神経障害(ニューロパチー)と上手につきあうための生活のヒント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
神経障害(ニューロパチー)とは、体のすみずみに張りめぐらされた神経が傷つくことで、手足のしびれや痛み、力が入りにくいなどの症状が現れる状態です。
重要な事実
- 神経障害は、手足のしびれや痛み、筋力の低下などを引き起こします。
- 原因は糖尿病やビタミン不足、薬の影響などさまざまで、原因によって対処法が変わります。
- 生活習慣の見直しにより、症状を和らげ、進行を防げる場合があります。
神経障害は決して珍しいものではありません。特に糖尿病のある方では、しばしば見られる合併症のひとつです。
50歳以上の方、糖尿病や腎臓病などの持病がある方、アルコールを多く飲む方、栄養バランスが偏っている方などに多く見られます。
症状
- 突然、顔の片側や手足の片側の感覚がなくなる、力が入らない(すぐに119番に電話)
- 言葉が急に話せない、ろれつが回らない(すぐに119番に電話)
- 激しい頭痛とともに意識がもうろうとする(すぐに119番に電話)
- 胸の痛みや息苦しさが突然現れる(すぐに119番に電話)
- ⚠しびれや痛みが数日続き、日常生活に支障がある
- ⚠しびれが足からおなかや体幹へと広がっている
- ⚠排尿や排便の感覚がにぶい、または失禁してしまうことがある
- ⚠手足の変色や、傷がなかなか治らない
一般的な症状
- 手足のしびれや感覚がにぶくなる
- 焼けるような痛みや針で刺すような痛み
- 力が入りにくい、歩きにくい
- さわっただけで痛いなどの感覚過敏
- めまいや立ちくらみ(自律神経が影響を受けた場合)
子供の症状
- 子どもにも起こることがありますが、まれです。遺伝性の神経障害や、特定の病気が原因となることがあります。症状は大人と似ていますが、成長に合わせた専門的なケアが必要です。
高齢者の症状
- 高齢者では、感覚がにぶくなることで転倒ややけどに注意が必要です。また、足の小さな傷に気づきにくく、悪化しやすいため、毎日の足の観察が大切です。
原因
主な原因
- 糖尿病(最も多い原因のひとつ)
- ビタミンB群の不足
- アルコールの過剰摂取
- 腎臓病や肝臓病などの慢性の病気
- 特定の薬の影響(長期間使う場合)
- がん治療(抗がん薬や放射線)の副作用
- 自己免疫の異常(体の免疫が自分の神経を攻撃する)
- 原因がはっきりしない場合もある
リスク要因
- 長年の糖尿病や血糖コントロールが不十分
- 高血圧や脂質異常症などの生活習慣病
- 過度な飲酒
- 栄養バランスの偏った食事
- 家族に神経障害のある人がいる(遺伝性の場合)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然のしびれや力の入らなさ、言葉の障害がある場合は、すぐに119番に連絡してください
- しびれが急速に広がり、歩くのが難しくなった
- 排尿や排便のコントロールができない
- 意識がぼんやりする、または激しい頭痛がある
定期受診を予約すべき場合:
- しびれや痛みが2週間以上続いている
- 手や足の感覚がにぶくなり、物を落としやすい
- 日常生活や睡眠に支障がある
- 糖尿病などの持病がある人が新しい神経の症状を感じた
診断
医師は、症状について詳しく聞き、神経の働きを調べる検査や血液検査などを行います。ときには、ほかの病気が原因でないかを確認するために、画像検査が行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 神経の電気信号の伝わり方を調べる検査(神経伝導検査)
- 筋肉の反応を調べる検査(筋電図)
- 血液検査(血糖値やビタミン、免疫の異常などをチェック)
- 感覚や力の程度をみる診察
診察で予想されること
初診では、症状がいつから始まったか、痛みの場所や程度、持病やお薬のことを聞かれます。検査は体への負担が少ないものが多く、時間がかかる場合もありますが、痛みを伴うことはまれです。診断がつくまで、焦らずに通院を続けましょう。
治療
神経障害の治療は、原因となっている病気の管理と、症状をやわらげるケアが中心になります。神経そのものをすぐに完全に治すことは難しい場合がありますが、適切な治療と生活の見直しで、症状の進行を遅らせ、痛みやしびれを軽減することが期待できます。
自宅でのセルフケア
- 足を毎日観察し、傷や赤み、水ぶくれがないかを確認する
- 圧迫の少ないゆったりした靴と靴下を選ぶ
- 入浴時は熱すぎないお湯にする(感覚がにぶいとやけどをしやすい)
- 足の保湿をして、皮膚の乾燥を防ぐ
- 禁煙する(たばこは血流を悪くする)
- 飲酒は控えめにする、できればやめる
医療治療
薬物療法では、痛みやしびれをやわらげるための薬が使われることがあります。また、理学療法(リハビリ)で筋力やバランスを保つ訓練をしたり、神経ブロック注射で痛みを和らげる方法もあります。どの治療も、医師と相談したうえで、あなたの症状や原因に合わせて選ばれます。薬の名前や量は医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
神経が物理的に圧迫されている場合など、原因によっては手術が検討されることがありますが、多くの神経障害では手術は第一の選択肢にはなりません。
この病気と共に生きる
神経障害とともに生活するには、症状と上手につきあう工夫が大切です。痛みやしびれが続くと疲れやすいので、無理をせず、体を休める時間をとりましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に起きて寝るなど、規則正しい生活をする
- 入浴や軽いストレッチで体を温め、血行をよくする
- 痛みをがまんして無理な運動をしない
- 足のケアを日課にする
- つえや歩行器を必要に応じて使い、転倒を防ぐ
食事と運動
栄養バランスのよい食事をとりましょう。特にビタミンB群を多く含むお魚やお肉、卵、大豆製品、緑黄色野菜などは神経の健康を支えます。運動は、ウォーキングや水中運動など、負担が少ないものを医師と相談しながら続けることがすすめられます。急な激しい運動は避けてください。
精神的健康と心の健康
慢性的な痛みやしびれは、気分の落ち込みや不安を引き起こすことがあります。つらい気持ちを一人で抱え込まず、家族や友人、医師に相談してください。必要に応じて、心のケアの専門家につなぐこともできます。
予防
すべての神経障害を予防することはできませんが、糖尿病などの生活習慣病をしっかり管理し、バランスのよい食事と適度な運動、節酒、禁煙を続けることで、発症や進行のリスクを下げられることがあります。
ワクチン
帯状疱疹など、神経に影響を与える感染症を予防するワクチンもあります。ワクチンが自分に必要かどうかは、医師に相談して決めましょう。
検診プログラム
糖尿病の方は、定期健診で神経のチェックを受けることがすすめられます。しびれなどの症状がなくても、年に1回は足の診察を受けるとよいでしょう。
合併症
治療しない場合
- 感覚がにぶくなることで、けがややけどに気づきにくく、傷が悪化する
- 足の潰瘍(できもの)が治りにくくなり、重症化すると足の切断につながることもある
- 筋力低下が進み、歩行が難しくなる
- 自律神経の障害により、血圧や消化器のトラブルが起こることがある
長期的な見通し
神経障害の経過は原因によって異なりますが、早く見つけて適切に対処することで、進行を遅らせ、多くの症状を軽くすることができます。完全に治らなくても、暮らしの中の工夫や治療によって、あなたらしい生活を続けることは十分に可能です。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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