脂質検査の準備
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が多すぎたり、少なすぎたりする状態)は、血液中の脂質バランスが乱れた病気です。多くの場合、自覚症状がなく、健康診断の血液検査で見つかります。この検査を「脂質検査」と呼びます。検査を受ける前に、正しい準備をすることで、正確な結果が得られます。
重要な事実
- 脂質検査では、LDLコレステロール(悪玉)、HDLコレステロール(善玉)、中性脂肪(トリグリセリド)の値を調べます。
- 検査の前に9~12時間の絶食(水以外は摂らない)が必要です。
- 脂質異常症は、動脈硬化や心臓病のリスクを高めますが、生活習慣の改善や治療でコントロールできます。
脂質異常症は、日本人の成人の約4人に1人に見られる、とてもよくある状態です。
どの年齢層でも起こりますが、特に40歳以上、肥満傾向の方、糖尿病や高血圧がある方、遺伝的にリスクが高い方に多く見られます。
症状
- 突然の激しい胸の痛みや圧迫感
- 息切れや冷や汗を伴う胸の不快感
- 突然の言葉のもつれや片側の手足の麻痺
- 急な激しい腹痛(特に上腹部)
- ⚠胸や背中の持続する痛み
- ⚠めまいや失神を繰り返す
一般的な症状
- 脂質異常症そのものには、ほとんど自覚症状がありません。
子供の症状
- 脂質異常症が遺伝性の場合は、小児期からLDLコレステロールが非常に高くなることがありますが、症状はほとんどありません。
高齢者の症状
- 高齢者では、動脈硬化が進行することで、歩行時の脚の痛みや、めまい、記憶力の低下などが現れることがあります。
原因
主な原因
- 脂質異常症の主な原因は、食事(飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の多い食べ物、糖分の摂りすぎ)、運動不足、肥満、喫煙、過度の飲酒です。
- 遺伝的要因で、コレステロールが高くなりやすい体質の方もいます(家族性高コレステロール血症)。
- 他の病気(糖尿病、甲状腺機能低下症など)や一部の薬の影響で脂質が高くなることもあります。
リスク要因
- 高脂肪・高カロリーの食事
- 運動不足
- 肥満(特に内臓脂肪型)
- 過度の飲酒
- 家族に脂質異常症や心臓病の人がいる
- 糖尿病や高血圧を合併している
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 脂質異常症そのもので緊急を要することはまれですが、上記の緊急症状(胸痛、激しい腹痛など)があればすぐに119番へ電話してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 健康診断や血液検査で脂質の値が基準範囲を超えた場合
- 動脈硬化や心臓病のリスクが高い方(糖尿病、高血圧、喫煙者など)は、定期的な検査を受けてください。
- 家族性高コレステロール血症が疑われる場合(小児期からコレステロールが高い、家族に同じ症状や若年性心臓病の人がいる)
診断
脂質異常症の診断は、主に血液検査(空腹時の採血)で行います。検査の前に、9~12時間は水以外の飲食物をとらないようにしましょう。お茶やコーヒー、ジュースなどは避けてください。
行われる可能性のある検査
- 脂質プロファイル(総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)の血液検査
診察で予想されること
採血は腕の静脈から行います。準備として、検査前日は脂っこい食事やアルコールを控え、検査当日は絶食で来院してください。結果は数日後またはその場でわかる場合もあります。医師が数値を見て、脂質異常症のタイプや重症度を判断します。
治療
治療の基本は、生活習慣の改善(食事療法と運動療法)です。それでも改善が不十分な場合や、すでに心臓病のリスクが高い場合には、薬物療法が検討されます。
自宅でのセルフケア
- 脂肪の多い肉の代わりに魚や鶏肉(皮なし)を選ぶ
- 野菜、果物、全粒穀物を積極的にとる
- 揚げ物やスナック菓子など、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を控える
- 週に150分以上の中強度の有酸素運動(早歩きなど)を目指す
- 禁煙する
- アルコールは適量(日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本程度)に抑える
医療治療
医師は、スタチン系薬剤(コレステロール合成を抑える)、フィブラート系薬剤(中性脂肪を下げる)、その他の脂質低下薬などから、患者さんの状態に合わせて最適な薬を選択します。薬の効果や副作用については、処方する医師とよく相談してください。薬の名前や用量をここでは示しません。
手術が検討される場合
脂質異常症そのものに対する外科手術は通常ありませんが、動脈硬化が進んで冠動脈や頸動脈が狭窄した場合には、カテーテル治療(ステント留置など)やバイパス手術が必要になることがあります。
この病気と共に生きる
脂質異常症は、症状がなくても日々の生活の中で血管を守る意識が大切です。医師の指導のもと、定期的に血液検査を受け、数値の変化を確認しましょう。治療は長期にわたることが多いですが、しっかり管理すれば健やかに生活できます。
生活習慣のアドバイス
- バランスの良い食事を心がける(地中海食スタイルが推奨されることが多い)
- 毎日30分程度の有酸素運動を習慣にする
- ストレスをためず、十分な睡眠をとる
- 喫煙をしている場合は禁煙外来やニコチンパッチの利用を考える
- 体重を適正範囲に維持する(BMI 22を目標に)
食事と運動
食事では、飽和脂肪酸(バター、ラード、脂肪の多い肉)を減らし、不飽和脂肪酸(オリーブオイル、魚油、ナッツ)を増やすこと。運動は、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を週5回以上行うと、HDLコレステロールが増え、中性脂肪が減る効果が期待できます。
精神的健康と心の健康
脂質異常症は慢性的な病気であり、長期間の管理が必要なため、時に不安やストレスを感じることがあります。しかし、適切に治療すれば心臓病のリスクを大幅に減らせるという希望があります。気持ちが落ち込んだり、生活の質が低下したと感じたら、医師やカウンセラーに相談しましょう。
予防
脂質異常症は、健康的な生活習慣を実践することで予防・改善が可能です。特に、若いうちからバランスの良い食事と運動を心がけ、肥満や喫煙を避けることが重要です。遺伝的な要因がある場合でも、生活習慣の改善が発症の遅延や重症化予防に役立ちます。
検診プログラム
日本人の健康診断では、20歳以上の方は年に1回の脂質検査を受けることが推奨されています。家族性高コレステロール血症の疑いがある場合は、小児期からのスクリーニングが重要です。
合併症
治療しない場合
- 動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞を起こす
- 脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)のリスクが高まる
- 末梢動脈疾患(脚の血管が詰まる病気)
- 急性膵炎(特に中性脂肪が非常に高い場合)
長期的な見通し
脂質異常症は、早期に発見して適切に治療すれば、血管の合併症を予防し、健康な生活を長く続けることができます。治療は継続が必要ですが、生活習慣の改善や薬物療法により、コレステロール値はしっかりコントロールできます。心臓病や脳卒中のリスクを大幅に減らせるという希望があります。
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最終更新: 2026年7月31日
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