子どもの末梢神経障害(ニューロパチー)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
末梢神経障害(ニューロパチー)とは、脳や脊髄から手足や内臓にのびる「末梢神経」が傷つくことで、しびれや痛み、力が入りにくさなどが現れる状態です。子どもにも起こることがあり、遺伝的なものと、病気などにともなって起こるものとがあります。
重要な事実
- 末梢神経は、からだの感覚を感じたり、筋肉を動かしたりする、とても大切な神経です。
- 子どものニューロパチーはまれですが、早期に気づくことで日常生活のサポートを工夫しやすくなります。
- 原因はさまざまで、血液検査や神経の検査によって調べることができます。
子どもではあまり多くありません。大人に多い病気ですが、まれに子どもでも見つかることがあります。
遺伝性のタイプは幼い子どもにも現れることがあります。また、糖尿病や特定の感染症、自己免疫疾患などを持つ子どもで発症することがあります。
症状
- 突然、息苦しさや呼吸のしづらさがある
- 突然、手足の力が入らず動かせない
- 言葉が話しにくい、顔や口元がゆがむ
- 意識がもうろうとする
- ⚠しびれや力の入りにくさが、数時間から数日で急速に悪化する
- ⚠焼けるような強い痛みが続き、眠れない
- ⚠歩けなくなるほどの力の低下がある
一般的な症状
- 手足のしびれやチクチクした感覚
- 触れた感覚がにぶくなる、または逆に過敏になる
- 力が入りにくく、歩き方が変わる
子供の症状
- よく転ぶ、走るのが苦手など、運動がぎこちなくなる
- 靴を履いているときの違和感や足の痛みを訴える
- ボタンかけや箸使いなど、手先の細かい動きがしにくくなる
- 小さなけがややけどに気づきにくい
高齢者の症状
- 高齢者では、糖尿病や加齢にともなうニューロパチーが多く、足のしびれや痛み、感覚が鈍る症状が目立ちます。
原因
主な原因
- 遺伝的な原因(家族に同じ症状を持つ人がいる場合)
- 糖尿病などの代謝性の病気
- 自己免疫疾患(免疫が自分の神経を攻撃してしまうこと)
- 特定の感染症、薬、化学物質への曝露
- ビタミンB12などの栄養不足
リスク要因
- 家族にニューロパチーの人がいる
- 糖尿病や自己免疫疾患がある
- 特定の薬や化学物質に接する機会がある
- 極端な偏食や栄養状態の悪さがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 小さな傷ややけどに気づかないほど感覚がにぶっている
- 手足の力が数日以内に弱くなってきた
- 夜も眠れないほどの痛みやしびれがある
定期受診を予約すべき場合:
- 手足のしびれや痛みが続いている
- 歩き方が変わったり、よく転ぶようになった
- 書字やボタンかけなど、細かい作業がうまくできなくなった
診断
医師がお子さんの症状やからだの状態を診察し、そのうえで必要な検査をすすめます。原因を特定することが治療の土台になります。
行われる可能性のある検査
- 神経の伝わり方を調べる神経伝導検査
- 筋肉の電気的な活動を調べる筋電図
- 血液検査、尿検査
- 必要に応じて遺伝子検査やMRI(画像検査)
診察で予想されること
診察では、症状の始まりや経過、家族歴などを詳しく聞かれます。検査によっては少し痛みや違和感をともなうものもありますが、医療スタッフがお子さんのペースに合わせて説明しながら進めます。
治療
治療の目的は、原因となる病気への対応と、症状をやわらげて日常生活をしやすくすることです。小児神経科、リハビリテーション科などの医師が連携して、お子さんに合った治療方針を立てます。
自宅でのセルフケア
- 規則正しい生活と十分な睡眠を心がける
- 足を毎日観察し、傷やまめがないか確認する
- 自宅内の段差や障害物をへらして安全に過ごせるようにする
- 痛みやしびれが強いときは無理をせず、からだを休める
医療治療
原因となる病気があれば、その治療を先に行います。症状に対しては、痛みやしびれをやわらげるための薬を使うことがあります。薬の種類や使用については、医師または薬剤師に相談してください。また、理学療法や作業療法などのリハビリテーションも、日常生活の動きを維持するうえで大切です。
手術が検討される場合
神経がまわりの組織に圧迫されている場合など、まれに手術が検討されることがあります。しかし多くの場合、手術よりも薬による治療とリハビリテーションが中心になります。
この病気と共に生きる
ニューロパチーのある子どもが無理なく過ごせるように、通学や運動、衣類の工夫でできることがたくさんあります。学校の先生に症状や必要な配慮を伝えることも助けになります。
生活習慣のアドバイス
- 運動は医師と相談しながら、安全な範囲で楽しむ
- 温水プールなど、負担の少ない運動を選ぶ
- 足の保湿や爪切り、靴のサイズ確認など、足のケアを習慣にする
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、特にビタミンB12を多く含む食品(魚、肉、卵、乳製品など)を積極的にとりましょう。運動は筋力維持と血流改善に役立ちますが、痛みやしびれが強くない範囲で無理なく行います。
精神的健康と心の健康
症状が原因で学校生活や運動に制限があると、お子さんが「みんなと違う」と感じたり、不安や悲しみを抱えたりすることがあります。その気持ちに寄り添い、話しやすい雰囲気をつくることが大切です。必要に応じて、学校の相談室や医療チームに相談するのも良い方法です。
予防
遺伝性のものは予防が難しいですが、糖尿病などの病気が原因の場合は、その病気をきちんと治療することでニューロパチーの進行を防ぎやすくなります。感染症や薬が原因となる場合も、適切な管理によって予防できることがあります。
ワクチン
ニューロパチーそのものを予防するワクチンはありません。ただし、予防接種で感染症を防ぐことは、一部の感染症にともなう神経障害のリスクを減らすのに役立ちます。
検診プログラム
家族歴がある場合は、症状が現れる前でも神経の検査を行うことがあります。また、糖尿病の子どもでは、定期的に神経のチェックがすすめられます。
合併症
治療しない場合
- 筋力の低下が進み、歩行や手の動きに支障が出る
- 感覚が鈍いためにけがややけどに気づきにくく、傷が悪化する
- 痛みが続くことで睡眠や学校生活に影響が出る
長期的な見通し
子どものニューロパチーの経過は原因によってさまざまですが、適切な治療とサポートを受けることで、症状をうまく管理しながら学校生活や将来の活動を続けている子どもは多くいます。つらいときは一人で抱え込まず、医療チームや家族に相談してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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