食道内視鏡検査(胃カメラ)とは
概要
食道内視鏡検査は、先端に小さなカメラがついた細くやわらかい管を口(または鼻)から入れて、食道・胃・十二指腸の内側を直接見る検査です。日本では「胃カメラ」と呼ばれることが多く、粘膜の色や凹凸、炎症、ただれ、腫瘍(できもの)などを画面で細かく観察できます。気になる場所があれば、そこからとても細い組織をほんの少し採取して(生検=組織を取って顕微鏡で調べること)、良性か悪性かを調べることもできます。検査はふつう10〜20分ほどで終わります。
重要な事実
- 食道・胃・十二指腸の内側を直接見られる、精度の高い検査です。
- 気になる部分があれば、その場で小さな組織を採って詳しく調べられます(生検)。
- 多くの場合、のどを麻痺させるスプレーや軽い鎮静剤を使って、つらさを和らげながら行います。
はい。日本でもっともよく行われる内視鏡検査のひとつで、健康診断や人間ドック、症状の詳しい検査など、さまざまな場面で行われています。
胸やけや飲み込みにくさがある方、吐血や黒い便があった方、健康診断で異常を指摘された方、貧血の原因を調べたい方、食道がんやバレット食道(逆流が続いて食道の粘膜の性質が変わる状態)の経過観察が必要な方などが対象になります。子どもでは、誤って異物を飲み込んだときに行うこともあります。
症状
- ボタン電池や、鋭くとがったもの(画びょう、爪楊枝、骨など)を飲み込んだ
- 血を吐いた、またはコーヒー色のものを吐いた
- 激しい胸の痛み、息苦しさ、冷や汗がある
- 飲み込んだものが気道をつまらせ、息ができない・声が出ない
- 意識がもうろうとしている
- ⚠黒いタール状の便が出た
- ⚠水も唾液も飲み込めない
- ⚠急に体重が減った、ほとんど食べられない状態が続いている
- ⚠胸やけが強く、2週間以上よくならない
- ⚠発熱と胸の痛みが同時にある
一般的な症状
- 次のような症状があると、食道内視鏡検査がすすめられることがあります。
- 胸やけ(胸がじゅくじゅくする感じ)や、酸っぱいものが上がってくる感じ
- 食べ物がのどや胸につかえる感じ、飲み込みにくさ
- 胸の痛みや、みぞおちの不快感
- げっぷが増える、おなかが張る感じが続く
- 黒いタールのような便が出る(下血)
- 説明のつかない体重の減少や、食欲の低下
- 声のかすれや、のどの違和感が続く
子供の症状
- ボタン電池やおもちゃの部品などを誤って飲み込んだとき
- 繰り返す嘔吐や、食べ物をうまく飲み込めない様子があるとき
- 原因がわからない強いおなかの痛みや貧血があるとき
- 子どもの場合は、体が動かないように鎮静や全身麻酔を使って行うことが多いです。
高齢者の症状
- 飲み込む力が弱くなり、むせや誤嚥(食べ物や唾液が気管に入ること)が増えたとき
- 食欲の低下や体重の減少、貧血が見られるとき
- 血液を固まりにくくする薬などを飲んでいる場合は、検査の前に必ず医師へ伝えてください。
原因
主な原因
- 胸やけや酸の逆流など、逆流性食道炎が疑われる症状が続くとき
- 食べ物のつかえ感や飲み込みにくさがあるとき
- 吐血や黒い便、原因のわからない貧血があるとき
- 健康診断のバリウム検査や便潜血検査で異常を指摘されたとき
- 食道がんやバレット食道の疑いがあるとき、または経過を観察するとき
- 異物を飲み込んだとき、食道が狭くなっていないか調べたいとき
- 頭頸部(首やのど)のがんの治療前後に、食道の状態を確認したいとき
リスク要因
- 飲酒(とくに飲むと顔が赤くなりやすい体質の方)
- 肥満、または逆流性食道炎・バレット食道がある
- 熱い飲み物や食べ物をよくとる習慣がある
- 50歳以上、男性であること
- 家族に食道がんの人がいる
- 頭頸部や肺のがんの治療を受けたことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 血を吐いた、コーヒー色のものを吐いた
- 黒いタール状の便が出た
- 水や唾液も飲み込めない
- 激しい胸の痛み、息苦しさ、発熱がある
- 異物を飲み込んだ可能性がある
定期受診を予約すべき場合:
- 胸やけや胃の不快感が2週間以上続いている
- 食べ物がつかえる感じ、飲み込みにくさが続いている
- 原因のわからない体重の減少や食欲の低下がある
- 健康診断で異常を指摘された
- かかりつけ医や家族から検査をすすめられた
診断
食道内視鏡検査は、診察や問診のあと、必要に応じて行われます。医師が口(または鼻)から内視鏡を入れ、画面に映る食道・胃・十二指腸の粘膜を順番に観察します。気になる部分があれば、その場でとても細い器具を使って組織をほんの少し採取し、顕微鏡で調べます(生検)。この組織検査で、炎症の程度や良性・悪性の判断を行います。
行われる可能性のある検査
- 上部消化管内視鏡検査(食道内視鏡)
- 生検(組織を採って顕微鏡で調べる検査)
- 特殊な光で観察する方法(病変の見分けを助ける方法)
- 超音波内視鏡(食道の壁の深さや周囲のリンパ節を調べる)
- CT検査やエコー検査(病気の広がりを調べる)
- 血液検査(貧血や炎症の有無を確認する)
診察で予想されること
