パーキンソン病の診断後によくある症状と、その対処法
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
パーキンソン病は、脳の中にある「ドーパミン」という信号を伝える物質を作る神経細胞が減ってしまうことで、体を動かすための指令がうまく伝わらなくなる病気です。そのため、手・足のふるえや動作がゆっくりになる、体がこわばるなどの症状が現れます。進行の速さは人によって異なり、ゆっくり進むことが多いです。
重要な事実
- パーキンソン病は、脳内のドーパミンを作る細胞が減ることで起こります。
- 代表的な症状は、手足のふるえ・動作が遅い・筋肉がこわばる・バランスがとりにくいことです。
- 便秘や睡眠障害、気分の落ち込みなどの症状を伴うこともあります。
日本では、65歳以上の約100人に1人くらいが発症すると言われており、比較的一般的な神経の病気です。
多いのは50~60歳以降の人ですが、若い人でも発症することがあります。男性のほうがやや多いという報告もありますが、女性にもよく見られます。
症状
- 突然、意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- 急に高熱が出て、首や体が異常にこわばる
- 顔の片側や体の片側が急に動かせなくなる
- 激しい頭痛や、話すことが急にできなくなる
- 呼吸が苦しそうで、顔色がひどく悪い
- ⚠転んで頭を強く打った・出血がある
- ⚠ご飯や水を飲み込みにくく、むせて呼吸が苦しい
- ⚠薬を飲めない、または薬がうまく効かず立っていられない
- ⚠下痢や嘔吐が続き、水分が取れない
一般的な症状
- 手や足がふるえる(特に体を動かしていないときに多く、落ち着くとふるえが減ることがあります)
- 動作がのろくなる、歩くときの歩幅が小さくなる
- 筋肉がこわばり、体がかたい感じがする
- バランスをとりにくくなり、転びやすくなる
- 無表情になる、声が小さくなる、字が小さくなる
- 便秘、頻尿、立ちくらみ、睡眠中の異常行動
- においがわからなくなる、気分の落ち込みや不安
原因
主な原因
- 脳の「黒質」と呼ばれる部分にあるドーパミンを作る神経細胞が減少することが主な原因と考えられています。
- 細胞が減る根本の理由はまだわかっておらず、加齢、遺伝子、環境の要因が重なって起こる可能性があります。
リスク要因
- 年齢(高齢になるほど増える)
- 家族にパーキンソン病の人がいる場合(遺伝的要素)
- 男性の場合(女性よりやや多いという報告がある)
- 職業などで農薬や有機溶剤に長期間さらされた可能性がある場合(ただし、確定的な関係ではありません)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急に症状が悪化し、歩けない・立っていられない
- せきやたんが伴い、熱があって、息が苦しい
- 薬の副作用でめまいがひどく繰り返し倒れる
定期受診を予約すべき場合:
- 手や足がふるえる、動作が遅い、歩きにくいなどの症状が数週間続く
- 身の回りの動作(着替え、入浴、食事)に時間がかかるようになった
- ふるえや動きにくさが生活に支障をきたしている
診断
診断のきっかけは、医師による問診と診察です。手足の動き、ふるえ、筋肉のこわばり、歩き方などを確認し、症状の経過やほかの病気がないかを慎重に調べます。パーキンソン病に特異的な血液検査はないため、まずは他の似た病気を除外する検査が行われます。
行われる可能性のある検査
- 診察(ふるえ、動作の速さ、筋のこわばり、歩行の様子を見ます)
- 血算や血液検査(ほかの病気を除外するため)
- 頭部MRI(脳の形態や別の病気の有無を調べます)
- ドパミン輸送体画像(脳内のドーパミン神経の働きを評価する検査。専門の施設で行われます)
診察で予想されること
診断には数週間から数か月かかることもあります。神経内科(脳や神経の専門)の医師による診察が中心です。一度で確定しない場合は、症状の変化を記録しながら経過を見ることもあります。
治療
