CT血管造影(CTA)検査について
概要
CT血管造影(CTA)は、CTスキャンという機械で体の断面を撮影しながら、血管をくっきり映し出す検査です。CTは「コンピューター断層撮影」の略で、体の外からX線を使って輪切りの画像を撮る装置のことです。この検査では、造影剤(ぞうえいざい:血管を画像で目立たせるための液体)を腕の静脈から入れ、血液の流れに乗せて血管の形や詰まり具合を写します。血管が狭くなっていないか、こぶ(動脈瘤)ができていないか、血栓(血の塊)が詰まっていないかを、体を切らずに調べられるのが特徴です。
重要な事実
- CT血管造影は「病気そのもの」ではなく、血管の状態を調べるための画像検査です。
- 腕の静脈から造影剤を入れて撮影するため、検査の前後にいくつかの準備と注意があります。
- 検査はあくまで「調べる」ためのもので、結果をもとに今後の方針を主治医と一緒に決めていきます。
とてもよく行われる検査です。胸や足の血管、脳の血管、腹部の血管などを調べる際に、広く使われています。CT装置のある病院やクリニックであれば、比較的身近に受けられる検査といえます。
年齢を問わず必要になれば受けられる検査ですが、動脈硬化(血管が硬く狭くなる変化)が進みやすい中高年の方に多く行われます。若い方では、生まれつきの血管の形の異常や、けがの後の確認などで行われることがあります。
症状
- 突然の激しい胸の痛み、または締めつける胸の痛みが続く(心臓や大動脈の緊急事態の可能性)
- 冷や汗、息苦しさ、吐き気を伴う胸の痛み
- 顔の片側が下がる、ろれつが回らない、片側の手足が動かない、急に見えにくい(脳卒中のサイン)
- 突然の激しい腹痛や背中~腰の引き裂かれるような痛み(大動脈解離の可能性)
- 意識がもうろうとする、気を失った、けいれんが止まらない
- 呼吸が苦しくて話せない、唇や顔色が青白い
- ⚠軽い胸の不快感や動悸が、繰り返し起きる
- ⚠片足だけが急に腫れて、痛みや熱感がある(血栓の可能性)
- ⚠手足のしびれや言葉の出にくさが数分で消えた(一過性脳虚血発作の可能性)
- ⚠いつもと違う強い頭痛が続く
- ⚠血圧が普段よりかなり高い状態が続く
一般的な症状
- この検査自体に症状はありません。ここでは「この検査が必要になることがある症状」を挙げます。
- 胸が締めつけられる、押されるような痛みや不快感
- 動悸(心臓の鼓動が強く、速く感じる)
- 歩いているとふくらはぎが痛くなり、休むと楽になる
- 片方の足が腫れる、だるい、痛む
- めまい、立ちくらみ、頭が重い感じ
- 息切れしやすい、階段で息が上がる
- 手足のしびれや力が入りにくい感じが、短時間で消えた
子供の症状
- 小児では頻繁に行われる検査ではありませんが、生まれつきの心臓や血管の形を調べるとき、川崎病のあとに心臓の血管を確認するときなどに用いられることがあります。
- 子どもはじっとしているのが難しいことがあるため、体を動かさないように工夫したり、場合によっては軽い鎮静(ねむった状態にすること)を使ったりします。
- 造影剤を使うため、兄弟や家族にアレルギーがあるか、これまでに造影剤で具合が悪くなったことがないかを事前に伝えてください。
高齢者の症状
- 動脈硬化が進みやすいため、CT血管造影を受ける機会が多くなります。
- 腎臓の働きが落ちていると造影剤が負担になることがあるため、事前の血液検査で腎機能を確認します。
- お薬を飲んでいる方は、検査前に服用について主治医や薬剤師に相談してください。特に糖尿病のお薬や腎臓に影響するお薬は、検査の日程調整が必要なことがあります。
- 検査中に息を止める時間があるため、息苦しさや不安がある方は事前にスタッフに伝えておくと安心です。
原因
主な原因
- この検査は「原因を調べる」ためのものなので、ここでは検査が必要になる主な背景を説明します。
- 動脈硬化:血管の内側にコレステロールなどがたまり、血管が狭く硬くなる変化
- 動脈瘤(どうみゃくりゅう):血管の壁が弱くなって、風船のようにふくらんだ状態
- 血栓(けっせん):血管の中に血の塊ができて流れを邪魔している状態
- 血管の炎症やけが、生まれつきの血管の形の違い
