軽快します。気になる数値があっても、あわてずに医療機関で確認することが、いちばんの近道です。
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最終更新: 2026年11月3日
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