脳卒中からの回復:患者さんとご家族のためのガイド
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりして、脳の細胞が十分な酸素や栄養を受け取れなくなり、体や心にさまざまな障害が出る病気です。回復の道すじは人それぞれですが、適切な治療とリハビリで多くの人が少しずつ回復します。
重要な事実
- 脳卒中には「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」という3つのタイプがあります。
- 発症直後の治療に加えて、長く続くリハビリテーションが回復の中心になります。
- 回復のペースは人それぞれです。焦らず、次の一歩を大切にしましょう。
日本では毎年約30万人が新たに脳卒中を経験するといわれ、身近な病気です。脳卒中は要介護の原因として上位にあり、予防と早めの対応がとても大切です。
高齢者に多い病気ですが、40代・50代でも起こります。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などを持つ人に多くみられます。男性にやや多い傾向がありますが、女性も年齢を重ねるとリスクが上がります。
症状
- 突然、顔の片側が下がる、手や足に力が入らない、しびれる
- 突然、言葉が出ない、言っていることがわからない
- 突然、視野が欠ける・見えにくい
- 突然、今までにない激しい頭痛が起こる
- 突然、ふらふらして自力で立てない
- このような症状が突然ひとつでも現れたら、ためらわず119番に電話してください
- ⚠脳卒中のような症状が数分から数時間で治まった(一過性脳虚血発作の可能性)
- ⚠軽い言葉のもつれや片手のしびれが続いている
- ⚠めまいやふらつきが続く
- ⚠血圧が高いまま動かない
- ⚠気になる症状が少しずつ進んでいる
一般的な症状
- 片側の腕や足が動かない、またはしびれる
- 顔の片側がゆがむ
- 言葉が出てこない、ろれつが回らない、相手の話が理解できない
- 激しい頭痛が突然起こる
- ふらついて立っていられない、歩けない
- 片方の視野が見えにくい、物が二重に見える
子供の症状
- 子どもでは脳卒中の症状に気づかれにくいことがあります。片側の手や足を使わない、急にぐったりする、けいれん、普段と違う頭痛、言葉や歩行の後退などがみられたら注意が必要です。
- 子どもの脳卒中はまれですが、血管の異常や心臓の病気が原因となることがあります。
高齢者の症状
- 高齢者では、麻痺や言葉の問題に加えて、転びやすくなった、元気がない、ぼんやりしている、うまく動けないなどの変化が目立つことがあります。
- 高齢者は症状をうまく訴えられない場合もあるため、「年のせい」と軽く見ずにチェックすることが大切です。
原因
主な原因
- 脳梗塞:血管が血栓で詰まり、脳の一部が壊死する
- 脳出血:高血圧などで脳の細い血管が破れる
- くも膜下出血:脳の表面の動脈瘤が破れて出血する
リスク要因
- 脂質異常症
- 心房細動(不整脈の一種)
- 大量飲酒
- 運動不足・肥満
- 睡眠時無呼吸
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 脳卒中の可能性がある次の症状が突然ひとつでも現れたら、すぐに119番に連絡してください。
- 症状:片側の手足の麻痺やしびれ、顔のゆがみ、言葉が出ない・理解できない、激しい頭痛、ふらついて立てない、視野が見えない。
- 自分で運転する、または歩いて病院へ行こうとせず、救急車を呼びましょう。
定期受診を予約すべき場合:
- 高血圧や糖尿病を指摘されている方、以前に一過性の症状があった方は、症状がなくても定期的に医療機関を受診しましょう。
- 処方された薬がある方は、自己判断で止めずに医師の指示に従いましょう。
診断
医師が症状の聞き取りと神経診察を行い、脳の画像検査などで診断します。発症時刻や、最初に気づいた症状を伝えられるようにしておくと診断に役立ちます。
行われる可能性のある検査
- 頭部CT検査
- MRI検査
- 首の血管エコー
- 血液検査
- 場合によっては脳血管造影検査