- 手術やカテーテル治療の前に、血管の走行を詳しく確認したいとき
リスク要因
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)
- 喫煙(本人だけでなく受動喫煙も含む)
- 肥満、運動不足、塩分の多い食事、お酒の飲みすぎ
- 家族に心臓病や脳卒中、血管の病気の人がいる
- 腎臓の働きの低下(造影剤を使ううえでの注意点になります)
- 過去に造影剤で具合が悪くなったことがある、アレルギーの既往がある(事前に必ず伝えてください)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛みや息苦しさが続く、または繰り返す
- 片足の腫れや痛みがある
- 手足のしびれ、言葉の出にくさが一時的にでも起きた
- 動悸が止まらない、脈がとても速い・不規則に感じる
- いつもと違う強い頭痛、腹痛、背部痛がある
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断で血圧やコレステロール、血糖値を指摘された
- 歩行時にふくらはぎが痛くなるが、休めば治まる
- 家族に血管の病気の人がいて心配
- 主治医からCT血管造影をすすめられた、または検査の予定がある
- 検査の前に、飲んでいるお薬やアレルギー、妊娠・授乳の有無について相談したい
診断
CT血管造影は、問診(お話をうかがうこと)と診察、血液検査、心電図、超音波検査などを行ったうえで、「血管の詳しい形を知りたい」と医師が判断したときに行われます。検査の必要性や、ほかに向いている検査がないかは、症状や体の状態に合わせて医師が判断します。
行われる可能性のある検査
- 問診と診察:症状の出方、既往歴、飲んでいるお薬、アレルギーの有無を確認します。
- 血液検査:特に腎臓の働き(造影剤を使えるかどうかの目安)と、炎症や貧血の有無を調べます。
- 心電図:心臓のリズムや、胸の痛みの背景を確認します。
- 胸部X線や超音波(エコー)検査:心臓や血管の大きさ、血流の様子をみます。
- CT血管造影(CTA)本体:造影剤を腕の静脈から入れ、CTで撮影します。
- 必要に応じてMRI血管撮影(MRA)や、カテーテルを使った血管造影を行うこともあります。
診察で予想されること
検査の数時間前から食事を控えるよう指示されることがあります(水分については施設の指示に従ってください)。検査室ではベッドに横になり、腕の静脈に細い針を入れます。造影剤を入れると、体がほてる感じ、のどが渇く感じ、尿を漏らしたような不思議な感覚がすることがありますが、多くはすぐに治まります。撮影中は「息を吸って止めてください」などの声かけに合わせます。検査そのものは数分から十数分程度で終わることが多いです。終わったあとは、造影剤を体から出しやすくするために水分をとるよう案内されることが多く、しばらく待ってから帰宅となる場合があります。気分が悪くなったり、皮膚のかゆみや息苦しさが出たりしたら、すぐにスタッフに伝えてください。妊娠中・妊娠の可能性がある方、授乳中の方は、事前に必ず伝えてください。
治療
CT血管造影は「治療」ではなく「検査」です。治療の方針は、検査で見つかった内容によって決まります。血管の変化が軽い場合は生活習慣の見直しと定期的な経過観察で済むことも多く、狭さやこぶの程度が強い場合は専門的な治療が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 検査前:絶食やお薬についての指示を必ず守る。飲んでいるお薬(特に糖尿病のお薬や腎臓に影響するお薬)は自己判断で止めず、事前に相談する。
- 検査前:アレルギーの既往、過去に造影剤で具合が悪くなった経験、妊娠・授乳の有無をスタッフに伝える。
- 検査後:案内されたとおりに水分をとり、造影剤を体から出しやすくする。
- 検査後:針を刺した部位の出血や腫れ、発疹・かゆみ・息苦しさなどの変化があれば、その場ですぐにスタッフへ伝える。帰宅後に気になる症状が出たら医療機関に連絡する。
- 結果を待つ間は、症状の変化をメモしておくと診察のときに役立つ。
医療治療
