神経障害(ニューロパチー)とは?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
神経障害とは、体全体に張り巡らされた神経が傷ついたり、うまく働かなくなったりすることで起こる状態です。手足のしびれや痛み、感覚の低下、筋力の低下などが現れます。脳や脊髄の外にある神経(末梢神経)が障害されるものを特に「末梢神経障害」と呼びます。
重要な事実
- 神経障害は、糖尿病の合併症として最も多く見られます。
- 症状は手足の先から現れることが多いです。
- 原因を治療することで、改善する可能性があります。
- 痛みやしびれをがまんせずに、早めに医療機関へ相談することが大切です。
はい、神経障害は決して珍しい病気ではありません。特に糖尿病を長く患っている人では、30~50%に何らかの神経障害が見られるといわれています。糖尿病以外でも、加齢や栄養不足などが原因で起こることがあります。
糖尿病のある人、高齢者、アルコールを多く飲む人、特定の薬剤を使用している人、また遺伝的に神経障害が起こりやすい体質の人に見られます。ただし、どの年齢の方でも起こる可能性があります。
症状
- 突然、片側の手足に力が入らない、まひが起こった
- 急に言葉が話せない、相手の言葉が理解できない
- 急激な呼吸困難や胸の痛み
- 意識がもうろうとする、意識を失う
- ⚠手足の力が急速に弱ってきて、物を持てなくなった
- ⚠尿や便を意図せず漏らしてしまう(排尿・排便障害)
- ⚠しびれや痛みが急に広がり、数時間のうちに悪化する
- ⚠強い痛みで眠れない、動けない
一般的な症状
- 手や足のしびれ、ピリピリ・チクチクする感覚
- 痛み(焼けるような痛みや電気が走るような痛み)
- 感覚が鈍くなり、温度や痛みを感じにくい
- 筋力が弱くなり、力が入らない
- 足が動かしにくい、歩きにくい
- つま先や指先がひんやり冷たい
子供の症状
- 大人よりもまれですが、しびれや痛みを訴えることがあります。
- 肩や背中の痛み、歩き方の異常、運動能力の低下として現れることがあります。
- 成長や発達に影響する可能性があるため、小児科専門医の診察が勧められます。
高齢者の症状
- 感覚が鈍くなることで、やけどや小さなケガに気づきにくくなります。
- 足の裏の感覚が低下すると、バランスを保ちにくく転倒のリスクが高まります。
- 筋力低下が進行すると、日常生活動作(歩行や階段の上り下りなど)が困難になることがあります。
原因
主な原因
- 糖尿病(糖尿病性神経障害)
- ビタミンB群などの栄養不足
- アルコールの多飲
- 薬剤の副作用(抗がん剤や一部の抗菌薬など)
- 自己免疫疾患(免疫が自分の神経を攻撃する)
- 遺伝的要因(遺伝性ニューロパチー)
- 腎臓病、肝臓病、甲状腺疾患などの全身性疾患
- 神経が圧迫される状態(脊柱管狭窄症や手根管症候群など)
リスク要因
- 糖尿病であり、血糖コントロールが不十分
- 肥満、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病
- 過度の飲酒
- 特定の薬を長期にわたって使っている
- 前述の疾患の家族歴がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に症状が現れた、または急速に悪化している(例:数日のうちに手足が動かせなくなった)
- 排尿や排便ができない、または漏れる
- 激しい痛みがある
定期受診を予約すべき場合:
- しびれや痛みが数週間以上続いている
- 症状が日常生活に支障をきたしている(歩きにくい、物がうまくつかめない)
- 糖尿病など持病があり、新たな症状が出た
- 症状が悪化していく傾向がある
診断
問診と診察を丁寧に行い、生活習慣や持病、家族歴などを確認します。そのうえで、神経の働きや損傷の程度を調べる検査を行い、原因を特定していきます。診断には、神経内科や脳神経内科の専門医が当たるのが一般的です。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(血糖値、ビタミンB群、甲状腺機能、免疫の状態など)
- 神経伝導速度検査(神経の電気信号が伝わる速さを調べる)
- 筋電図検査(筋肉の電気的な活動を調べる)
- 針筋電図(細い針を筋肉に刺して記録する検査)
- MRIやCTなどの画像検査(神経の圧迫や異常がないかを確認)
診察で予想されること
診察では、症状の始まりや進行、部位、痛みの性質などを詳しく聞かれます。検査は一部に痛みを伴うものもありますが、安全に行えるよう工夫されています。検査結果をもとに、原因や治療方針が話し合われます。
治療
