甲状腺と疲れ―そのつらさ、甲状腺が原因かも
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
甲状腺は首の前側にある、蝶の形に似た小さな臓器です。体のエネルギーの使い方を調整する「甲状腺ホルモン」を作っています。このホルモンが少なすぎると、体の動きがゆっくりになり、強い疲れが出やすくなります。また、多すぎる場合も体が消耗して疲れやすくなります。
重要な事実
- 疲れは甲状腺の不調の代表的なサインです
- 甲状腺の働きは血液検査で調べられます
- 治療を始めると、多くの場合、数週間から数か月で症状が改善します
甲状腺の病気は女性に多く、日本でも決して珍しいものではありません。疲れの原因としても、見逃されやすいものの一つです。
どの年齢でも起こり得ますが、特に20〜50歳の女性に多く見られます。妊娠や出産の後、また更年期にも変化が起こりやすいと言われています。
症状
- 意識が遠くなる、呼びかけに反応しない
- 胸の痛みや突然の強い動悸がある
- 激しい息苦しさがある
- 体温が低く、体が冷たくぐったりしている
- ⚠高熱とともにのどが非常に痛い、腫れが急に大きくなる
- ⚠甲状腺が腫れて、呼吸や飲み込みがつらい
- ⚠水分が自分で取れず、ぐったりする
一般的な症状
- 疲れやすく、休んでも回復しない
- 寒気を感じる、体温が低め
- 体重が増えやすい
- 肌が乾燥する、髪が抜けやすい
- 気分が落ち込む、集中力の低下
- 便秘になりやすい
- 脈が遅くなる
子供の症状
- 成長が遅れる
- 元気がなく、学校で集中できない
- 体重が増える、身長の伸びが悪い
- 便秘や寒がりが見られる
高齢者の症状
- 記憶力や判断力の低下
- 転びやすい、動作がゆっくりになる
- 食欲がないのに体重が増える、または減る
- 息切れやむくみなど、心臓に負担がかかったような症状が現れることもあります
原因
主な原因
- 自己免疫の異常(体が自分の甲状腺を攻撃してしまうこと)
- 甲状腺の手術や放射線治療のあと
- 生まれつき甲状腺の働きが弱い
- 一部の薬の影響
- ヨウ素の極端な過剰摂取または不足(まれ)
リスク要因
- 女性であること
- 家族に甲状腺の病気の人がいる
- 過去に甲状腺の病気や治療歴がある
- 他の自己免疫疾患(1型糖尿病など)を持っている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 強い疲れとともに、動悸や息切れ、意識が遠くなる症状がある
- 甲状腺のある部分が急に腫れて痛む
- 高熱が続く
定期受診を予約すべき場合:
- 疲れが1か月以上続く
- 寒がり・体重増加・肌の乾燥など、ほかの症状も一緒にある
- 体のだるさで日常生活に支障がある
診断
甲状腺の病気かどうかは、問診、診察、血液検査、必要に応じて超音波(エコー)検査などで調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(甲状腺ホルモンと、それを調節するホルモンの値を測ります)
- 甲状腺エコー(甲状腺の形やしこりを調べる検査)
- 心電図(脈の乱れや心臓への影響を調べることもあります)
診察で予想されること
痛みを伴う検査はほとんどありません。血液検査の結果が出るまでに数日かかることがありますが、結果に基づいて医師が説明してくれます。もし甲状腺の病気と診断されても、適切な治療を続ければ多くの方が普通の生活を送れます。
治療
甲状腺の働きが低下している場合は、不足しているホルモンを薬で補う治療が基本です。働きが高すぎる場合は、ホルモンの産生を抑える治療があります。薬の量は血液検査を見ながら調整され、症状に合わせて変わっていきます。
自宅でのセルフケア
- 十分な睡眠をとり、休養を優先する
- ストレスをため込まない(深呼吸や軽い運動など自分に合う方法を見つける)
- 寒さを避けて体を温かく保つ
- 疲れた日は無理をせず、予定を調整する
医療治療
甲状腺ホルモンを補う薬や、ホルモンの働きを抑える薬が使われることがあります。漢方薬が併用されることもありますが、どの治療でも医師の指示に従い、定期的に血液検査で値を見ながら量を調整していくことが大切です。自己判断で薬をやめたり、量を変えたりしないでください。
手術が検討される場合
甲状腺に結節(しこり)がある、または甲状腺が大きくなって呼吸や飲み込みに影響が出る場合には、手術が検討されることがあります。手術後の生活についても、医師から十分な説明があります。
この病気と共に生きる
治療を続けながら、普段の生活を無理なく送ることが大切です。体調の変化を記録しておくと、診察のときに伝えやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に起きて、朝日を浴びる
- 疲れを感じたら、日中でも10分だけ横になる
- 入浴や軽いストレッチで体をリラックスさせる
- アルコールは控えめにし、禁煙を心がける
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、海藻(わかめ、昆布など)を極端に多く食べるのは避けましょう。ヨウ素の摂りすぎは甲状腺に影響することがあります。運動は、歩くなどの軽いものから始め、疲れすぎない範囲で続けるのがおすすめです。
精神的健康と心の健康
甲状腺の不調は、気分の落ち込みや不安を引き起こすことがあります。「自分がだらけている」と責めないでください。つらい気持ちが続くときは、医療機関で相談しましょう。
予防
自己免疫が原因の甲状腺の病気は、完全に予防する方法はまだわかっていません。しかし、規則正しい生活とストレス管理が、症状の悪化を防ぐことにつながります。
検診プログラム
日本では、新生児を対象に先天性の甲状腺機能低下症の検査(マススクリーニング)が行われています。一般的な健康診断では甲状腺の項目が含まれないことが多いため、気になる症状があれば自ら受診することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 疲労感やむくみが続き、生活の質が大きく下がる
- 心臓に負担がかかり、心不全や不整脈のリスクが高まる
- 妊娠中の場合、赤ちゃんの発達に影響が出ることがある
- 考える力や記憶力の低下が進むことがある
長期的な見通し
甲状腺の病気は、きちんと診断され、治療を続ければ、多くの場合、症状は改善し、普通の生活を送ることができます。治療は長く続くことがありますが、血中のホルモン値を一定に保つことで、健康な人と変わらない毎日を目指せます。希望を持って、医療機関と一緒に続けていきましょう。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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