妊娠中の発作
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
妊娠中に、けいれんや意識を失うなどの発作が起きることをいいます。妊娠前からてんかんのある方で発作が起こる場合と、妊娠中に血圧が高くなることで起こる子癇(しかん)という状態の場合があります。母子ともに危険が及ぶ可能性があるため、すばやい対応と、医療機関での管理がとても大切です。
重要な事実
- 妊娠中の発作は、てんかんの既往がある場合や、妊娠高血圧症候群になった場合に起こりやすくなります。
- 発作が起きたら、まずは安全を確保し、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
- 妊娠中も、医師の指示に従っててんかんの治療を続けることが母子の安全につながります。
- 適切な管理と治療により、多くの妊娠中の発作は母体と赤ちゃんの両方を守ることができます。
妊娠中の発作自体はまれな出来事です。特に子癇は、妊婦健診で血圧や尿のチェックを行うことで、かなり予防できるようになってきました。
妊娠中の女性に起こります。てんかんの既往がある方、妊娠高血圧症候群の方、多胎妊娠の方、初めての妊娠の方などは、発作が起こるリスクが高くなることがあります。
症状
- 発作が5分以上続いている
- 発作が何度も繰り返している
- 発作が終わっても意識が戻らない
- 呼吸が止まっているように見える
- 発作中に怪我をした
- 妊娠中に突然の激しい頭痛、視界のぼやけ、急なむくみがあり、発作の前兆が疑われる
- ⚠発作の前兆と思われる症状(手足のピクピク、目がチカチカする、強い頭痛など)がある
- ⚠妊娠中に血圧が高いといわれ、頭痛や吐き気が続く
- ⚠胎動がいつもより少ない、または弱い
- ⚠妊娠中に初めて、けいれんのような症状を経験した
一般的な症状
- 全身がこわばり、ガクガクとけいれんする
- 意識を失って倒れる
- 手足が勝手に動いてしまう
- 目がうつろになり、反応がなくなる
- 口から泡を吹く
- 発作の前に、目の前がチカチカする、頭痛がするなどの前兆がある場合があります
子供の症状
- この状態は妊娠中の女性に起こるものであり、赤ちゃんに直接、発作の症状が現れることはありません。
- ただし、発作によって母体の酸素が不足すると、赤ちゃんの心拍に影響が出ることがあります。妊娠中は胎動の変化にも注意してください。
高齢者の症状
- 妊娠は若い年齢で行うことが多いため、高齢者にこの状態が直接起こることはありません。
- 高齢での妊娠では、高血圧などの合併症が増えるため、発作のリスクが高まる可能性があります。症状の現れ方は同様です。
原因
主な原因
- 妊娠前からあるてんかん
- 妊娠高血圧症候群による子癇
- 脳の血管の異常(脳動脈瘤など)
- 低血糖や血液中の電解質の異常
- 脳の感染症や腫瘍などの病気
リスク要因
- てんかんの既往があること
- 妊娠高血圧症候群になったこと、またはそのリスクが高いこと
- 多胎妊娠
- 初産婦であること
- 睡眠不足、大きなストレス
- てんかんの薬を自己判断で止めてしまうこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 発作が起きた場合は、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
- 発作の前兆や、強い頭痛・視力のぼやけ・急なむくみがある場合は、緊急で受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 妊娠中に、血圧が高い、尿検査でたんぱくが出る、むくみが続くといわれた場合は、次の妊婦健診を待たずに医師に相談してください。
- てんかんの薬を飲んでいて、妊娠がわかった場合は、すぐにかかりつけ医に相談してください。
診断
医師は、あなたの症状や妊娠経過について詳しく聞き、血圧測定、血液検査、尿検査を行います。また、脳の状態を調べるために脳波検査や画像検査を行い、赤ちゃんの状態もエコーで確認します。
行われる可能性のある検査
- 血圧測定
- 血液検査
- 尿検査(たんぱく尿の確認)
- 脳波検査
- 頭部MRIまたはCT検査
- 胎児エコー
診察で予想されること