神経障害の治療は、まず原因となっている病気や状態の改善を目指します。たとえば糖尿病が原因なら血糖コントロールを徹底すること、ビタミン不足なら不足している栄養を補うことなどが基本です。同時に、痛みやしびれなどの症状をやわらげる治療を行います。症状はゆっくり改善することが多く、根気強く続けることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 毎日、足(特に指の間)を丁寧に洗って観察し、傷やマメや水ぶくれがないか確認する
- 足を清潔に保ち、保湿する
- ゆったりとした靴を選び、足に合ったものを履く
- 禁煙する(喫煙は血流を悪化させます)
- アルコールは控えめにする(過剰な飲酒は神経に悪影響)
- 無理の範囲で、軽い運動(ウォーキングなど)を続ける
医療治療
主治医は、痛みやしびれなどの症状に対して、神経障害でよく使われる薬を処方することがあります。ただし、薬の種類や用量は、治療を受ける人の体質や症状に合わせて医師が慎重に決めます。このため、自己判断で服用を止めたり、他の人から薬をもらったりすることは避けてください。また、原因疾患に対する治療(血糖管理など)や、理学療法・リハビリテーションを取り入れることもあります。最新の治療法についても医師に相談しましょう。
手術が検討される場合
神経が物理的に圧迫されて症状が出ている場合(手根管症候群や脊柱管狭窄症など)には、圧迫を取り除く手術が検討されることがあります。ただし、手術がすべての人に合うわけではありません。症状や原因、全身状態を考慮して、医師が手術の必要性を判断します。
この病気と共に生きる
神経障害とともに生きるうえで大切なのは、「毎日のセルフケア」と「定期的な医療機関への受診」です。症状の記録(どんなしびれか、どんな時に強くなるかなど)をつけておくと、医師に伝えやすくなります。また、足を傷つけない工夫(靴下や靴の選び方)や、入浴時のやけど防止など、生活の中での注意を習慣にしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠をとる
- ストレスをためない(趣味やリラックス法を持つ)
- 適度な運動を続け、筋力やバランス感覚を維持する
- 足の爪を切るときは、深爪や周囲の皮膚を傷つけないようにする
食事と運動
バランスの良い食事は神経の修復に役立ちます。特にビタミンB群(B1、B6、B12)やビタミンE、ミネラルを含む食品(玄米、豚肉、魚、大豆製品、野菜など)を意識して摂りましょう。ただし、サプリメントに頼りすぎず、医師や栄養士のアドバイスを受けることが大切です。運動は、ウォーキングやストレッチなど、負荷がかかりすぎないものを選びましょう。
精神的健康と心の健康
慢性的なしびれや痛みは、気分の落ち込み、不安、睡眠の妨げとなることがあります。「気のせいだ」とがまんせず、つらい気持ちを言葉にして家族や友人に話したり、医師や看護師、心理の専門家に相談してください。気持ちのサポートも治療の大切な一部です。
予防
神経障害のすべてを予防できるとは限りません。しかし、糖尿病や高血圧などの生活習慣病をしっかり治療・管理すること、アルコールを過剰に飲まないこと、栄養バランスの良い食事をとること、喫煙を避けることなどで、一部の神経障害は予防できる可能性があります。また、原因となる薬を使用している人は、医師にしびれなどの症状を相談することで、早期発見・早期対応が可能になります。
ワクチン
神経障害そのものを予防するワクチンはありません。
検診プログラム
定期的な健康診断は、糖尿病や生活習慣病の早期発見に役立ち、神経障害の予防にもつながります。糖尿病を持っている方は、神経障害の検査(モノフィラメント検査や振動感覚検査など)を定期的に受けるよう医師に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 足の感覚が低下すると、やけどやけがをしても気づかず、感染症や潰瘍(皮膚がえぐれてできる傷)を起こすことがあります。
- 筋力低下により、歩行や立ち上がりが難しくなり、転倒や骨折のリスクが高まります。
- 症状が進行すると、日常生活の動作に介助が必要になることがあります。
- 原因となる病気(糖尿病など)の治療が遅れると、腎臓や眼などほかの臓器にも合併症が現れやすくなります。
長期的な見通し
神経障害の経過は原因や治療開始時期によって異なりますが、原因を正しく治療すれば、症状が改善したり進行を抑えたりできることが多くあります。痛みやしびれを医療者と一緒に管理しながら、前向きに生活を続けることが大切です。早期発見と継続した治療が、良い結果につながります。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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