妊娠中の物忘れ(マタニティブレイン):原因と対策
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
妊娠中に、物忘れが多くなったり、考えがまとまりにくくなったりすることがあります。これは「マタニティブレイン(妊娠中のぼんやり)」と呼ばれることもあり、病気ではありません。妊娠中のホルモンの変化や、疲れ、睡眠不足、新しい生活への準備などが複雑に重なって起こると考えられています。
重要な事実
- 病気ではなく、多くの妊婦さんにみられる一時的な変化です。
- 記憶力が本当に落ちているわけではなく、注意がたくさんのことに向いて頭が忙しくなっています。
- 日々の工夫でうまくつきあうことができます。
とてもよくあることです。多くの妊婦さんが、妊娠中に「物忘れしやすい」「ぼんやりする」と感じたことがあります。決して特別なことではありません。
妊娠中の女性ならどなたでも経験する可能性があります。特に妊娠後期や出産直後に自覚しやすいといわれています。
症状
- 突然の激しい頭痛
- 視野の異常(視界が欠ける、二重に見える)
- 意識がもうろうとする
- けいれん発作
- 体の片側の麻痺やしびれ
- ろれつが回らない
- ⚠ふらつきやめまいが続く
- ⚠とても強い不安や落ち込みで日常生活が送れない
- ⚠物忘れが急に進行した
一般的な症状
- 置き忘れや予定の忘れが多い
- 人の名前や言葉がすぐに出てこない
- 集中力が続かない
- 複数のことを同時に進められない
- ぼんやりしてしまう
子供の症状
- 妊娠中の物忘れは、妊娠という状況に特有の現象です。子どもには当てはまりません。お子さんの物忘れが気になる場合は、小児科で相談しましょう。
高齢者の症状
- このページで説明しているのは妊娠中のお話です。妊娠していないのに同じような物忘れが続く場合は、別の原因が考えられます。高齢の方の物忘れが心配な場合は、医療機関で相談してください。
原因
主な原因
- 妊娠によるホルモンの変化(エストロゲンやプロゲステロンの影響)
- 睡眠不足や疲労
- ストレスや不安
- 赤ちゃんや出産の準備で頭がいっぱいになり、注意が散漫になること
リスク要因
- 睡眠が十分にとれない方
- 仕事や家事を無理に続けている方
- 妊娠中の体調変化が大きい方
- 度重なる妊娠で体力が消耗している方
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 物忘れに加えて、激しい頭痛やめまい、しびれなどの体の症状があるとき
- 突然、話すことや体を動かすことが難しくなったとき
- 意識がもうろうとするとき
定期受診を予約すべき場合:
- 日常生活に支障が出るほど物忘れが強いとき
- 妊娠中のかかりつけ医に次の診察のときに相談しましょう
- 出産後も症状が続くようなら、産後のケアとして相談しましょう
診断
マタニティブレインを診断する特別な検査はありません。医師があなたの症状や生活の状況を伺い、ほかの病気が隠れていないかを確認します。必要に応じて、貧血や甲状腺の働きなどを調べる血液検査が行われることがあります。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状、睡眠、気分、生活の状況などについての質問)
- 血液検査(貧血や甲状腺のチェック)
- 症状によっては、専門医への紹介
診察で予想されること
診察では、妊娠中の経過や睡眠、気分、仕事や家事の状況などについて聞かれます。心配なことをメモにまとめて持っていくと、相談がスムーズになります。
治療
特別な薬や治療が必要になることはほとんどありません。妊娠中の一時的な変化ととらえ、生活の工夫で上手につきあうことが基本です。
自宅でのセルフケア
- メモ帳やスマートフォンの予定表を活用する
- 物を置く場所を決めておく
- 一度に一つのことに集中する
- こまめに休憩をとり、睡眠時間を確保する
- 家族や周囲の人に物忘れが多いことを伝え、協力を得る
医療治療
妊娠中の薬には限りがあるため、自分で判断せず、医師に相談してください。もし貧血や甲状腺の病気、うつ状態などが原因として見つかった場合は、それらに対する治療が妊婦さんの体に合わせて安全に行われます。
この病気と共に生きる
妊娠中の物忘れは、あなたの知能や育児能力に関係があるわけではありません。自分を責めず、工夫して生活しましょう。大切な予定はカレンダーに書き、繰り返し確認する習慣をつけると安心です。
生活習慣のアドバイス
- 睡眠を優先する
- リラックスする時間をつくる
- ストレスをため込まない
- パートナーや家族に頼る
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、妊娠中に必要な栄養をとりましょう。無理のない範囲で軽い運動(散歩など)を取り入れると、気分転換にもなり、睡眠の質も上がることがあります。運動については産科医に確認してから行いましょう。
精神的健康と心の健康
物忘れが続くと不安になることがありますが、妊娠中の一時的な変化である可能性が高いです。それでも、「何かおかしい」「自分はだめだ」という気持ちが続いたり、眠れない日が続いたり、気分の落ち込みが強い場合は、産前産後のメンタルヘルスサポートも大切です。身近な人や医療機関に相談してください。つらい気持ちを抱え込まないでください。
予防
完全に予防することは難しいですが、睡眠を十分にとり、ストレスを減らして休むことで症状をやわらげることができます。頭の中だけに頼らず、メモや道具を上手に使いましょう。
合併症
治療しない場合
- 妊娠中の物忘れそのものが悪化して重大な病気になることはほとんどありません。ただし、もしほかの病気(貧血や甲状腺機能低下症など)が原因の場合は、そのままにすると症状が続くことがあります。
- 物忘れによる転倒や事故などのリスクに注意する必要があります。
長期的な見通し
妊娠中の物忘れは、多くの場合、出産後数か月のうちに改善していきます。あなたの記憶力が永遠に落ちてしまったわけではありません。安心して、今の自分の状態を大切にしながら過ごしてください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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