眼底検査(検眼鏡検査)とは
概要
眼底検査(がんていけんさ)は、目の奥にある「眼底(がんてい)」を直接見て調べる検査です。眼底には、光を感じる網膜(もうまく)、目の神経が集まる視神経(ししんけい)、網膜に血を送る細い血管などがあります。医師は検眼鏡(けんがんきょう)という専用の器具やカメラを使い、これらの様子を観察します。「眼底検査」「検眼鏡検査」「オフサルモスコピー」は、ほぼ同じ意味で使われます。眼底は体の外からは見えない場所ですが、血管の状態などがよく分かるため、目の病気だけでなく、糖尿病や高血圧など体全体の病気の手がかりが見つかることもあります。
重要な事実
- 多くの場合、10〜15分ほどで終わる簡単な検査です。
- 瞳孔(どうこう)を広げる目薬を使うことがあり、その場合は4〜6時間ほど見えにくさやまぶしさが残ります。
- 目だけでなく、糖尿病や高血圧など全身の病気のサインが見つかることもあります。
とてもよく行われる検査です。健康診断、眼科を受診したとき、糖尿病や高血圧の定期チェック、白内障の手術前など、さまざまな場面で行われます。
年齢を問わず、必要に応じて誰でも受けます。特に、糖尿病のある人、高血圧のある人、近視が強い人、40歳以上の人は、眼底の変化が起こりやすいため、定期的な検査が勧められることがあります。
症状
- 突然、片目または両目の視力を失った
- 視野が急に半分欠けた、カーテンが下りたように見えない部分がある
- 目のけがのあとで急に見えにくくなった
- 激しい目の痛みと頭痛、吐き気が同時に起きた
- ⚠飛蚊症(虫のような影)が急に増えた
- ⚠目の前にピカピカ光るものが出る
- ⚠物が急に歪んで見えるようになった
- ⚠視野の端が欠けてきたと感じる
一般的な症状
- 見え方がぼやける、かすむ
- 物が歪んで見える(直線が曲がる)
- 飛蚊症(ひぶんしょう)=虫が飛んでいるような影が見える
- 視野の一部が欠ける、端が見えにくい
- 夕方や暗い場所で見えにくい
- 目の痛みや頭痛がある
- 特に症状はないが、糖尿病や高血圧の定期チェックの一環として受ける
子供の症状
- 小児では、見えにくさを自分でうまく説明できないことがあります
- 黒板の字が見えにくい、目を細める、物に近づいて見る
- 未熟児(低体重で生まれた子)の網膜を定期的に確認する
- 斜視(しゃし)や弱視(じゃくし)の検査の一環として行われる
- 検査の前に瞳孔を広げる目薬を使うことが多く、保護者の同伴が勧められます
高齢者の症状
- 加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)、緑内障(りょくないしょう)、糖尿病網膜症のチェック
- 白内障の手術前の検査
- 高血圧や動脈硬化の影響が眼底の血管に現れることがある
- 瞳孔を広げたあとは見えにくくなるため、車の運転を避け、帰り道に気をつける
原因
主な原因
- 糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)のチェック
- 高血圧や動脈硬化が眼底の血管に与える影響の確認
- 緑内障による視神経の変化の確認
- 加齢黄斑変性の診断と経過観察
- 網膜剥離(もうまくはくり)や網膜の血管が詰まる病気の診断
- 頭の中の圧が高いときの視神経の腫れの確認(頭痛の精査など)
- 近視が強い人の網膜の変化のチェック
- 目の外傷や異物の確認
リスク要因
- 糖尿病がある
- 高血圧がある
- 近視が強い
- 40歳以上である
- 家族に緑内障や加齢黄斑変性の人がいる
- 喫煙の習慣がある
- ステロイド薬を長期間使っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 見え方が急に変わった、片目が見えにくくなった
- 飛蚊症が急に増えた、光がピカピカ見える
- 視野が欠けてきたと感じる
- 激しい目の痛みや頭痛がある
定期受診を予約すべき場合:
- 糖尿病や高血圧で通院している(定期的な眼底検査が必要です)
- 健康診断で眼底検査をすすめられた
- 物がかすむ、歪むなど、ゆるやかな見え方の変化が続いている
- 家族に緑内障や加齢黄斑変性の人がいる
- 40歳を過ぎて、しばらく眼科を受診していない
診断
眼科で行います。暗い部屋で椅子に座ったまま、医師が器具を目の近くに近づけて眼底をのぞき込みます。まぶたに触れることはほとんどなく、痛みもありません。瞳孔を広げる目薬をさしてから検査することもあり、その場合は目薬が効くまで20〜30分ほど待ちます。
行われる可能性のある検査
- 直像検眼鏡(ちょくぞうけんがんきょう)=手に持って使う小さな器具で眼底を見る
- 間接検眼鏡=少し離れた位置から、レンズを通して広い範囲を見る
- 細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)と専用レンズ=目の表面から奥まで詳しく観察する