検査の前日は、指定された時間以降は食事をとらずに過ごします。水分をとってよいかどうかは施設の指示に従ってください。当日は空腹のまま来院し、のどに麻痺させるスプレーをかけ、希望や体調に応じて軽い鎮静剤を使います。検査はあお向けで受け、10〜20分ほどで終わります。終わったあと1〜2時間は、のどの麻痺が残っているため飲食を控えます。鎮静剤を使った日は、車の運転や大事な判断は避けてください。検査後に胸の強い痛み、発熱、血を吐くなどの症状があれば、すぐに医療機関に連絡してください。
治療
食道内視鏡検査は「原因を調べる」ためのもので、そのあとの治療は、見つかった原因によって変わります。結果によっては生活の見直しだけでよい場合もあれば、薬で炎症を抑えたり、内視鏡で処置をしたり、手術を検討したりする場合もあります。結果の説明を受けたうえで、自分に合った進め方を担当医と相談して決めていきましょう。
自宅でのセルフケア
- 検査前日の食事の指定と、水分をとってよい時間を必ず守る
- 検査当日は絶食で受診し、付き添いや帰りの交通手段を前もって確認しておく
- 検査後1〜2時間は、のどの麻痺が残っているため飲食をしない
- 鎮静剤を使った日は、車の運転や機械の操作を避ける
- 検査後に胸の強い痛み、発熱、血を吐く、黒い便が出るなどがあれば、すぐに医療機関へ連絡する
医療治療
見つかった原因に合わせて方針が決まります。逆流による炎症があれば、胃酸の働きを抑える薬が使われることがあります。食道が狭くなっている場合は、内視鏡で少しずつ広げる処置を行うことがあります。出血があれば、内視鏡で出血を止める処置をします。早期の食道がんであれば、内視鏡で切除できることがあります。いずれも、年齢や体の状態、病気の広がりを考えて、担当医と相談しながら決めていきます。
手術が検討される場合
内視鏡で取りきれない場合や、深くまで広がっていると考えられる場合には、外科手術や、放射線・薬による治療が検討されます。また、食道が狭くて内視鏡が入らないときなどは、別の方法で検査や治療を行うことがあります。
この病気と共に生きる
検査を受けたあとは、結果の説明を落ち着いて聞き、必要な通院の予定を確認しましょう。症状がある間は、一度にたくさん食べずに少量ずつよくかんで食べる、食後すぐに横にならない、といった工夫が役立つことがあります。気になる症状が変わったときは、次の受診を待たずに相談してください。
生活習慣のアドバイス
- 禁煙を考える(禁煙外来などの支援も利用できます)
- 飲酒は量と頻度を控えめにする
- 食べ過ぎを避け、ゆっくりよくかんで食べる
- 食後すぐに横にならず、就寝の2〜3時間前には食事を終える
- 就寝時に上半身を少し高くすると、夜の胸やけが楽になることがある
- 体重が増えすぎている場合は、無理のない範囲で調整する
- ストレスや睡眠不足は症状を悪くすることがあるため、休息を大切にする
食事と運動
食事は、熱すぎるものや刺激の強いものを避け、腹八分目を心がけるとよいでしょう。コーヒーやアルコール、脂っこい食事で胸やけが出やすい方は、量やタイミングを調整してみてください。運動は、散歩など無理のない範囲で続けることが勧められます。検査の当日は安静にし、翌日以降は体調を見ながら普段の活動に戻してかまいません。
精神的健康と心の健康
「結果が心配で眠れない」「検査がこわい」と感じるのは自然なことです。不安や落ち込みが続くときは、一人で抱え込まず、かかりつけ医や地域の相談窓口(保健所や、お住まいの自治体のこころの健康相談など)に話してみてください。つらい気持ちが強くなり、自分を傷つけたい気持ちがわいてきたときは、ためらわずに救急(119)や地域の緊急相談窓口に連絡してください。
予防
食道内視鏡検査そのものを防ぐ方法はありませんが、検査で見つかる食道の病気には、生活習慣を整えることでリスクを下げられるものがあります。禁煙、飲酒を控えめにすること、熱い食べ物や飲み物を避けること、適正な体重を保つことが役立ちます。
検診プログラム
日本では、自治体による胃がん検診(バリウム検査または内視鏡検査)が行われています。対象年齢や受診の間隔は自治体によって異なるため、お住まいの自治体の案内や厚生労働省の指針を確認し、かかりつけ医にも相談して受診を検討してください。症状があるときは、検診を待たずに医療機関を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 原因がはっきりしないまま症状が続き、食事や日常生活がつらくなることがあります
- 炎症や狭窄(狭くなること)が進み、飲み込みにくさが悪化することがあります
- 出血が続いて貧血が進むことがあります
- 早期のがんや、その手前の変化に気づく機会を失うことがあります
長期的な見通し
食道内視鏡検査は、日本で長く行われてきた安全な検査です。重い合併症はまれで、多くの方は日帰りで受けられます。見つかる病気の多くは、早い段階で対応すれば落ち着いて治療を進められます。検査後の経過で気になることがあれば、遠慮なく医療スタッフに伝えてください。
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最終更新: 2026年11月3日
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