尿検査(にょうけんさ)ってどんな検査? わかることと受け方
概要
尿検査は、出たばかりの尿(おしっこ)を少量取って、その中にどんな成分がどれくらい含まれているかを調べる検査です。尿は、体のなかで血液がろ過(こし取られること)されてできるので、腎臓(血液をきれいにする臓器)や尿の通り道(膀胱や尿道)、そして体全体の状態について、いろいろな手がかりがつまっています。針を刺したり痛い思いをしたりすることはなく、体への負担がとても少ない検査です。健康診断でもほぼ必ず行われ、病気の早期発見の入り口として広く使われています。
重要な事実
- 尿をコップに採るだけの、痛みのない安全な検査です。採尿は数十秒で終わります。
- 調べる主な項目は、たんぱく(蛋白)、糖、血(潜血)、ケトン体、白血球、細菌、尿の濃さ(比重)や酸性・アルカリ性(pH)などです。
- 結果の一部はその日のうちにわかりますが、細菌を調べる培養検査などは数日かかることがあります。
- 異常が見つかっても、それだけで病気と決まるわけではありません。食事・水分・運動・月経などの影響で、健康な人でも数値が動くことがあります。
尿検査は、健康診断や病院の初診、入院時などでごく当たり前に行われる、とても一般的な検査です。日本では、職場や学校の健康診断、また40〜74歳の方を対象とした特定健康診査(メタボ健診)でも尿検査が含まれており、毎年多くの人が受けています。
年齢や性別を問わず、誰でも受ける可能性のある検査です。症状があるときの診断のためだけでなく、症状がない人の健康診断、妊娠中の健診、手術や入院の前の確認、薬の影響を見るときなど、さまざまな場面で行われます。
症状
- 尿がまったく出ず、下腹部が張って強く痛む(尿がたまっているのに出せない状態)
- 高熱と腰・背中の強い痛みがあり、顔色が悪い、意識がぼんやりしている
- 尿が真っ赤で、血のかたまりが続けて出る
- 強い痛みで冷や汗が出る、血圧が下がったようにぐったりしている
- ⚠排尿時の痛みと38度以上の発熱が同時にある
- ⚠血の混じった尿が2日以上続く
- ⚠まぶたや足のむくみが急に出てきた
- ⚠尿の量が極端に少ない、またはまったく出ない状態が半日以上続く
- ⚠尿のにおいが強く、濁りと発熱がある
一般的な症状
- 尿検査そのものには「症状」はありません。ここでは、尿検査を受けるきっかけになりやすい体のサインを紹介します。
- 尿の色がいつもより濃い、赤っぽい、コーラのような色になる
- 尿が白く濁る、においがいつもより強い
- 排尿のときに痛む、しみる、熱い感じがする
- トイレが近い(頻尿)、夜中に何度も起きてトイレに行く
- 尿が出はじめるまで時間がかかる、尿の勢いが弱い
- 体がむくむ(まぶた、顔、足など)
- 疲れやすい、だるさが続く
- のどが渇いて水をよく飲む、尿の量が増えた
子供の症状
- おむつや下着に赤っぽい、または茶色っぽい染みがつく
- 理由がはっきりしない発熱が続く
- 機嫌が悪い、食欲がない、元気がない
- おしっこをするときに痛がる、泣く
- トイレが近い、または急に間に合わなくなる
- 一度できるようになったおねしょが、また戻ってきた
高齢者の症状
- 尿もれが増えた、トイレに間に合わない
- 急にぼんやりする、話がかみ合わない(体の感染が原因のことがあります)
- はっきりしない発熱や、なんとなく元気がない状態が続く
- 食欲が落ちる、水分をあまり取らなくなる
- 夜間のトイレの回数が増える
原因
主な原因
- 尿検査は「原因を調べる検査」なので、ここでは尿に異常が出る代表的な理由を紹介します。
- 水分不足や激しい運動のあと:尿が濃くなり、たんぱくや血が一時的に出ることがあります
- 発熱や体調不良:一時的にたんぱくが混じることがあります
- 月経中の出血が尿に混ざる
- 尿路感染症(膀胱炎や腎盂腎炎など、尿の通り道の感染症):白血球や細菌が出ます
- 腎臓の病気(腎炎やネフローゼ症候群など):たんぱくや血が出ます
- 糖尿病:尿に糖が出ます(血糖値が高い状態が続いたとき)
- 肝臓や胆のうの病気:尿の色が濃くなったり、ビリルビンが出たりします