- 眼底カメラ=眼底の写真を撮って記録する
- 光干渉断層計(OCT)=網膜の断面を画像にする検査
- 蛍光眼底造影検査=血管の流れを調べる検査(必要に応じて)
- 視野検査=見える範囲を調べる検査(緑内障が疑われるときなど)
診察で予想されること
瞳孔を広げる目薬を使うと、まぶしく感じたり、近くのものがぼやけたりします。効果は4〜6時間ほど続くことがあります。検査後はサングラスがあると楽です。車の運転は避け、可能であれば家族に送り迎えを頼むと安心です。コンタクトレンズは検査前に外すよう言われることがあります。
治療
眼底検査は「調べるための検査」なので、検査そのものに治療はありません。検査で見つかった変化に応じて、その後の対応を医師と相談していきます。異常が見つからなければ、次にいつ検査を受けるかを決めて終わります。
自宅でのセルフケア
- 瞳孔を広げる目薬を使った日は、効果が消えるまで車の運転をしない
- サングラスを用意しておくと、まぶしさがやわらぐ
- 検査後しばらくは目をこすらない
- 時間に余裕をもって予約を取る
- コンタクトレンズを使っている人は、検査前に外す指示に従う
- できれば付き添いの人と一緒に行くと安心
医療治療
見つかった病気によって対応はさまざまです。目の状態を定期的に観察するだけのこともあれば、目薬、レーザーで網膜を固める治療、目への注射、飲み薬などが検討されることもあります。糖尿病や高血圧が関係している場合は、内科の主治医と連携して全身の管理を進めることが大切です。どの治療を選ぶか、薬の種類や量は、医師があなたの状態に合わせて決めます。
手術が検討される場合
網膜剥離、進行した白内障、一部の緑内障などでは、手術が検討されることがあります。必要かどうかは、検査の結果と生活への影響をふまえて医師と相談して決めます。
この病気と共に生きる
眼底検査は一度受けて終わりではなく、必要に応じて続けていくものです。特に糖尿病や高血圧がある人は、症状がなくても定期的に受けることで、変化を早く見つけられます。受けた結果は手元にメモしておき、次回の受診のときに役立てましょう。
生活習慣のアドバイス
- 血糖値と血圧を安定させることを心がける
- 禁煙を考える(喫煙は血管に負担をかけます)
- 目のけがを防ぐため、作業時は保護メガネを使う
- 睡眠と休息をしっかりとる
- 気になる見え方の変化は、我慢せずに早めに相談する
食事と運動
眼底の血管は、体の血管の状態を映す鏡のようなものです。バランスの良い食事と、無理のない範囲の運動(散歩など)は、血糖値や血圧を整える助けになります。激しい運動を急に始める必要はありません。持病がある人は、主治医に相談しながら進めましょう。
精神的健康と心の健康
「目に異常があるかもしれない」と言われると、不安になるのは自然なことです。見え方の変化は、仕事や家事、運転など生活の幅にも関わってくるため、気持ちが落ち込みやすくなることもあります。ひとりで抱え込まず、眼科医やかかりつけ医に気持ちも含めて話してみてください。つらい気持ちが続くときは、地域の相談窓口や医療機関に相談を。緊急の場合は119番(救急)へ連絡してください。
予防
眼底検査そのものを「予防する」という考え方はありませんが、眼底の病気の多くは、早期に見つけることで進行をゆるやかにできます。糖尿病や高血圧をきちんと管理することが、眼底の血管を守ることにつながります。
検診プログラム
糖尿病と診断されている人は、症状がなくても定期的(おおむね年1回程度)の眼底検査が勧められています。厚生労働省の指針でも、糖尿病の人は眼科での定期的な検査が大切とされています。40歳以上では特定健康診査(メタボ健診)や職場の健康診断で眼底検査が組み込まれていることがあります。緑内障が心配な人、近視が強い人、家族に目の病気がある人は、眼科で定期的に検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 自覚症状がないまま糖尿病網膜症が進み、視力が下がることがある
- 緑内障が見逃され、視野の欠けが広がることがある
- 網膜剥離や加齢黄斑変性による見え方の変化に気づくのが遅れる
- 高血圧など全身の病気のサインを見逃す
長期的な見通し
眼底検査は短時間で安全な検査で、目の病気の早期発見につながります。見つかった変化の多くは、定期的な通院と適切な対応で進行をゆるやかにできます。すべてが深刻な結果につながるわけではありません。心配なことは眼科医に相談しながら、無理のないペースで検査を続けていきましょう。
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最終更新: 2026年11月3日
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