努力呼気量(FEV)って何? 呼吸機能検査でわかること
概要
FEV(努力呼気量)は、思いきり大きく息を吸ってから、一気に強く吐き出したときに、決まった時間(ふつうは1秒)で吐き出せた息の量のことです。日本語では「1秒量」とも呼ばれます。空気の通り道(気道)が狭くなっていないか、肺がしなやかに働いているかを知るための大切な手がかりになります。FEVは「病気の名前」ではなく、検査で測る数字のひとつです。
重要な事実
- FEVは呼吸機能検査(スパイロメトリー)で測ります。大きく息を吸って一気に吐くだけの、痛みのない検査です。
- 同じ年齢・身長・性別の人と比べてどうかで見ます。身長が高い人ほど数値は大きくなるため、数字だけを単純に比べることはしません。
- 数値が低いときは、気道が狭くなっている、または肺がふくらみにくくなっている可能性があります。その理由は医師が総合的に判断します。
呼吸機能検査は、喘息(ぜんそく)やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などが疑われるときによく行われる、身近な検査です。健康診断で肺機能を調べることもあります。
咳やゼーゼーが長く続く人、息切れが気になる人、喫煙の習慣がある人、アレルギーのある人、粉塵(ふんじん)の多い職場で働く人など、さまざまな人が受けます。年齢や性別を問わず受ける検査です。
症状
- 息が苦しくて話せない、歩けない
- 唇や爪の色が青白い、または紫色に見える
- 意識がもうろうとしている、返事がおかしい
- 胸に急な激しい痛みがある
- 医師に指示された発作時の薬を使っても、息苦しさが良くならない
- 肩で息をする、呼吸がどんどん速くなる
- ⚠発熱と息苦しさが同時にある
- ⚠痰の色が黄色や緑にはっきり変わった、量が増えた
- ⚠横になると息苦しい、夜中に息苦しさで目が覚める
- ⚠いつもより息切れが強く、日常生活がつらい
一般的な症状
- 咳が2〜3週間以上続く、または何度も繰り返す
- 息を吐くときにゼーゼー、ヒューヒューという音がする
- 階段や坂道で息切れしやすい
- 痰(たん)がよく出る、痰の量が増えた
- 風邪をひくたびに咳が長引く
- 運動したときだけ咳が出る
- 胸が締めつけられるように感じる
子供の症状
- ゼーゼーする、夜中や明け方に咳が続く
- 走ったり遊んだりすると咳き込む
- 風邪のたびに咳が長引く
- 検査では、うまく息を吐けずに何度かやり直すことがあります。あせらず、遊びの延長のような気持ちで受けると上手にできます。
高齢者の症状
- 階段の上り下りがつらくなった、買い物の荷物が重く感じる
- 疲れやすい、少し動くと息が上がる
- 若いころに喫煙の習慣があった
- 風邪をひくと咳が長引き、治りにくい
- 検査のやり方がわかりにくいときは、遠慮せずに伝えてください。休みながら行えます。
原因
主な原因
- 気道が狭くなる病気(喘息など)
- 肺の組織が壊れて息を吐き出しにくくなる病気(COPDなど)
- 肺が硬くなる病気(肺の線維化など)
- かぜや肺炎などの感染による一時的な低下
- アレルギーや粉塵、たばこの煙による気道の刺激
- 体格・年齢・性別・身長による違い(もともと数値が低めの人もいます)
- 肥満や運動不足、体力の低下
リスク要因
- 喫煙、受動喫煙(周りの人のたばこの煙を吸うこと)
- 粉塵や化学物質を扱う仕事
- 大気汚染の多い環境での生活
- アレルギー歴や家族に喘息・アレルギーの人がいる
- 子どものころの呼吸器の感染症や早産
- 肥満、運動不足
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 安静にしていても息苦しい
- 発熱と息苦しさが同時にある
- 痰の色や量がいつもと明らかに違う
- 夜中に息苦しさで目が覚める
定期受診を予約すべき場合:
- 咳が3週間以上続く、または繰り返す
- ゼーゼー、ヒューヒューという音がする
- 階段や坂道で息切れする
- 喫煙歴があり、少しでも息切れが気になる
- 健康診断で肺機能の再検査をすすめられた
診断
まず問診と診察で、症状の経過や喫煙歴、アレルギー、仕事の環境などをうかがいます。そのうえで呼吸機能検査(スパイロメトリー)を行い、FEVなどの数値を測ります。必要に応じて、気道を広げる吸入薬を使う前と後で数値を比べ、狭くなった気道が広がりやすいかどうかを確認します。結果と症状をあわせて、医師が総合的に判断します。
行われる可能性のある検査
- スパイロメトリー(呼吸機能検査)
- 1秒率や努力肺活量などの計算
- 気道を広げる吸入薬を使う前後の比較
- ピークフロー測定(息を吐く強さを測る簡便な検査)
- 胸部X線検査
- 胸部CT検査
- 血液検査
- アレルギー検査
- パルスオキシメーター(指先で血中の酸素の量をみる検査)
- 6分間歩行試験(歩いて息切れの程度をみる検査)
診察で予想されること
検査の前には、喫煙や激しい運動、食事を控えるよう言われることがあります。鼻をつまむクリップをつけ、マウスピースをくわえて、大きく吸って一気に吐きます。何回か繰り返すうちに、めまいや疲れを感じることがあるので、座って休みながら行います。結果はその日のうちに説明されることが多いです。
治療
