子どもの片頭痛
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
片頭痛(へんずつう)は、特別なタイプの頭痛で、脳と神経の働きが関係しています。ただの頭痛ではなく、ズキズキとする痛みのほかに、吐き気や光・音に敏感になるといった発作がくり返し起きます。子どもの場合は、頭痛ではなくおなかの痛みや機嫌の悪さだけであらわれることもあります。
重要な事実
- 片頭痛は子どもにも珍しい病気ではありません。10人に1人くらいが経験します。
- 片頭痛は遺伝しやすい体質です。家族に片頭痛の人がいると、子どもにも起こりやすくなります。
- 片頭痛の発作は、きっかけを避けて生活を整えることで減らすことができます。
子どもに多い病気のひとつで、小学生から中学生のあいだに片頭痛を経験する子どもは約5〜10%と言われています。ただし、小さな子どもや幼児にも起こることがあります。
男の子にも女の子にも起こりますが、思春期をすぎると女の子に多くなります。また、家族に片頭痛を持つ子どもに多くみられます。
症状
- これまでにない突然の激しい頭痛が起きた
- 頭痛に高熱や首のこわばり(首を前に曲げにくい)をともなう
- 頭を強くぶつけてから頭痛がはじまった
- 頭痛と一緒に体の片側が動かしにくい、言葉が出にくい、意識がもうろうとするなどの症状がある
- 頭痛と一緒にけいれんが起きた
- ⚠頭痛がひどく、市販の一般的な痛み止めがまったく効かず、生活できる状態でない
- ⚠吐き気や嘔吐がひどくて水分が取れない
- ⚠頭痛が続き、数日間学校に行けない
- ⚠夜間に目がさめるほどの頭痛がある
一般的な症状
- ズキズキと脈打つような頭の痛み(片側だけのことも両側のこともあります)
- 吐き気や嘔吐(おうと)
- 光や音がまぶしく・うるさく感じる
- めまいやふらつき
子供の症状
- なんだか機嫌が悪くイライラする
- 顔色が青白くなる
- 横になって動きたがらない
- 頭痛の代わりにおなかの痛みやめまいだけのこともある
- 発作の時間は大人より短く、1時間程度で治ることもある
原因
主な原因
- 片頭痛のしくみはまだすべてはわかっていませんが、脳の神経の活動が乱れて起こると考えられています。
- 遺伝(体質)が関係しており、家族に片頭痛の人がいることが多いです。
- 発作は「誘因」がきっかけになります。寝不足、寝すぎ、目の疲れ、空腹、強い光やにおい、気圧の変化、月経などがあります。
リスク要因
- 家族(親・兄弟)に片頭痛を持つ人がいる
- 女の子(特に思春期以降)
- 不規則な生活や睡眠不足になりがち
- ストレスを感じやすい、心配性
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 月に何回も頭痛があり、勉強や遊びにさしつかえる
- 市販の頭痛薬を頻繁に使っている
- どんなことに効くか分からないまま我慢している
- 発作が不安で、生活がおっくうになっている
定期受診を予約すべき場合:
- 頭痛が月に1回以上ある(特に吐き気や光・音に敏感になる症状がある場合)
- はじめての頭痛で、心配になって受診を考えている
- 頭痛のせいで学校を休むことがある
診断
片頭痛の診断は、特別な検査で数値を調べるのではなく、お子さんと保護者からの詳しい話と診察によって行われます。頭痛の性質、きっかけ、家族歴などを聞き、神経学的な診察で異常がないことを確認します。
行われる可能性のある検査
- 問診(しつもん): 頭痛の症状、おこり方、きっかけ、家族歴をくわしく聞かれます
- 神経学的診察: 目や運動、感覚、反射など神経の働きを調べます
- 頭痛ダイアリー: 日付、痛みの程度、ともなう症状、食事や睡眠などを記録して診断の手がかりにします
- 頭の画像検査(MRIやCT): まれな病気を除外するために必要と判断された場合にのみ行われます
診察で予想されること
受診では、お子さんの体を診て、頭痛のことをいろいろ質問されます。逆に、こちらから気づいたこと(週にどのくらいあるか、どんなときにおこるかなど)を伝えられるようにメモを用意しておくとスムーズです。すぐに大きな検査が行われることはありません。
治療
治療の目的は、つらい発作を減らすことと、発作の回数自体を減らすことです。お子さんの年齢や様子にあわせて、薬にたよらない工夫と薬の使い方を医師が提案します。まずは適切な診断を受けることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 発作がきたら、暗くて静かな場所で横になる
- おでこや首の付け根を冷たいタオルで冷やす
- 水分をこまめにとる
- 深呼吸や好きな音楽を聴くなど、リラックスする方法を見つける
- 早めに気づいて行動する(前ぶれがあるとよい)
医療治療
薬の使用については、必ず医師の指示を守ってください。発作を止める薬や、吐き気を抑える薬、また頭痛が頻繁にある場合は予防の薬を医師が処方することがあります。市販の頭痛薬を使う場合も、はじめて使用する前には医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
片頭痛に対して手術が行われることはほとんどありません。
この病気と共に生きる
生活リズムを整えることが予防の基本です。学校では、頭痛がおこりそうになったときに休める場所や、先生に理解してもらえるようにしておきましょう。発作がおさまるまで無理をせず、その後は少しずつ活動してかまいません。
生活習慣のアドバイス
- 毎日だいたい同じ時間に起きて、十分な睡眠をとる
- 朝ごはんをきちんと食べる
- スマホやテレビなどの画面を長時間見すぎない(とくに寝る前は控える)
- 気圧や天気の変化がきっかけの場合は、頭痛がおこりやすいと知っておく
- ストレスをためないように、学校や家庭で話しやすい時間をつくる
食事と運動
食事は3食規則正しく、とくに朝食を抜かないようにします。空腹が頭痛の誘因になります。水分も意識してとりましょう。運動は、ウォーキングや水泳など、自分にあう強さの有酸素運動を楽しむとよいと言われています。ただし、激しい運動は発作を誘発することがあるため、いきなり無理をせず少しずつ行います。
精神的健康と心の健康
片頭痛の子どもは、「また頭痛が起きたらどうしよう」という不安や、「仮病」と思われることへのつらさを感じることがあります。家庭では、片頭痛は病気であり、子ども自身もつらいという理解をもってあげてください。お子さんの気持ちに寄り添うことで、不安がやわらぎます。
予防
片頭痛は完全に予防することは難しいですが、きっかけを避けて生活を整えることで、発作の頻度を減らし、症状をやわらげることができます。頻繁な頭痛には、医師と相談して予防の薬を使うこともあります。
合併症
治療しない場合
- 学校を休むことが増え、学習や友達との関わりに影響が出る
- 頭痛を繰り返すうちに、頭痛そのものへの不安が強くなることがある
- 薬の使いすぎがかえって頭痛を増やす(薬物乱用頭痛)ことがある
長期的な見通し
多くの子どもの片頭痛は、成長とともに軽くなったり、発作がなくなったりします。きちんと診断され、自分に合った対策ができるようになれば、普通の生活を楽しむことができます。あせらず、医師と一緒に進んでいきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。