逆流症のpHモニタリング
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
pHモニタリング(pHモニタリング)とは、食道の中の酸性の程度を測る検査です。細い管を鼻から食道に入れて、24時間かけて酸の量を記録します。この検査は、逆流性食道炎(胃酸が食道に逆流する病気)の診断や治療の効果を確認するために行います。
重要な事実
- 鼻から細い管を入れて行うため、違和感はありますが痛みはほとんどありません。
- 検査中は普段通りの生活ができるので、自然な状態で酸の逆流を調べられます。
- 結果が出るまでに数日かかることがあります。
- この検査は、他の検査(胃カメラなど)で原因がはっきりしない場合に行われることが多いです。
胃食道逆流症(GERD)は日本人の約10~20%にみられるといわれていますが、pHモニタリングは特に診断が難しいケースや治療が効きにくいケースで行われることが多く、すべての患者さんに行われる検査ではありません。
胸やけや酸っぱいものが上がってくる症状が続く方、胃カメラで異常が見つからず原因がはっきりしない方、逆流の治療がうまくいかない方などが対象になります。子どもから高齢者まで、症状があれば年齢を問わず行われる検査です。
症状
- 突然の激しい胸の痛みや圧迫感(心筋梗塞の可能性もある)
- 吐血(血を吐く)や黒いタール便(消化管出血の可能性)
- 呼吸が苦しい、息ができない
- ⚠食べ物や水がまったく飲み込めない
- ⚠急な体重減少
- ⚠1週間以上続く嘔吐(おうと)や下痢
一般的な症状
- 胸やけ(胸のあたりが焼けるような感じ)
- 酸っぱいものや苦いものがのどまで上がってくる
- げっぷがよく出る
- のどに何か詰まった感じがする
- 慢性的なせきや声がれ
子供の症状
- 赤ちゃんではミルクを吐く量が多い、ぐずる、背中を反らせる、体重が増えにくい
- 大きい子どもでは繰り返す腹痛、胸の痛み、食べ物を飲み込みにくい、睡眠中にせきが出る
高齢者の症状
- 胸やけよりも、のどの違和感やせき、声がれ、喘息のような症状が目立つことがある
- 食べ物がのどに引っかかる感じや、誤嚥(ごえん:食べ物が気管に入ること)のリスクが高まる
原因
主な原因
- 胃酸が食道に逆流する病気(逆流性食道炎)の診断や経過観察のために行う
- 他の検査(胃カメラ、バリウム検査)で原因がはっきりしない症状を調べるため
- 逆流の治療(薬や手術)が本当に効果があるか確認するため
リスク要因
- 肥満(体重が増えるとお腹の圧力が上がる)
- 食べ過ぎや脂っこい食事、刺激物(コーヒー、アルコール、煙草)
- ストレスや睡眠不足
- 特定の薬(鎮痛薬、血圧の薬など)の服用
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上の「緊急の症状」に該当する場合
定期受診を予約すべき場合:
- 胸やけや酸っぱいものが上がってくる症状が週2回以上、数週間続く
- 自分で市販の胃薬を試しても改善しない
- 食べ物を飲み込みにくくなってきた
- のどの違和感や慢性的なせきが続く
診断
pHモニタリングは、医療機関で行う特殊な検査です。まず鼻から食道に直径約2mmの細いカテーテル(管)を入れ、24時間装着して胃酸の逆流を測定します。家に帰って普段通りの生活をし、症状が出たときはボタンを押して記録します。翌日病院で管を抜き、データを解析します。
行われる可能性のある検査
- pHモニタリング(24時間食道pH検査)
- インピーダンスpH測定(胃酸だけでなく、弱酸性や非酸性の逆流も測定する)
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡)で食道の粘膜を直接観察する
診察で予想されること
検査の前は、指示に従って食事制限や薬の一時中止がある場合があります。管を入れるときに少しのどが違和感がありますが、すぐに慣れます。24時間は入浴や激しい運動は控えてください。管を抜いた後はすぐに普段の生活に戻れます。結果は数日後に医師から説明があります。
