エンドフリップ(EndoFLIP)検査ってどんな検査?
概要
エンドフリップ(EndoFLIP)は、食道の内側がどれくらい広がりやすいか、そして中でどれくらいの圧力がかかっているかを数値で測る検査です。細い管(カテーテル)の先に小さな風船(バルーン)がついていて、これを食道の中に入れてふくらませ、そのときの太さと圧力をくわしく記録します。食道は、飲み込んだ食べ物を筋肉の波のような動き(ぜん動)で胃へ送り出し、胃の入口では「ふた」の役割をする筋肉がゆるんで食べ物を通します。この働きがうまくいっているかどうかを、目で見るのではなく数字で確かめられるのが、この検査の特徴です。
重要な事実
- 内視鏡検査や治療の流れの中で行われることが多く、ふつうは鎮静(眠りに近い状態)で受けます
- 検査そのものの時間は数分から10分程度のことが多いです
- 食道の動きの異常(アカラシアなど)の診断や、治療の効果確認、手術中の確認に使われます
- 体の外からは見えない「食道の働き」を数値で見ることができます
特別な検査で、すべての人が受けるものではありません。飲み込みの困りごとが続く人のうち、通常の内視鏡検査では大きな異常が見つからない場合などに、食道の働きを詳しく調べる目的で行われることがあります。
症状
- 食べ物がのどに完全に詰まり、息ができない・声が出ない・顔色が青白い(自分で咳ができない場合は、周りの人に助けを求め、救急車を呼んでもらう)
- 胸の激しい痛みが突然起こり、冷や汗や息苦しさを伴う
- 血を吐いた、コーヒー色のものを吐いた、黒い便が出た
- ⚠水ものどを通らない、よだれも飲み込めない
- ⚠食事がとれず、脱水の症状(口の渇き、尿が少ない、ふらつき)がある
- ⚠発熱と胸の痛みが同時にある
- ⚠急に体重が減り続けている
一般的な症状
- 食べ物を飲み込みにくい、のどや胸のあたりでつかえる感じがする
- ゆっくり食べないとのどを通らない、食事に時間がかかる
- 胸の痛みや違和感、焼けるような感じがある
- げっぷが増えた、食後に食べ物や胃液が口に戻ってくることがある
- 食べる量は変わらないのに体重が減ってきた
- 夜中や食後にせき込む、声がかすれる
子供の症状
- ミルクの飲みが悪い、飲むとむせる、吐く
- 体重が増えにくい、成長曲線から外れてきた
- 大きくなってからは、食べ物をよく詰まらせる、食べるのを嫌がる
- 食事のたびに泣いたり、胸を押さえたりする
高齢者の症状
- 飲み込みにくさを「年のせい」だと思って我慢してしまいがち
- 食事に時間がかかる、むせる、食後にせき込む
- 気づかないうちに体重が減り、体力が落ちる
- 誤って気管に入ってしまう(誤嚥)ことで肺炎を起こすことがある
- 薬がのどに引っかかる、つぶさないと飲めない
原因
主な原因
- 食道の筋肉の動きの異常(アカラシア、食道けいれんなど)
- 好酸球性食道炎などによる食道の狭さや炎症
- 逆流性食道炎による食道の変化
- 食道裂孔ヘルニアなど、胃の入口の形の変化
- 食道の手術の前後や治療中の、働きの確認
リスク要因
- 飲み込みにくさ、胸のつかえ、胸やけなどの症状が続いている
- アカラシアや好酸球性食道炎などと診断されたことがある
- 食道や胃の手術を予定している、または受けたことがある
- アレルギー体質、ぜんそく、アトピーの既往がある(好酸球性食道炎との関連)
- 家族に食道の病気の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 水も飲めない、よだれも飲み込めない状態が続く
- 胸の激しい痛みがある、発熱を伴う胸の痛みがある
- 血を吐いた、黒い便が出た
- 食事がとれず脱水ぎみで、ふらつく・尿が極端に少ない
定期受診を予約すべき場合:
- 飲み込みにくさや胸のつかえが数週間以上続いている
- 食事中に食べ物が詰まる、むせることが増えた
- げっぷや胸やけが長く続いている
- 体重が減ってきた、夜間にせき込む
- 食道の手術や治療を控えている、治療後の経過を確認したい
診断
まず問診で症状や食べ方の様子を聞き、内視鏡検査で食道や胃の入口に炎症や狭さがないかを確認します。そのうえで食道の働きを詳しく見たいときに、エンドフリップが行われます。多くは内視鏡検査や治療と同じタイミングで、鎮静をかけたまま行われます。バルーンを何回かふくらませて、食道の広がり具合(断面積)と圧力、バルーンの広がりやすさを数値で記録します。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状、食事の様子、体重の変化、既往歴)
- 内視鏡検査(食道・胃の入口の観察、必要に応じて組織を少し採る生検)
- 食道造影検査(バリウムを飲んで形と通り方を見る)
- 食道内圧検査(高解像度マノメトリー:食道の筋肉の動きを調べる)
- エンドフリップ(食道の広がりやすさと圧力を測る)
