物忘れと記憶の健康
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
こちらの記事では、記憶と物忘れについて説明します。記憶とは、経験したことを覚え、必要に応じて思い出す脳の働きのことです。年齢を重ねると誰でもある程度の物忘れを感じますが、それが日常生活に大きく影響している場合は、医療機関への相談が役立ちます。
重要な事実
- 物忘れは加齢とともに増えますが、すべてが病気というわけではありません。
- 記憶障害には、治療できる原因(甲状腺の病気や薬の影響など)もあります。
- 早期に相談することで、適切な支援や生活の工夫ができます。
はい、物忘れは多くの人が経験するありふれた症状です。特に60代以降で増えますが、若い世代でもストレスや睡眠不足で一時的に起こることがあります。
高齢者に多い一方で、若い人や子どもにも注意や集中の問題から物忘れのような症状が現れることがあります。性別による大きな差はありませんが、認知症の一種であるアルツハイマー病は女性にやや多いとされています。
症状
- 突然、強い記憶障害や意識の混乱が起きた場合、ろれつが回らない、片方の手足が動かない、激しい頭痛がある場合は、脳卒中などの可能性があります。すぐに119番で救急車を呼んでください。
- ⚠頭を強く打った後に記憶が飛ぶ、発熱やけいれんを伴う、症状が数時間以上続く場合は、その日のうちに医療機関を受診してください。
一般的な症状
- 予定や約束を忘れる
- 同じ質問を繰り返す
- 物の置き場所が分からなくなる
- 慣れた道で迷う
- 言葉が出てこない
- 財布や鍵をなくすことが増える
子供の症状
- 子どもの場合、学校の宿題や持ち物を忘れる、教えられたことをすぐに忘れるなどが目立ちます。ただし、注意力の発達には個人差があるため、あらかじめ心配しすぎる必要はありません。気になる場合は、学校や小児科の先生に相談しましょう。
高齢者の症状
- 高齢者の物忘れには、年のせいと思ってよいものと、認知症が疑われるものがあります。進行性に記憶が低下する、時間や場所が分からなくなる、判断力が落ちて危険な行動がある場合は、早めの受診がすすめられます。
原因
主な原因
- 加齢による変化
- 睡眠不足や疲れ
- ストレスや不安、うつ病などの心の不調
- 甲状腺の病気、ビタミン不足などの身体的な原因
- 薬の副作用
- 認知症(アルツハイマー病など)
- 脳卒中や頭部外傷
リスク要因
- 高齢であること
- 高血圧や糖尿病などの生活習慣病
- 運動不足
- 社会的な交流の減少
- 過度の飲酒や喫煙
- 睡眠時無呼吸などの睡眠障害
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 物忘れが日常生活に支障をきたしている場合
- 同じことを繰り返す、時間や場所が分からないなど、周囲が明らかな変化に気づく場合
- もの忘れの症状が急に現れた場合
定期受診を予約すべき場合:
- 物忘れが気になり始めたが、生活はほぼ自立している場合
- 健康診断や何かのきっかけで記憶の心配があると言われた場合
- 家族に認知症の人がいて、自分の記憶が心配な場合
診断
診断は、医師による問診と、簡単な認知機能テストから始まります。さらに、身体的原因を調べるための血液検査や、脳の画像検査が行われることがあります。厚生労働省の指針でも、早期発見・早期対応の大切さが強調されています。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状のようすやいつから始まったかを聞きます)
- 認知機能検査(記憶力や注意力、判断力などのチェック)
- 血液検査(甲状腺ホルモンやビタミン、血糖などの異常を調べます)
- 脳のCTやMRI(脳の萎縮や病変がないかを確認します)
診察で予想されること
受診すると、まずご自身の言葉で生活の様子を話す機会があります。検査は体への負担が少なく、外来でできるものがほとんどです。結果がそろった時点で、診断と今後の方針が説明されます。安心のためにも、気になることは何でも質問してください。
治療
治療は、原因となっている病気によって異なります。治療可能な原因(甲状腺の病気や薬の影響など)が見つかった場合は、その原因を改善することで記憶障害が和らぐことがあります。認知症と診断された場合は、進行をゆるやかにする治療や、その人らしく生活するための支援を組み立てていきます。
自宅でのセルフケア
- 睡眠時間をしっかり確保する
- 予定や大事なことをメモやスマートフォンに残す
- 家の中の物の置き場所を決めて、同じ場所に置く
- ストレスをため込まないようにする
- 人との会話や活動の機会を大切にする
医療治療
薬物療法では、記憶障害の原因や症状に応じて、医師が処方を検討します。また、認知機能の維持や生活のしやすさを目指すリハビリテーション(非薬物療法)が行われることもあります。薬の名前や詳しい使い方については、かならず医師または薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
一般的な認知症に対して手術が行われることはありません。しかし、慢性硬膜下血腫や水頭症、脳腫瘍など手術で改善する脳の病気が原因の場合には、脳神経外科の手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
記憶の変化と上手につきあうには、生活の仕組みづくりが役立ちます。たとえば、鍵や眼鏡を置く固定の場所をつくる、買い物リストを活用する、薬の管理は一週間分のシートにまとめるなどの工夫で、安心して過ごせます。
生活習慣のアドバイス
- 週に2〜3回のウォーキングなどの軽い運動
- 栄養バランスのよい食事
- 十分な睡眠と休息
- 地域のサークルやボランティアなど社会参加
- 過度な飲酒や喫煙を避ける
食事と運動
脳の健康には、野菜や果物、魚を中心としたバランスのよい食事がすすめられます。運動は、軽いウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で週に数回行うことが目標です。体を動かすことは気分転換にもなり、睡眠の質の改善にもつながります。
精神的健康と心の健康
物忘れが増えると、「もしかして認知症?」という不安や、落ち込みを感じることがあります。そうした気持ちは自然なことです。しかし、うつ病などの心の病気が記憶力に影響することもあるため、心の不調を感じたら早めに医療機関に相談してください。周囲の理解も回復への大きな支えになります。
予防
記憶障害や認知症のすべてを防ぐ方法はまだありません。しかし、健康的な生活習慣(運動、食事、睡眠、生活習慣病の管理)によって、リスクを下げられる可能性があることが研究で示されています。今からできることから始めてみましょう。
ワクチン
インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種は、感染症の予防を通じて、認知症のリスクを間接的に減らす可能性があると言われています。接種のタイミングや対象については、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
一般的な健康診断に認知症のスクリーニングが標準で含まれているわけではありませんが、物忘れが気になる場合には、医療機関で認知機能のチェックを受けることができます。早期発見のために、年に一度は気になることを話す機会をつくるとよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 火の消し忘れやガス栓の閉め忘れなど、生活上の事故のリスク
- 通院や服薬など自己管理が難しくなること
- うつ病や不眠などの心の不調
- 社会的な孤立や家族の負担の増加
長期的な見通し
物忘れの原因が治療できるものなら、早めの治療で改善する可能性があります。たとえ認知症であっても、よい時期を長く保つための治療や支援が発展しています。完璧を目指さず、できることを増やす視点で、希望を持って生活を整えていきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。