がん治療後の疲れをやわらげる生活のヒント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
がん疲労とは、がんやがん治療によって生じる、つらいほどの疲れです。通常の疲れと違い、十分に休んでも回復しにくいのが特徴です。
重要な事実
- がん疲労は、がん患者さんの約7~8割が経験するといわれています。
- 疲れは治療後も数か月から数年続くことがあります。
- 休むだけでなく、生活の工夫や運動で改善できることがあります。
とてもよくある症状です。がんの種類や治療法にかかわらず、多くの方が経験します。
がんの診断を受けたすべての年代の方に見られます。治療中だけでなく、治療後の「サバイバー」と呼ばれる時期にも長く続くことがあります。
症状
- 呼吸が苦しく、息ができない
- 胸の激しい痛みがある
- 意識がもうろうとする
- けいれんが止まらない
- こうした症状がある場合は、ためらわずに119番へ電話してください。
- ⚠38度以上の熱がある
- ⚠出血が止まらない
- ⚠痛みが急に強くなった
- ⚠何も飲み込めず、尿が減っている
一般的な症状
- 体が重く、だるい感じが続く
- 十分な睡眠をとっても疲れがとれない
- 集中力や注意力が続かない
- 少し動いただけで、ひどく疲れる
- 気分が落ち込みやすく、イライラする
- 家事や仕事など、普段の活動がつらく感じる
子供の症状
- いつもより機嫌が悪く、よく泣く
- 遊びたがらず、昼寝の時間が長くなる
- 学校や友達との約束がつらそう
- 食欲がなく、体重が増えない
高齢者の症状
- 物忘れがひどくなったように感じる
- 足元がふらつき、転びやすくなる
- 立ち上がるのに時間がかかる
- 人と話すのがおっくうで、閉じこもりがちになる
原因
主な原因
- がんそのものが体の中で作る物質の影響
- 化学療法や放射線治療などの副作用
- 貧血や栄養不足で、体に酸素やエネルギーが届きにくくなる
- 睡眠の質が低下し、十分に休めない
- 不安やストレスが続き、心身が緊張した状態になる
- ホルモンのバランスが乱れる
リスク要因
- 化学療法や放射線治療など、強い治療を受けている
- 治療の期間が長い、または複数の治療を組み合わせている
- 治療前から疲れやすかったり、睡眠の問題があった
- 運動不足で体力が低下している
- 心臓病や呼吸器の病気など、他の持病がある
- 高齢で、加齢による体力低下がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 息切れや胸痛が突然現れた
- 意識がうすくなったり、もうろうとしたりする
- けいれんが起きた
- このような症状の場合は、緊急です。すぐに医療機関を受診するか、119番に連絡してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 疲れが2週間以上続いている
- 疲れのせいで仕事や家事、外出ができなくなった
- 体重が急に減り、食欲がない
- 夜眠れず、気分の落ち込みが強い
診断
がん疲労は、血液検査だけでわかるものではなく、あなたの症状の経過を聞く「問診」が中心になります。疲れの程度や、夜の眠り、気分の様子などを丁寧に確認していきます。
行われる可能性のある検査
- 問診(疲れの程度、続く時間、生活への影響など)
- 血液検査(貧血や甲状腺機能、感染の有無など)
- 睡眠や気分に関するアンケート
- 痛みや息切れなど、ほかの症状がないかのチェック
診察で予想されること
特別な機械による検査はなく、あなたの感じている疲れが最も重要な手がかりです。「どれくらいつらいか」を、遠慮せずに医療者へ伝えましょう。
治療
がん疲労の治療は、疲れの原因となっている症状(貧血や痛み、睡眠障害、気分の落ち込みなど)を整えながら、運動や生活の工夫を組み合わせて行います。一つの方法だけでなく、複数の取り組みをゆっくり続けることが回復への近道です。
自宅でのセルフケア
- 1日の活動に優先順位をつけ、無理をしない
- 調子のよい時間帯に、大切な用事をまとめて行う
- 疲れを感じたら、こまめに短い休憩を取る
- 寝室を静かに暗くして、寝る前にリラックスする時間を設ける
- 医師に相談しながら、散歩やストレッチなど軽い運動を取り入れる
- 水分をこまめに取り、栄養バランスのよい食事を心がける
- 深呼吸や静かな音楽など、自分に合うリラックス法を見つける
医療治療
医療機関では、あなたの症状に合わせて、貧血の改善、痛みや気分の症状を和らげるための薬、睡眠を助ける薬などが検討されます。また、運動療法や認知行動療法、栄養指導などの、薬に頼らない支援も重要です。必ず医師や薬剤師の指導を受けてください。
手術が検討される場合
がん疲労そのものを手術で治すことはできません。ただし、がん自体の治療で手術を行う場合、手術後の回復期に強い疲れを感じることがあります。術後の疲れも、医療者に相談しながら無理なく管理しましょう。
この病気と共に生きる
1日の計画は、無理のない範囲で立てましょう。休むことも治療の一部です。「疲れている自分」を責めず、家族や友人に助けを求めながら、過ごしやすいペースを見つけてください。
生活習慣のアドバイス
- エネルギーを温存する工夫をする(料理は座ってする、買い物はカートを使うなど)
- 朝はカーテンを開けて日光を浴び、体内リズムを整える
- 寝る前はスマートフォンやパソコンを避け、ゆったり過ごす
- タバコやお酒は控えめにし、体に負担をかけすぎない
- 同じ体験をした人との交流や、患者会の情報を活用する
食事と運動
食事は、肉や魚、卵、大豆製品などからたんぱく質を意識して取り、野菜や果物と組み合わせましょう。運動は、医師の許可を得てから、無理のない範囲で行ってください。最初は1日5~10分の散歩から始め、体が慣れてきたら少しずつ延ばすとよいでしょう。
精神的健康と心の健康
疲れが続くと、気分の落ち込みや不安が強くなることがあります。これは決して「気のせい」ではなく、がん体験の一部です。つらい気持ちを一人で抱え込まず、医療者やカウンセラーに話してください。もしも強い絶望感や、自分を傷つけたい気持ちがある場合は、すぐに医療機関や、地域のこころの健康相談窓口に連絡しましょう。心理的なサポートは治療の効果を高めるためにも大切です。
予防
がん疲労を完全に防ぐことはできませんが、治療前から体力づくりや栄養状態を整え、疲れが現れたら早めに対策を取ることで、悪化を防ぎやすくなります。「疲れが続く」と感じたら、次の受診時に必ず相談しましょう。
ワクチン
がん疲労を直接予防するワクチンはありません。ただし、インフルエンザや肺炎などの感染症を防ぐワクチンは、体力を温存し疲れを悪化させないために役立つことがあります。接種については医師と相談してください。
検診プログラム
がん疲労のための特別な検診はありません。しかし、定期的な外来で疲れの状態を伝えることは、早期対応につながります。検診や受診の機会を活用しましょう。
合併症
治療しない場合
- 寝たきりに近い状態になり、日常の動作が難しくなる
- うつ病や不安障害など、心の病気を併発しやすくなる
- がんの治療を続ける意欲が低下することがある
- 外出が減り、友人や家族とのつながりが途切れる
長期的な見通し
がん疲労は、時間の経過とともに和らいだり、生活の工夫やサポートによって改善できることが多い症状です。「ずっとこのままではないか」と不安になることもありますが、多くの方は適切な支援を受けて、穏やかな日常を取り戻しています。希望を持って、一歩ずつ進みましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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