- 尿路結石(尿の通り道に石ができる病気):血が出ます
- 妊娠:尿に糖やたんぱくが出やすくなることがあります
- 薬やサプリメント、大量のビタミンCなどの影響
リスク要因
- 水分をあまり取らない習慣
- 尿路感染症をくり返したことがある
- 糖尿病、高血圧、腎臓の病気の家族歴がある
- 妊娠中である
- 高齢である(腎臓の働きや排尿の機能が変化しやすい)
- 女性は尿道が短いため、尿路感染症を起こしやすい
- 前立腺の病気がある男性
- 尿道カテーテル(尿を出す管)を使っている
- 免疫の力が低下する病気や治療を受けている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 尿が出ない、またはほとんど出ない状態が続く
- 排尿時の痛みと高熱がある
- 血の混じった尿が続く、または血のかたまりが出る
- 急なむくみ、息苦しさ、体重の急な増加がある
- 強い腰・背中の痛みと発熱がある
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断の尿検査で「要再検査」「要精密検査」と書かれていた
- 尿の色やにおい、濁りが以前と違う状態が1週間以上続く
- トイレの回数が増えた、夜中に何度も起きる
- 体がむくみやすい、疲れやすい状態が続く
- のどが渇いて尿の量が増えた状態が続く
- 妊娠中で尿の異常を指摘された
診断
尿検査は、医師や看護師、臨床検査技師の指示にしたがって、清潔なカップに尿を採って提出します。診察室や健診会場でその場で採ることも、自宅で朝の尿を採って持参することもあります。採る量は数十ミリリットル程度で、痛みはまったくありません。
行われる可能性のある検査
- 尿試験紙検査(試験紙を尿に浸して、たんぱく・糖・血・白血球・ケトン体・pHなどを調べる、もっとも一般的な検査)
- 尿沈渣(にょうちんさ)検査(尿を遠心分離して、赤血球・白血球・細菌・結晶などを顕微鏡で見る検査)
- 尿培養検査(尿の中に細菌がいるか、どの種類かを調べる検査。結果まで数日かかります)
- 尿たんぱくの量を測る検査(24時間の尿をためる方法や、一回の尿で測る方法があります)
- 微量アルブミン尿検査(糖尿病などで腎臓への負担を早く見つける検査)
- 妊娠検査(尿の中のホルモンを調べる検査)
- 必要に応じて血液検査、超音波検査、レントゲン検査などを組み合わせる
診察で予想されること
採尿は数十秒で終わり、体への負担はほとんどありません。試験紙の結果はその日のうちに、多くは数十分でわかります。沈渣検査も比較的早く結果が出ますが、培養検査は2〜5日ほどかかることがあります。結果は「陰性(異常なし)」「陽性(異常あり)」や「+〜+++」などで示され、基準から外れていても、すぐに治療が必要とは限りません。医師は症状や他の検査と合わせて総合的に判断します。結果の見方がわからないときは、遠慮なく医師や看護師、薬剤師に尋ねてください。
治療
尿検査はあくまで「調べる検査」であり、検査そのものに治療はありません。大切なのは、結果をもとに原因を確かめ、必要に応じて治療や生活の見直しにつなげることです。異常が軽度で一時的なものであれば、再検査で経過を見ることもよくあります。
自宅でのセルフケア
- 検査の前日は激しい運動を控えめにする(運動後に一時的にたんぱくや血が出ることがあります)
- 当日はいつもどおりの水分をとる。ただし検査の種類によって指示があればそれに従う
- 月経中はそのことを伝える(結果に影響することがあります)
- ビタミンCの大量摂取やサプリメントは、検査に影響することがあるため、事前に医師や薬剤師に伝える
- 採尿のときは、最初の尿を少し捨ててから中間の尿を採ると、結果が正確になりやすい(指示があればそれに従う)
- 結果の紙は捨てずに保管し、次の受診のときに持って行く
医療治療