診察で予想されること
検査の後、必要に応じて急性期治療が始まります。状態が落ち着いたら、多職種チームが患者さんの生活状況や目標を聞き取り、リハビリ計画を立てます。退院後の生活も含めて、一緒に進めていくことをイメージしておいてください。
治療
治療は「命を守る」と「機能を回復する」の二つの段階に分かれます。脳卒中の種類や重症度、発症からの時間によって治療の内容は異なります。まずは医師の説明をよく聞き、リハビリには根気よく取り組むことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 血圧や血糖が高めの方は毎日測り、記録する
- 医師から処方された薬は指示どおりに飲み続ける
- 塩分を控えめにしたバランスの良い食事をとる
- 水分をこまめにとる
- できる範囲で体を動かす
- 喫煙している方は禁煙を検討する
医療治療
急性期には、血流を再開させる治療、脳の腫れを抑える治療、再発を防ぐための薬物治療などが行われます。薬は血液を固まりにくくする薬、血圧を下げる薬、コレステロールを調整する薬など、目的に応じて医師が選択します。必ず医師の指示に従い、自己判断で止めないようにしてください。
手術が検討される場合
脳出血で血腫が大きい場合や、くも膜下出血の原因となる動脈瘤がある場合は、手術やカテーテル治療が検討されることがあります。手術が必要かどうかは、脳の状態や全身状態、治療方針を考慮して決まります。
この病気と共に生きる
退院後は、疲れやすさ、気分のむら、物忘れなどが残ることがあります。すべてを元どおりにしようと頑張りすぎず、今できることを少しずつ増やしていくのがコツです。住み慣れた家で安全に暮らすために、手すりや段差の見直しも役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 毎日決まった時間に起きて、睡眠をしっかりとる
- 無理のない範囲で外出し、人と交流する
- 飲酒はほどほどにし、喫煙はしない
- 転倒しにくいよう衣服や室内環境を整える
- 受診やリハビリの予定を管理する
食事と運動
食事は、塩分を控え、野菜・果物・魚を十分にとることを心がけましょう。運動はリハビリ担当者や医師と相談し、毎日の散歩など無理なく続けられる内容から始めます。運動前後の体調確認も習慣にしてください。
精神的健康と心の健康
脳卒中後は、周囲に助けを求めづらくなったり、気分が落ち込んだりすることがあります。これは心が弱いからではなく、脳の変化による自然な反応です。気持ちを話せる人を見つけ、無理をしないでください。もし自分や家族を傷つけたい気持ちが浮かんだら、すぐにかかりつけ医や地域の相談窓口へ連絡しましょう。緊急のときはためらわず119番に電話してください。
予防
脳卒中の再発は予防できることが多い病気です。高血圧・糖尿病・脂質異常症・心房細動などの管理、禁煙・節酒・運動・塩分を控えた食事など生活習慣の改善が再発予防に効果的です。厚生労働省も生活習慣病対策として、健診や受診の大切さをすすめています。処方された薬は医師の指示どおりに続けることが重要です。
検診プログラム
健康診断で血圧・血糖・脂質を定期的に確認しましょう。脈が時々とぶ、動悸がするなど心配のある方は、心電図検査が受けられます。一度脳卒中になった方は、定期的に医療機関で再発のチェックを受けることが大切です。
合併症
治療しない場合
- 再発すると、障害がさらに重くなることがある
- 麻痺や言葉の障害が固定化しやすくなる
- 飲み込みの低下により肺炎を起こしやすくなる
- 認知機能や感情の変化が進むことがある
- 要介護状態になるリスクが高まる
長期的な見通し
脳卒中の回復は長い道のりですが、多くの人が時間をかけて機能を取り戻しています。たとえ後遺症が残っても、リハビリや福祉制度を活用しながら、自分らしい生活を続けることはできます。焦らず、自分のペースで進んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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