発作(てんかん)のある方の安全な運動ガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
「発作(ひっさく)」とは、脳の神経細胞が一時的に過剰に働くことで起こる症状です。体がけいれんしたり、意識を失ったりすることがあります。この発作があると、運動をしてもよいのか不安に感じる方も多いですが、適切な予防策をとれば、安全に運動を続けることは十分に可能です。
重要な事実
- 運動は発作の回数を減らす効果が期待できるといわれています。
- 運動中は、周りの人に発作のことを伝えておくと安心です。
- プールや高所での運動は、特に注意が必要です。
- 発作がよく起こる時期や時間帯を避けて、体調のよいときに運動しましょう。
てんかんは日本では約100人に1人程度いるとされ、決して珍しい病気ではありません。運動を楽しんでいる方も多くいます。
発作はどの年代でも起こりえますが、子どもや高齢者に多くみられます。運動をしたいと思っているすべての世代の方に関係する話です。
症状
- 5分以上けいれんが続いている
- 続けて何度も発作を起こして、間に意識が戻らない
- 発作のあとに呼吸が苦しそう、または呼吸が止まっている
- 発作のときに頭を強く打った
- 妊娠中の方が発作を起こした
- ⚠はじめて発作を起こした
- ⚠発作の回数や様子がいつもと違う
- ⚠発作のあとに手足のまひや言葉の障害が残っている
- ⚠発作後の回復がいつもよりかなり遅い
一般的な症状
- 突然ボーッとして反応がなくなる
- 手足が勝手にピクピクと動く
- 意識を失って倒れる
- 体全体が硬くなったりけいれんしたりする
- 発作のあとに強い眠気や混乱が残る
子供の症状
- 遊んでいる最中に突然動きが止まり、視線が合わなくなる
- ぼんやりしているだけで、まわりが異変に気づきにくい
- 熱があったり、睡眠不足だったりすると起こりやすくなる
高齢者の症状
- 物忘れや混乱と間違えられることがある
- 意識がふっと遠のいて転倒しやすい
- 脳卒中やけがなどがきっかけで発作が起こることがある
原因
主な原因
- 脳の外傷や腫瘍など、脳に何らかの異常があること
- 脳卒中などの脳の病気のあとに起こること
- 感染症や高い熱、低血糖、電解質バランスの乱れなどがきっかけになること
- 睡眠不足やストレス、過度の飲酒、光の点滅などが引き金になること
- 原因がはっきりとわからないことも多いこと
リスク要因
- てんかん発作を起こしやすい体質(遺伝的な要素)
- 頭をぶつけるけがの経験
- 脳卒中や認知症などの脳の病気
- 睡眠不足や不規則な生活
- アルコールの多量摂取
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 運動中に発作を起こしてけがをした場合
- 発作がいつもより長い、または続けて起こる場合
- はじめて発作を起こした場合
定期受診を予約すべき場合:
- 運動を始める前に、かかりつけの医師に相談する
- 発作の薬を飲んでいるが、運動との関係について確認したい場合
- 運動後に発作が増えていると感じる場合
診断
医師による診察と、発作の様子を詳しく聞くことから始まります。必要に応じて、脳の電気的な活動を調べる検査や、画像検査などが行われます。
行われる可能性のある検査
- 脳波検査(のうはけんさ): 頭に電極をつけて、脳の電気的な動きを調べます
- MRI検査: 磁気を使って脳の形や傷を調べます
- CT検査: X線を使って脳の異常を確認します
- 血液検査: 発作を起こしやすい体の異常がないか調べます
診察で予想されること
診断には時間がかかることがあります。また、発作を起こした本人はその時のことを覚えていないことも多いため、一緒にいた家族や友人の話がとても重要です。医師には「いつ、どんな状況で、どんな症状だったか」をできるだけ詳しく伝えましょう。
治療
治療の中心は、発作を予防するためのお薬を毎日きちんと飲むことです。また、発作が起こりにくい生活習慣を心がけることも、治療の一部です。
自宅でのセルフケア
- 睡眠をしっかりとり、生活リズムを整える
- 空腹や脱水を避ける
- アルコールを控える
- 疲れをためないために、運動の強度と時間を調整する
- 運動前に必ずウォームアップを行い、運動後はクールダウンする
医療治療
発作を予防するための抗てんかん薬(ひっさつをふせぐくすり)が、発作の種類や体質に合わせて処方されます。お薬は突然やめたり量を変えたりせず、医師の指示に従って飲み続けることが大切です。お薬の種類によっては眠気やふらつきなどの副作用が出ることがあるため、気になる症状があれば医師に相談してください。
手術が検討される場合
お薬で発作を十分に抑えられず、発作の原因となっている脳の場所が特定できる場合には、手術が検討されることもあります。手術が適応になるかどうかは、専門の医師が詳しく調べた上で判断します。
この病気と共に生きる
運動は、発作の予防や心の健康のために有益です。ただし、運動中に発作が起きたときに備えて、周りに人がいる場所で運動する、発作について伝えておく、緊急連絡先を携帯するなどの準備をしましょう。
生活習慣のアドバイス
- ウォーキングやジョギングは、周りに人が多いコースを選ぶ
- プールでは必ず監視員がいる場所で、発作のことを知っている人と一緒に泳ぐ
- サイクリングはヘルメットを必ず着用し、交通量の少ない道を選ぶ
- 登山や高い場所での作業は、必ず誰かと一緒に行う
- 激しい運動や睡眠不足になるような運動は避ける
食事と運動
バランスのよい食事を規則正しくとることが大切です。特に、食事を抜いてのどが渇いた状態での運動は避けましょう。水分補給をこまめに行い、運動中に体調が悪くなったらすぐに休みます。
精神的健康と心の健康
発作があると「次はいつ起こるのだろう」という不安を感じることがあります。また、周囲に迷惑をかけるのではと心配して、運動を避けたくなる方もいます。こうした不安は自然な感情ですが、無理をせず、できることを少しずつ増やしていくことが、心の健康にもつながります。
予防
発作そのものを完全に予防することは難しい場合もありますが、運動中の発作を防ぐために、事前の準備と環境づくりがとても重要です。睡眠不足や過度の疲労、空腹、脱水、過度の飲酒を避けることで、発作のリスクを減らせます。
ワクチン
てんかん発作そのものを予防するワクチンはありません。ただし、脳炎や髄膜炎などの感染症が原因で起こる後天性のてんかんを防ぐために、一般的な予防接種は重要です。
検診プログラム
特別な検診は一般には行われていませんが、発作を起こしたことがある方は、定期的に脳波検査などのフォローアップを受けることが推奨されます。
合併症
治療しない場合
- 運動中の発作による転倒・けがのリスクが高まる
- プールでの発作による溺水のリスク
- お薬を飲まないことで発作の回数が増える可能性
- 発作への不安から運動を避け、体力や心の健康が低下する
長期的な見通し
発作は適切な治療と生活管理によって、多くの場合、うまくコントロールできます。運動を安全に楽しむための工夫を知っておけば、発作があっても充実した活動的な生活を送ることができます。決して希望を失わずに、自分に合った方法を見つけていきましょう。
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- 公益社団法人 日本てんかん協会 ↗ · 日本全国
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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