現在のところ、病気そのものを完全に止める治療法はありませんが、症状を和らげて生活の質を保つための治療が中心になります。代表的なものは薬物療法とリハビリテーションです。薬は専門医が症状に合わせて量や種類を調整します。
自宅でのセルフケア
- 医師から指示された薬を決まった時間に飲み、効果と症状の変化を記録しましょう
- 転ばないように、家の中の段差や物の置き場所を整えましょう
- 疲れをためず、十分な睡眠をとりましょう
- 趣味や人との交流など、無理のない範囲で楽しみを続けましょう
医療治療
薬物療法では、脳内で不足するドーパミンを補ったり、その働きを調整したりする薬などが使われます。どの薬を使うか、また量や回数は、患者さんの症状や年齢、生活スタイルに合わせて神経内科の医師が慎重に決めます。副作用が出た場合も、薬を調整することで改善をはかります。また、理学療法、作業療法などのリハビリテーションを組み合わせることで、歩行や日常動作を維持する効果があります。
手術が検討される場合
進行して薬の効果が不安定になった場合に、脳深部刺激療法(脳の中の特定の場所に細い電極を入れて、電気で刺激する手術)を検討することがあります。適応になるかは専門のチームが慎重に評価します。
この病気と共に生きる
規則正しい生活を心がけ、自分のペースを大切にしましょう。症状は時間帯や体調で変わることもあるため、調子の良いときにできることを増やしていくとよいです。服薬時間を守り、5~6食に分けて食べるなどの工夫が役立つこともあります。
生活習慣のアドバイス
- 朝起きたら軽いストレッチや深呼吸をする
- こまめに水分をとり、便秘を予防する
- 安全な場所で、毎日20~30分程度の散歩や体操を続ける
- 外出や人との交流の機会をつくる
- 家族や友人に自分の症状や困りごとを見もなく話せるようにする
食事と運動
バランスの良い食事を基本に、特に食物繊維(野菜、果物、全粒穀物)と水分を多くとりましょう。便秘はパーキンソン病でよく見られ、のどの筋肉の衰えによるむせや誤嚥も注意が必要です。食事はあわてずにゆっくり一口ずつ食べ、必要に応じてとろみなどを利用します。運動は歩行やバランス維持に有効なので、「歩く」「その場でかかと上げをする」などの軽い運動を毎日続けるとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
パーキンソン病と診断されたことや、症状による不便さから、不安や落ち込み、いらだちを感じることがあります。また、脳内の変化でうつ症状や睡眠障害が起こりやすくなることもあります。気分の落ち込みが続く場合や、眠れない日が続く場合は、ひとりで抱え込まずに医師に相談してください。
予防
現在、パーキンソン病を確実に予防する方法は見つかっていません。しかし、早期に受診して治療を始めることで、症状の進行をゆるやかにし、日常生活の不便さを減らすことができます。
ワクチン
パーキンソン病そのものを予防するワクチンはありません。ただし、パーキンソン病の人は誤嚥性肺炎になりやすいため、医師と相談のうえ、インフルエンザや肺炎球菌のワクチンを受けることが勧められることがあります。
検診プログラム
パーキンソン病を一般健診で見つけるためのスクリーニングは現在ありません。ふるえや動きの変化などの気になる症状がある場合は、迷わず医師に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 転倒による骨折(特に太ももの骨や手首の骨折)
- むせやすくなり、食べ物や唾液が気管に入って起こる誤嚥性肺炎
- 歩行や身の回りの動作がさらに困難になり、寝たきりのリスクが高まる
- 認知機能の低下やうつ症状が現れやすくなる
長期的な見通し
パーキンソン病はゆっくり進行しますが、多くの方は適切な治療とリハビリテーションによって、長期間にわたり仕事や趣味、家庭生活を続けることができます。症状とうまく付き合いながら、自分のペースを大切にしていくことが何より重要です。この病気は決して「すぐにどうなる」というものではありません。希望をもって過ごしましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。