治療
pHモニタリングの結果をもとに、医師が逆流症のタイプや程度を判断し、治療方針を決めます。治療は生活習慣の改善と、胃酸を抑える薬が中心です。
自宅でのセルフケア
- 食後すぐに横にならない(少なくとも2~3時間はあける)
- 寝るときは上半身を高くする(枕やベッドの頭側を上げる)
- 食べ過ぎを避け、少し控えめの量をゆっくり食べる
- 脂っこいもの、辛いもの、コーヒー、アルコール、炭酸飲料を控える
- 体重が増えすぎている場合は減量を心がける
- 喫煙は避ける
医療治療
医師は、胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカーという種類の薬)や、胃の動きをよくする薬、粘膜を保護する薬などを症状や検査結果に応じて処方します。これらの薬は長期間使うこともありますが、医師の指示に従って正しく服用してください。市販薬ではなく、必ず医師の判断で使います。
手術が検討される場合
生活習慣の改善や薬で効果が不十分な場合や、長期間の服薬が難しい場合、逆流を防ぐ手術(噴門形成術:ふんもんけいせいじゅつ)が検討されることがあります。手術が必要かどうかは、pHモニタリングの結果も含めて専門医が判断します。
この病気と共に生きる
胃食道逆流症と診断されたら、症状を上手にコントロールしながら生活することが大切です。症状が出やすい場面(食べ過ぎ、お酒、ストレスなど)を避け、自分の体調に合わせた生活リズムを作りましょう。pHモニタリングは1回の検査で終わりですが、症状の変化があれば医師に相談しながら治療を続けます。
生活習慣のアドバイス
- 食事は規則正しく、少量ずつ、よく噛んで食べる
- 寝る直前の食事を避ける
- 腹部を締め付ける服やベルトを避ける
- ストレスをためない工夫をする(軽い運動、趣味、人との交流)
- 定期的に医師の診察を受ける
食事と運動
食事は胃に負担をかけない、やわらかくて消化のよいものを選びましょう。運動は食後すぐは避け、軽いウォーキングなどは逆流を減らす効果があります。逆に、腹圧がかかる激しい運動(腹筋運動など)は症状を悪化させることがあるので注意が必要です。
精神的健康と心の健康
慢性的な胸やけやのどの違和感は、不安やストレス、睡眠不足の原因になることがあります。「治らない」と感じると気分が落ち込むこともありますが、適切な治療でほとんどの症状は改善します。つらいときは医師や家族に相談しましょう。
予防
胃食道逆流症は、生活習慣を見直すことで予防や悪化防止に役立ちます。特に肥満、食べ過ぎ、脂肪の多い食事、喫煙、過度の飲酒を控えることが大切です。pHモニタリングそのものは予防できませんが、検査を受けて早期に診断・治療することで、症状の悪化や合併症を防ぐことができます。
検診プログラム
定期的なスクリーニング検査は特に推奨されていませんが、慢性的な症状がある場合は医師に相談し、必要に応じて検査を受けるとよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 食道の粘膜が炎症や潰瘍(かいよう)になる
- 食道が狭くなり食べ物が通りにくくなる(食道狭窄)
- 食道の細胞が変化し、バレット食道という前がん状態になる(長期間の逆流によるリスク)
- 慢性のせきや喘息、声がれ、歯の酸蝕症(さんしょくしょう)など、のどや気管支への影響
- 睡眠障害やQOL(生活の質)の低下
長期的な見通し
幸いなことに、胃食道逆流症は適切な治療と生活習慣の改善で、ほとんどの場合症状がうまくコントロールできます。pHモニタリングで正確な診断を受ければ、効果的な治療が選びやすくなります。合併症のリスクはありますが、定期受診とセルフケアを続けることで、多くの方は安心して日常生活を過ごせるようになります。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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