診察では、これまでの体調の変化や、妊娠前の病気、服薬の状況などを詳しく質問されます。検査は母子の安全を最優先に行われ、必要に応じて入院して、緊急時に備えることもあります。不安なことは何でも医師や助産師に伝えましょう。
治療
治療は、発作の原因によって異なります。てんかんが原因の場合は、妊娠中も安全に使えるてんかん治療に調整します。妊娠高血圧症候群が原因の場合は、血圧をしっかり管理し、安静や入院が必要になることもあります。母子の状態に合わせて、産科医と脳神経内科医などが連携して治療を進めます。
自宅でのセルフケア
- 規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠をとる
- ストレスをため込まない
- 妊婦健診を必ず受ける
- 医師から処方された薬は、指示どおりに飲み、自己判断で止めない
- 発作が起きたときの対処法を家族と話し合っておく
- 入浴や運転など、発作が起きたときに危険な場面は避ける
医療治療
発作を予防するための薬を、妊娠中でも使えるように調整します。また、子癇の予防には、血圧を下げる治療が行われます。使用する薬は、赤ちゃんへの影響を考慮したうえで、医師が安全性を確認して選びます。
手術が検討される場合
脳に原因となる病気(脳動脈瘤など)が見つかった場合は、手術が必要になることがあります。ただし、妊娠中は母体と胎児へのリスクを慎重に評価し、産科医と専門医が協力して治療方針を決定します。
この病気と共に生きる
妊娠中は、無理をせず、自分の体調の変化に敏感になりましょう。発作の前兆を感じたら、横になる、安全な場所に移動するなどの行動をとります。外出するときは、なるべく誰かと一緒にいることが安心です。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠をとり、疲れをためない
- 入浴は湯船に長くつからず、なるべくシャワーにする
- 車の運転は医師と相談し、指示に従う
- アルコールは避ける
- カフェインのとりすぎに注意する
- 服薬を忘れないように、飲み忘れを防ぐ工夫をする
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、塩分をとりすぎないことが大切です。血圧が高い方は、医師から食事指導を受けましょう。運動は医師に相談したうえで、散歩など負担の少ないものを無理のない範囲で行います。
精神的健康と心の健康
発作が起こるかもしれないという不安や恐怖を感じるのは自然なことです。妊娠中はホルモンの変化で気分が不安定になることもあります。そのような時は、一人で抱え込まず、パートナーや家族、医療者に気持ちを伝えましょう。
予防
すべての発作を予防することはできませんが、妊娠前からてんかんの治療をしっかり行い、妊娠中も定期的な妊婦健診を受けることで、多くのリスクを減らすことができます。妊娠を考えている方は、事前に医師と相談し、計画を立てることが大切です。
ワクチン
妊娠中の予防接種は、かかりつけ医と相談して受けることが大切です。一部のワクチンは妊娠中に接種できないものもあるため、医師の指示に従いましょう。発作とは直接関係ありませんが、感染症を防ぐことで健康を保てます。
検診プログラム
妊婦健診では、毎回血圧測定と尿検査が行われます。これにより、妊娠高血圧症候群を早期に見つけることができ、子癇などの発作の予防につながります。定期健診を欠かさず受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 子癇が進行すると、母体に脳出血や昏睡などの重い状態を引き起こすことがあります
- 胎盤の血流が悪くなり、赤ちゃんの低酸素や低栄養、発育遅延につながります
- 早産や常位胎盤早期剥離(胎盤が早くはがれること)のリスクが高まります
長期的な見通し
適切な診断と治療が行われれば、多くの場合、母体と赤ちゃんの健康は守られます。発作が起きても、迅速に医療機関で対応すれば、命に関わる合併症を防ぐことができます。妊娠中は医療チームと一緒に、安心して経過を過ごせるようサポートされていきます。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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