FEVそのものを直接「治す」治療はありません。大切なのは、数値が低い理由(喘息、COPD、肺の線維化など)を医師が見きわめ、それに合った治療と生活の工夫を組み合わせることです。禁煙は、どの原因でも共通して最も大切な一歩です。
自宅でのセルフケア
- 禁煙する。周りの人のたばこの煙も避ける
- 吸入薬は指示どおりに続け、正しい吸い方を確認する(吸い方の練習は薬局でも相談できます)
- 手洗い・換気・マスクなどで感染を防ぐ
- かぜをひいたら無理をせず、早めに休む
- 無理のない範囲で体を動かし、体重を管理する
- 症状と数値を記録する(発作の日記、ピークフロー手帳など)
- 部屋を加湿し、空気を清潔に保つ
- 睡眠を十分にとる
医療治療
治療は原因によって変わります。気道の炎症をしずめる吸入薬や、気道を広げる吸入薬などが使われることがあります。薬の種類や組み合わせは医師が決めます。ほかに、呼吸リハビリテーション(呼吸の仕方や体力づくりの練習)、予防接種、重症の場合の酸素療法などがあります。自分で判断して中止すると悪化することがあるので、気になる点は医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
多くの場合、手術は必要ありません。まれに、重症の肺の病気に対して外科的な治療が検討されることがありますが、主治医とよく相談して決めるものです。
この病気と共に生きる
数値は体調や時間帯によっても変わるので、1回の結果で一喜一憂しすぎないことが大切です。検査を続けて変化を見ていくことで、自分の体の状態がよくわかるようになります。
生活習慣のアドバイス
- たばこのない環境を整える
- 規則正しい生活と十分な睡眠
- 体調の変化を記録して、受診のときに伝える
- 寒い時期や空気の悪い日は、外出や運動の強さを調整する
- かぜの流行期は人混みを避ける
- 指示された薬と通院を続ける
食事と運動
バランスのよい食事と、無理のない範囲の運動が助けになります。息が上がりすぎない程度のウォーキングや、口をすぼめてゆっくり吐く「口すぼめ呼吸」などは、医師や理学療法士に相談しながら行うと安心です。塩分のとりすぎに気をつけ、野菜やたんぱく質をしっかりとることも心がけましょう。
精神的健康と心の健康
息苦しさが続くと、不安になったり、外出を控えたくなったりすることがあります。それは自然な気持ちです。話せる人に話すこと、必要なら医療者に相談することが助けになります。気持ちがつらいときは一人で抱え込まず、地域の相談窓口やかかりつけ医に相談してください。つらい気持ちを話せる相談窓口を利用するのも一つの方法です。
予防
すべてを防ぐことはできませんが、リスクを下げることはできます。とくに禁煙と、受動喫煙を避けることが大切です。粉塵の多い職場では防じんマスクを使うなど、環境を整える工夫も役立ちます。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンは、呼吸器の感染を防ぐ助けになります。接種の時期や回数は、かかりつけ医と相談してください。
検診プログラム
喫煙歴のある人や、長く咳が続く人では呼吸機能検査が勧められます。健康診査で肺機能の項目がある場合は、積極的に受けてみましょう。
合併症
治療しない場合
- 息切れが進み、日常生活が制限される
- 急な悪化(発作)を起こし、入院が必要になることがある
- 感染をきっかけに一気に悪化する
- 長く続くと心臓への負担が増えることがある
- 運動量が減って体力が落ち、さらに息切れしやすくなる
長期的な見通し
FEVが低いと聞くと不安になるかもしれませんが、原因がわかれば、できることはたくさんあります。禁煙や治療、リハビリで症状が安定する人は多くいます。早めに相談することが、安心につながります。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康に関する案内は国や地域によって異なります。このページは一般的な教育情報であり、お住まいの地域の指針、薬、診療と一致しない場合があります。心配な点はご自身の医師または医療提供者に相談し、地域の案内がある場合はそれに従ってください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
このトピックを名指しする指針はありません
このページには、このトピックそのものを名指しする健康ガイドラインや臨床の章は引用されていません。このページは一般的な教育と情報のみを目的としています。診断、治療計画、個人への医学的助言ではありません。ご自身の医師に確認し、その指示に従ってください。症状が重い、突然である、または心配な場合は速やかに受診し、緊急時は地域の緊急番号に電話してください。Ruqelo LLC は、この情報に基づく判断から生じる医学上または法律上の結果について責任を負いません。
最終更新: 2026年11月3日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。
Guidance may differ by country or region. Confirm local recommendations with a qualified healthcare provider.