てんかん発作の増悪(ごふく)とは?:再発や増えたときの対処法
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
「発作の増悪(ぞうあく)」とは、これまでうまくおさえられていた発作が、再び起こりやすくなったり、発作の回数や強さが増えたりすることをいいます。てんかんの治療を受けている人でも、体調や生活の変化によって一時的に発作が増えることがあります。これを「発作のフレアアップ」と呼ぶことがあります。
重要な事実
- 発作が急に増える原因は、薬の飲み忘れや睡眠不足、ストレス、発熱などが多いです。
- 発作が増えたときに慌てず対応するには、日ごろから自分の発作の特徴を知っておくことが大切です。
- 発作が5分以上続く場合や、意識が戻らないまま繰り返す場合は、すぐに救急車(119)を呼びます。
- 発作が増えたときは、自己判断で薬を増やしたり減らしたりせず、かかりつけの医師に相談しましょう。
はい、まれではありません。てんかんのある人のうち、半数以上の人が治療中に一度は発作が増える時期があるといわれています。
子どもからお年寄りまで、てんかんと診断されたすべての人に起こる可能性があります。特に、服薬を始めたばかりの人、薬を変更した人、睡眠不足や発熱をきっかけに発作が出やすい人によく見られます。
症状
- けいれんが5分以上続く
- 発作が終わっても意識が戻らない、またはすぐに次の発作が始まる
- 呼吸の様子がおかしい、唇や顔色が青い(チアノーゼ)
- 発作中に頭を強く打った、けがをした
- 妊娠中や糖尿病の人が発作を起こした
- はじめてのけいれん発作を起こした
- 水の中(プール・浴槽など)で発作が起こった
- ⚠いつもの発作と違う様子(左右どちらかだけのけいれん、言葉が出ないなど)
- ⚠発作が普段より明らかに多い(1日に何回も起こるなど)
- ⚠けいれんは止まったが、ぼんやりして話しかけても反応しない
- ⚠発作後に手足のまひがある
- ⚠薬を飲めない、または吐いてしまった
一般的な症状
- いつもより発作の回数が多い
- いつもと同じような発作が繰り返し起こる
- 発作のタイプがこれまでと少し変わる(例:部分的なけいれんから全身のけいれんになる)
- 前触れ(オーラ)を感じる頻度が増える
- 意識が遠くなる、ぽーっとする時間が長い
子供の症状
- 熱が出たときに発作(熱性けいれん)が増えることがある
- いつもより機嫌が悪い、ぐったりしている、視線が合わない
- 意識がない状態が長く続く
- 授業中にぼんやりする時間が増える(小発作に似た様子)
高齢者の症状
- 言葉がうまく出てこない、突然混乱する
- 返事が遅くなる、反応が鈍くなる
- 手足がぴくぴく動くが、本人は覚えていない
- 転んだ、体を打ったのに原因が思い出せない
原因
主な原因
- 薬の飲み忘れ、自己判断で服薬を中止・減量した
- 睡眠不足や疲れがたまっている
- ストレス(精神的な緊張や不安)
- 発熱、風邪などの感染症
- アルコールの飲みすぎ、または急に飲酒をやめた
- 強い光の点滅(テレビゲームやパチンコなど)
- 生理前後や体調の変化(女性の場合)
リスク要因
- てんかんの診断歴がある、または発作の既往がある
- 脳卒中や頭部外傷、脳腫瘍などの脳の病気のあとがある
- 生まれつき脳の障害や神経の異常がある
- 薬の血中濃度が不安定になりやすい(高齢者、肝臓・腎臓の働きが弱っている人)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発作が増えていると感じたら、数日以内に担当医に知らせましょう
- 発作のタイプが明らかに変わったとき
- 理由もなく意識を失う時間が長いとき
- 発作の後に体のまひや言葉の障害が残るとき
定期受診を予約すべき場合:
- 薬の飲み忘れが多いとき(服薬管理の相談をしたいとき)
- 発作の前触れや頻度に小さな変化があるとき
- 妊娠を考えている、または妊娠したとき(薬の調整が必要なため必ず相談)
- 運転免許の更新や仕事・学校との両立のことで相談したいとき
診断
医師は、あなたの症状の詳しい話(いつ、どのように始まり、何秒続いたか、どんな様子だったか、など)を聞き、必要に応じて脳波や画像の検査を行います。てんかんは「症状を見た人」の証言がとても重要なので、家族や周りの人にも発作の様子を聞きます。
行われる可能性のある検査
- 脳波(のうは)検査(EEG):頭に小さな電極をつけて、脳の電気的な活動を調べます。
- MRI検査:脳の形や損傷の有無を画像で確認します。
- 血液検査:電解質の異常や薬の濃度、感染症の有無を調べます。
