がん疲労のリスクを減らすために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
がん疲労とは、がんそのものやがん治療によって起こる、つらいほどの疲れのことです。普通の疲れと違い、休んでも回復しにくいのが特徴です。
重要な事実
- がん疲労は、がんを経験した人の多くにみられる一般的な症状です。
- 疲労は治療後も数か月から数年続くことがあります。
- 適切な生活習慣や支援で、疲労を和らげられることがあります。
- がん疲労は気持ちの問題ではなく、体と心の両方に影響する医学的な症状です。
はい、とても一般的です。研究によって異なりますが、がん治療を受けた人の約4割から8割が経験すると言われています。
がんの治療を受けている人や治療が終わった人、がんを経験したすべての世代の人に起こりえます。特に化学療法や放射線治療を受けた人に多くみられます。
症状
- 突然の胸の痛み、息苦しさ
- 意識がもうろうとする、話しにくい
- 突然の強い脱力や麻痺
- 高熱(38.5℃以上)が続く
- 突然、激しい腹痛や吐血・下血
- ⚠発熱や感染の兆候がある
- ⚠食事や水分が全くとれない
- ⚠めまいやふらつきが強く、立てない
- ⚠疲労が急に悪化した
一般的な症状
- 休んでもとれない強い疲れ
- 少し動いただけでもひどく疲れる
- やる気が起きない、集中できない
- 体が重い、だるい
- 睡眠の変化(眠れない、または眠ってばかり)
- 頭がぼんやりする(ケモブレイン)
子供の症状
- 遊びたがらない、学校に行きたがらない
- イライラしたり、ぐずったりすることが増える
- 食欲がない
- いつもより眠い、または寝つきが悪い
高齢者の症状
- 疲れによって転びやすくなる
- 日常生活での動作に時間がかかる
- 気分の落ち込みが強くなる
- 体力の低下が目立つ
原因
主な原因
- がんそのもの:腫瘍が大きくなると体力を消耗させることがある
- 治療の影響:化学療法、放射線治療、手術などの身体的負担
- 貧血:がんや治療で赤血球が減り、酸素が運ばれにくくなる
- ホルモンや免疫の変化
- 睡眠不足や栄養不足
- 気分の落ち込みや不安
リスク要因
- 化学療法や放射線治療を受けている(受けた)
- 治療の期間が長い
- がんの進行度が高い
- もともと体力が低い
- 高齢である
- 持病(心臓病、糖尿病など)がある
- 睡眠障害やうつ症状がある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 疲れに加えて発熱がある
- 息切れや胸の痛みがある
- 急に動けなくなるほどの弱さを感じる
- 自分で自分のことはできないほど疲れている
定期受診を予約すべき場合:
- 疲労が日常生活に支障をきたしている
- 数週間以上、疲れが続いている
- 眠り方の問題が続いている
- 気分の落ち込みが強くなっている
診断
がん疲労には特別な検査はありません。医師や看護師が、疲労の程度や継続時間、生活への影響などを丁寧に聞き取り、他の原因(貧血や甲状腺の問題など)を確認するための検査を行うことがあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(貧血や栄養状態のチェック)
- 問診(疲労の程度を0〜10のスケールで評価)
- 睡眠の状態や気分に関する質問票
- 必要に応じて、甲状腺や心臓などの検査
診察で予想されること
診察では、あなたの疲労がいつから始まり、どのような時に強くなるのか、休めば改善するかなどを詳しく聞かれます。あなたの感じている言葉でそのまま伝えてください。
治療
治療の基本は、疲労を引き起こしている原因を探し、それを取り除いたり和らげたりすることです。生活の中での工夫と、医療的なケアを組み合わせて行います。
自宅でのセルフケア
- 活動と休息のバランスを整える:無理をせず、こまめに休憩をとる
- やることを決めて、優先順位をつけ、一日のペースを配分する
- 少しずつでも体を動かす:短い散歩やストレッチなど
- 十分な水分をとり、栄養のバランスを心がける
- 入眠前のカフェインを控えるなど、睡眠を整える
- 気分をリラックスさせる時間を作る
医療治療
医師は、貧血や痛み、睡眠障害、うつなど疲労の原因となる症状や状態を評価し、それぞれに対して治療や薬を使うことを検討します。また、適切な運動プログラムや生活指導を紹介することもあります。薬の種類や使い方は必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
通常、がん治療としての手術は疲労の直接的な原因ではなく、手術後の回復期に一時的に疲れを感じることがあります。術後の疲労が長引く場合も医療チームに相談してください。
この病気と共に生きる
がん疲労とつきあうには、「自分のペースを守る」ことが何より大切です。人と比べず、できるときにおこない、できない日は休む。毎日の生活にメリハリをつけるために、予定はゆとりをもって組みましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時刻に起きるなど、生活リズムを整える
- 午前中に短い散歩をするなど、日光を浴びる時間を作る
- 疲れをためないために、少しでも違和感を感じたら休む
- がん経験者のための運動教室やサポートグループに参加する
- 家族や友人に、手伝ってほしいことを具体的に伝える
食事と運動
栄養バランスの良い食事が基本です。食欲がない時は、無理して一度に食べず、少量を何回かに分けましょう。運動は、軽いウォーキングやストレッチなど、自分の体調に合わせてゆっくり始めるのがおすすめです。医師や理学療法士に相談すると安心です。
精神的健康と心の健康
疲労が続くと気分が落ち込んだり、不安になったりすることがあります。がん疲労は心の弱さのせいではなく、治療の影響などが関わる体と心の反応です。つらい気持ちはひとりで抱えず、医療チームや心理の専門家に話しましょう。
予防
がん疲労を完全に防ぐことはできませんが、リスクを減らすことは可能です。治療前から少しずつ体を動かして体力を維持すること、睡眠や食事を整えること、無理をしすぎないことが大切です。また、発生した疲労も早めに対応することで重症化を防げます。
合併症
治療しない場合
- 生活の質の低下:趣味や仕事、人との交流をあきらめてしまう
- うつ症状や強い不安が現れることがある
- 運動不足による筋力低下や体重増加
- がん治療の継続が難しくなる場合がある
長期的な見通し
がん疲労は多くの場合、時間とともに改善していきます。治療が終わった後も数か月続くことはありますが、適切なサポートと生活の工夫で症状を和らげることができます。希望をもって、あなたのペースで回復に向かいましょう。
サポートを探す
地域の団体
- がん相談支援センター · 日本国内(全国のがん診療連携拠点病院など)
- 国立がん研究センター がん情報サービス · 日本
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。