- 血液検査(炎症や栄養状態、アレルギーの手がかりを確認)
診察で予想されること
検査の前は、決められた時間の絶食が必要なことが多いです。鎮静を使う場合は、当日の運転や機械の操作は控え、付き添いをお願いしましょう。検査中はのどに多少の違和感があるかもしれませんが、多くの人は眠ったような状態で受けられます。検査後は少し休んでから帰宅でき、のどの軽い痛みや違和感が数時間続くことがあります。結果は数値や図で説明されるので、気になる点は遠慮なく質問しましょう。
治療
エンドフリップは治療ではなく、状態を知るための検査です。結果をもとに、症状の原因や生活への影響に合わせて治療方針を主治医と一緒に考えていきます。食道の働きの変化が軽い場合には、食べ方の工夫や生活の見直しで楽になることもあります。
自宅でのセルフケア
- よくかんで、少しずつ時間をかけて食べる
- 水分をとりながら食べ、パサパサしたものは特にゆっくりと
- 一度にたくさん食べず、少量を回数に分ける
- 食後すぐに横にならず、30分ほど座って過ごす
- 就寝の2〜3時間前は食事を控え、頭側を少し高くして寝る
- 禁煙し、お酒は控えめにする
- 症状と食べたものを簡単に記録して、受診時に伝える
医療治療
治療は原因と症状の強さによって変わります。食道の筋肉をゆるめる飲み薬、内視鏡でバルーンを使って狭い部分を広げる治療、内視鏡で食道の筋肉を切る治療、手術(胃の入口を整える方法など)が、検査結果や生活への影響に応じて検討されます。どの方法が合うかは、年齢や体力、通院のしやすさも含めて主治医と相談して決めます。具体的な薬の名前や量については、主治医や薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
飲み込みの症状が強く日常生活に支障がある、薬や内視鏡治療で十分に改善しない、逆流の症状が強いといった場合に、手術が選択肢になります。エンドフリップは、手術中や手術後の食道の働きの確認にも使われることがあります。
この病気と共に生きる
食道の調子は日によって変わります。食べ方や生活のリズムを整えることで症状が軽くなる人は少なくありません。検査の結果は「今の食道の働きを写した写真」のようなものです。結果を恐れすぎず、日々の工夫と通院を続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- ゆっくり食べる時間を意識して確保する
- 食後すぐ横にならない、夜遅い食事を避ける
- 適正な体重を保つ
- 禁煙し、お酒はほどほどにする
- ストレスをためない、睡眠を十分にとる
- 症状が悪化したときの食事や状況をメモしておく
食事と運動
のど越しのよいもの、やわらかいものを中心にし、パサパサしたものはスープやお茶と一緒に。一度に大量に食べず、少量ずつよくかんで。食後は30分ほど座って過ごしましょう。運動は軽い散歩など無理のない範囲で続けるのがおすすめです。激しい運動の直後の食事は避け、水分補給を忘れずに。
精神的健康と心の健康
飲み込みにくさは外から見えにくく、周りに伝わりにくい困りごとです。会食の場面で不安や緊張を感じたり、外食を避けるようになったりすることがあります。つらさが続くときは、一人で抱えずに主治医や看護師、家族に話してみてください。気持ちの面でのサポートも治療の一部です。つらい気持ちが長く続く場合は、地域の相談窓口や医療機関に相談しましょう。
予防
エンドフリップで調べる食道の働きの異常(アカラシアなど)の多くは、生活習慣だけで完全に防げるものではないとされています。ただ、早食いを避ける、禁煙する、適正体重を保つ、胸やけを放置しないといった食道にやさしい生活は、症状の悪化を防ぐ助けになります。
検診プログラム
飲み込みにくさや胸やけが続く場合は、年齢にかかわらず早めに消化器内科へ相談しましょう。症状がなくても、40〜50歳を過ぎたら内視鏡検査が勧められることがあります。詳しくは厚生労働省やお住まいの自治体の情報、かかりつけ医にご確認ください。
合併症
治療しない場合
- 飲み込みにくさが進み、食事がとりにくくなる
- 体重減少や栄養不足、体力の低下
- 誤って気管に入ることで肺炎を起こす
- 食べ物が食道に詰まってしまう
- 夜間のせきや睡眠不足、外出や会食を控えるようになる
長期的な見通し
食道の動きの異常は、多くの場合、治療や生活の工夫で症状をやわらげることができます。エンドフリップのような詳しい検査で今の状態を知ることは、自分に合った治療を選ぶための前向きな一歩です。不安なことや疑問は、遠慮なく主治医に聞いてください。
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最終更新: 2026年11月3日
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