尿検査で見つかった異常に対しては、その原因に応じた治療が行われます。たとえば尿路感染症であれば医師が適切な治療薬を判断しますし、糖尿病や高血圧が背景にある場合は生活習慣の見直しや継続的な治療が中心になります。腎臓の病気が疑われる場合は、専門医による詳しい検査と経過観察が行われることがあります。どのような治療が必要かは、症状・他の検査結果・持病などをふまえて医師が判断します。自分で判断して薬を飲んだり中断したりせず、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
尿検査の結果だけで手術が必要になることはありません。ただし、原因として尿路結石や前立腺の病気などが見つかった場合には、状態に応じて手術や処置が検討されることがあります。その場合も、専門医から詳しい説明を受けたうえで決めていきます。
この病気と共に生きる
尿検査は一度受けて終わりのものではなく、健康診断などで定期的に受けることで、体の変化を早く見つける助けになります。結果が気になるときは、あれこれ一人で調べすぎず、結果の紙を持って医療機関に相談するのが一番の近道です。
生活習慣のアドバイス
- 水分をこまめにとる(脱水は尿の異常の原因になります)
- トイレを我慢しすぎない
- 排尿のあとは清潔を保つ
- 適正な体重を維持する
- たばこは控えめにする
- 十分な睡眠と休養をとる
- 健康診断の結果を保管し、毎年比較できるようにする
食事と運動
特定の食事が尿検査の数値を直接よくするわけではありませんが、ふだんから塩分をひかえめにし、バランスのよい食事を心がけることは、血圧や血糖、腎臓の健康を保つ助けになります。適度な運動(ウォーキングなど)も、生活習慣病の予防につながります。ただし検査の直前の激しい運動は、尿にたんぱくや血が出る原因になることがあるため控えめにしましょう。食事や運動の内容で迷うときは、医師や管理栄養士に相談してください。
精神的健康と心の健康
「異常あり」と書かれた紙を見ると、それだけで不安になる方は少なくありません。ただ、尿検査の異常は再検査で問題ないことも多い検査です。不安が強いとき、眠れない日が続くとき、結果のことを考えてばかりいるときは、一人で抱え込まずに医師や看護師に気持ちを伝えてください。つらい気持ちが続く場合は、自治体の相談窓口や、かかりつけの医療機関で相談することもできます。気持ちがとても追い詰められていると感じたら、ためらわずに身近な人や専門の相談先に連絡してください。
予防
尿検査で見つかる多くの問題は、完全に防ぐことはできませんが、定期的に検査を受けて早期に気づくことが何より大切です。また、水分をしっかりとる、塩分をひかえる、血圧や血糖をよい状態に保つ、尿路感染症をこじらせない、といった日々の心がけが、腎臓や尿の通り道の健康を守る助けになります。
ワクチン
尿検査そのものにワクチンはありません。ただし、尿路感染症の一部は、かかりつけ医に相談のうえで予防の方法を検討できることがあります。
検診プログラム
日本では、職場や学校の健康診断、市区町村のがっこう健診・特定健康診査(40〜74歳の方を対象とした健診)などで尿検査が行われます。厚生労働省も健診での尿検査を推奨しており、症状がなくても年に一度は受けることが勧められます。妊娠中は健診のたびに尿検査が行われます。
合併症
治療しない場合
- 尿路感染症を見逃すと、感染が腎臓に広がることがあります
- 腎臓の病気が進行すると、むくみや疲れやすさが強くなることがあります
- 糖尿病による腎臓への負担が進むことがあります
- たんぱく尿が続くと、心臓や血管の病気のリスクが高まることが知られています
- 結石や前立腺の病気による排尿のトラブルが悪化することがあります
長期的な見通し
尿検査は、体の変化に早く気づくための、とても身近でやさしい検査です。異常が見つかっても、多くの場合は再検査で問題がないことが確認でき、治療が必要な場合でも早期に対応することで経過は良好に保ちやすくなります。結果を恐れすぎず、定期的に受けて、気になることはかかりつけ医に相談する——その積み重ねが、長い目で見た健康を支えます。
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最終更新: 2026年11月3日
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