検査で見つかった状態に応じて、治療の組み合わせが変わります。たとえば、血管を硬く狭くする背景(血圧、血糖、コレステロールなど)を整える治療、血液が固まりにくくなるのを助ける治療、血管のけいれんや炎症をしずめる治療などが、症状と検査結果に合わせて検討されます。どの治療を選ぶかは、年齢や他の病気、生活背景も含めて主治医と話し合って決めていきます。お薬の名前や量については、必ず処方した医師・薬剤師の説明に従ってください。
手術が検討される場合
血管の狭さが強くて症状が続く場合、こぶ(動脈瘤)が大きい場合、血管が裂けるタイプの緊急疾患が見つかった場合などは、カテーテルという細い管を使った治療や手術が検討されます。ただし、すべての方が手術になるわけではなく、状態によって判断は大きく異なります。
この病気と共に生きる
検査を受けたあとは、結果を踏まえて日常生活で気をつける点を主治医と確認しましょう。検査そのものによる制限は通常ほとんどありませんが、針を刺した部位の違和感がしばらく残ることがあります。症状の変化を記録しておくと、次の診察がスムーズになります。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を心がける。難しい場合は、禁煙外来など地域の支援を利用する。
- 塩分を控えめにし、野菜・魚・大豆製品などをバランスよくとる。
- 無理のない範囲で、早歩きなどの有酸素運動を習慣にする(始める前に主治医に相談を)。
- 睡眠を十分にとり、強いストレスが続くときは相談先を持つ。
- 血圧や体重、血糖値を定期的に記録する。
- 処方されたお薬は、自己判断で中断せず、気になることがあれば薬剤師に相談する。
食事と運動
食事は、塩分・砂糖・揚げ物を控えめにして、野菜や海藻、魚、大豆製品をとり入れると血管にやさしい食事になります。運動は、会話ができる程度の速さのウォーキングを1日20〜30分、無理のない範囲で続けるのが目安です。胸の痛みや強い息切れが出たら、その場で運動をやめて医療機関に相談してください。
精神的健康と心の健康
検査の結果を待つ間や、血管の病気と告げられたあとは、不安や落ち込みを感じるのは自然なことです。考えすぎて眠れない、気分が晴れない状態が2週間以上続く、日常生活に支障が出ているといった場合は、ひとりで抱えずに医療機関や地域の相談窓口に相談してください。つらい気持ちが強いとき、自分を傷つけたい気持ちがわいたときは、すぐに医療機関や地域の緊急窓口に連絡してください。日本では救急が119番、地域によっては救急相談の電話窓口も利用できます。
予防
CT血管造影は検査なので、それ自体を「予防する」という考え方はありません。ただし、この検査が必要になる背景(動脈硬化や血管の病気)は、生活習慣を整えることでリスクを下げられる可能性があります。
検診プログラム
日本では、特定健康診査(メタボ健診)などで血圧・血糖・脂質を定期的に確認できます。健診結果で気になる値があれば、早めにかかりつけ医に相談しましょう。動脈硬化が心配な方には、頸動脈の超音波検査などが行われることもあります。
合併症
治療しない場合
- ここでは「検査を受けずに、血管の変化を放置した場合に考えられること」を説明します。
- 血管が狭くなったまま進むと、胸の痛みや歩行時の痛みが強まることがあります。
- 心臓や脳の血管が詰まると、心筋梗塞や脳卒中のような重い状態につながることがあります。
- 動脈瘤が大きくなると、破裂という緊急事態の危険が高まることがあります。
- ただし、こうした経過は人によって大きく異なり、必ずそうなるというものではありません。
長期的な見通し
CT血管造影は、血管の状態を早い段階で把握できる有用な検査です。早めに状態を知ることで、生活習慣の見直しや適切な治療につなげられ、多くの場合その後の経過をより良い方向に保つことができます。検査結果に不安を感じたときは、主治医と一緒に一つずつ確認していきましょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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