診察で予想されること
てんかん外来や脳神経内科・脳神経外科で診察を受けます。発作を起こした直後や発作が増えているときは、検査をしながら治療(主に薬)を調整します。検査のために短い入院が必要な場合もあります。
治療
治療の目的は、発作をゼロまたは生活に支障がないレベルにおさえることです。発作が増えたときは、まず原因(睡眠不足・飲み忘れ・感染症など)を探し、それを取り除きながら、薬の量や種類を調整します。
自宅でのセルフケア
- 服薬は毎日きちんと飲み、飲み忘れた場合は医師や薬剤師に相談する
- 睡眠時間を十分にとり、寝る時間と起きる時間を一定に保つ
- アルコールはできるだけ控える
- ストレスをためず、リラックスする時間を持つ
- 発作の日記をつけて、きっかけや前触れを記録する
- 外出時は、周りの人がてんかんとわかるように医療用IDカードやお薬手帳を持つ
医療治療
主な治療は抗てんかん薬(けいれんを防ぐ薬)です。薬の種類は発作のタイプや年齢、体質によって選ばれます。薬は少量から始め、効果と副作用を見ながらゆっくり調整されるのが一般的です。その他に、薬が効きにくい場合は、食事療法(ケトン食)や、脳の異常部位を特定して行う外科治療、迷走神経刺激装置(体内に埋め込む装置)などの選択肢があります。必ず専門医と相談して決めます。
手術が検討される場合
薬で十分に発作がおさえられない「難治性てんかん」の場合、脳の中で発作の起点になっている場所を手術で取り除く「てんかん外科治療」が選択肢となることがあります。ただし、これは必ず専門の医療機関で詳しい検査を行い、脳の機能に大きな障害が出ないと確認された場合に限られます。
この病気と共に生きる
発作が増えた時期は、無理をしないことが第一です。日中は安全が確保できる環境(高所に近づかない、一人で入浴しない)に注意し、必要に応じて学校や職場に「発作が起きたときの対応」を知ってもらいましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と規則正しい生活
- お酒は適量を守る(できれば控える)
- 誘因になる光の点滅を避ける
- 車の運転は医師の指示に従う(てんかん患者の運転には法律で制限があります)
- 登山や水泳など危険を伴う活動は、必ず誰かと一緒に行う
食事と運動
バランスの良い食事を摂り、過度な食事制限は避けます。運動は、発作がしっかりコントロールできていれば通常は可能ですが、無理のない範囲で、十分な睡眠を取った上で行いましょう。特定の食事療法(ケトン食)は医師や管理栄養士の指導がある場合だけ行います。
精神的健康と心の健康
発作が増えると「また起きたらどうしよう」「周りに迷惑をかけるかもしれない」という不安を感じやすくなります。これは自然な気持ちです。てんかんのある人には気分の落ち込みや不安を抱える人も少なくありません。そういったときは決して我慢せず、担当医や心理の専門家、家族に話すことが大切です。
予防
発作そのものを完全に予防する方法はありませんが、多くの「増え方」は防ぐことができます。薬を毎日決まった時間に飲むこと、睡眠を十分とること、アルコールや過度な疲れを避けることで、発作の誘因をできるだけ遠ざけましょう。
ワクチン
発作そのものを予防するワクチンはありません。ただし、高熱や感染症は発作のきっかけになるため、風邪やインフルエンザなどの感染症を予防するための定期予防接種は、間接的に発作を防ぐ役目をすることがあります。
検診プログラム
てんかんの「健診」は一般的にはありませんが、脳波検査や画像検査を定期受診の中で行い、脳の状態を確認します。発作が増えやすい時期(睡眠不足が続く時、妊娠中など)は、特に注意して受診を継続しましょう。
合併症
治療しない場合
- 発作が長時間続く「てんかん重積(じゅうせき)状態」になると、脳に強い負担がかかり、命に関わることもあります。
- 発作中の転倒や打撲、溺水などの事故につながる
- 徐々に記憶力や集中力に影響が出ることがある
- 特定の条件下では「てんかん突然死(まれではありますが)」のリスクが高まる、これは発作の頻度と関係すると言われています
長期的な見通し
発作が増える時期は、てんかん治療の中ではよくある出来事です。原因を見つけて正しく対処すれば、再び発作を抑えられる人がほとんどです。現在は多くの治療法があり、約7割の人は薬で発作がゼロになります。あせらず、医療者と一緒にあなたに合う対策を見つけていきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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