仕事場の騒音から耳を守る – 騒音性難聴の予防と対策
概要
騒音性難聴とは、大きな音に長い間さらされることで、耳の内側の音を感じる細胞が傷つき、聞こえが悪くなる病気です。仕事場で大きな機械の音などに毎日長時間さらされると、知らないうちに進行することがあります。一度傷ついた細胞は元に戻らないため、予防がたいせつです。
重要な事実
- 騒音性難聴はゆっくり進むので、自分では気づきにくい
- 一度悪くなった聴力は元に戻らないが、予防はできる
- 耳栓やイヤーマフなどの防音具を使うことで、リスクを大きく減らせる
はい、世界的に見ても仕事が原因の難聴の多くは騒音によるものです。日本でも、工場や建設現場、飛行機の近く、コンサート会場などで働く人たちにみられます。
大きな音がする職場で働く人すべてに可能性があります。特に、機械音、工具の音、音楽などを大きな音で長時間あつかう職業の人に多くみられます。年齢や性別は関係ありません。
症状
- 突然、片耳の聞こえがとても悪くなった
- 強いめまいや吐き気、ふらつきがある
- 顔が動かしにくい、ろれつが回らないなど脳の症状がある
- ⚠ここ数日のうちに聞こえが悪くなった
- ⚠耳鳴りが続き、日常生活に支障がある
- ⚠耳の痛みや腫れ、耳だれがある
- ⚠職場の健康診断で聞こえの異常を指摘された
一般的な症状
- 耳鳴り(キーン、ジージーという音がする)
- 高い音が聞こえにくい(ベルの音や話し声の子音が聞きとりにくい)
- 人ごみやざわざわした場所で会話が聞き取りにくい
- 耳がつまった感じがする
- 大きな音がすると、かえって言葉がはっきり聞こえない感じがする
原因
主な原因
- 大きな音(目安として85デシベル以上)に長時間さらされる
- 爆発音や衝撃音など、短時間でも極めて大きな音がきっかけになることがある
- 休けいがないまま、毎日続けて騒音環境で働く
リスク要因
- 工場、建設現場、農林水産業、音楽関係など騒音の大きい環境で働く
- 耳栓やイヤーマフなどの防護具を使わない
- 作業時間が長く、静かな休けいがない
- 喫煙や高血圧、糖尿病などがあると、影響を受けやすいとの報告もある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然、聞こえが悪くなった
- めまいや強い耳鳴りがある
- 耳の痛みや耳だれが続く
定期受診を予約すべき場合:
- 耳鳴りが続く
- 人との会話が聞き取りにくくなった
- 職場の健康診断で難聴を指摘された
診断
耳鼻科で問診と聴力検査を行います。どのくらい大きな音に、どれだけの時間、どのくらい長くさらされたかなど、仕事の内容も詳しく聞かれます。
行われる可能性のある検査
- 聴力検査(音の聞こえる最小の大きさを調べる)
- 耳鏡検査(外耳や鼓膜の状態を確認する)
- 必要に応じて、耳鳴りの検査や画像検査
診察で予想されること
検査は痛みをともなわず、30分から1時間ほどです。結果をもとに、難聴の程度や原因を説明してもらえます。職場の環境が原因の場合は、産業医や上司と対策を相談するとよいでしょう。
治療
騒音性難聴は、一度傷ついた耳の細胞がもとにもどらないため、治療の中心は「これ以上悪くしないこと」です。聞こえの程度に合わせて補聴器の使用や、職場での環境改善・防音対策をすすめます。
自宅でのセルフケア
- 耳栓やイヤーマフを正しく使う
- 騒音の多い場所では作業時間を短くし、静かな場所で休けいをとる
- 耳掃除はやりすぎず、傷つけないようにする
- 禁煙や生活習慣の改善を心がける(血行が関係するため)
- 耳鳴りが気になるときは、極端に音量を上げずに、かすかなBGMやラジオの音を流すなどして気をそらす
医療治療
医療機関では、難聴の原因によっては内耳の血流をよくするための薬などが処方されることがありますが、どの薬でも騒音性難聴そのものを元に戻すことはできません。聞こえを補うためには、補聴器などの支援機器が検討されます。
手術が検討される場合
騒音性難聴そのものに対して手術が行われることはほとんどありません。ただし、難聴の原因が中耳炎やほかの病気の場合は、その病気に対して治療が行われます。
この病気と共に生きる
聞こえにくさをかくさず、周囲の人に「聞こえにくい」と伝えましょう。会話では、相手の顔を見て口の動きも参考にすると聞き取りやすくなります。職場では産業医や上司に相談し、耳栓の使用や配置の変更など、自分に合った対策を続けることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 大きな音がする場所ではなるべく耳栓をする
- ヘッドホンやイヤホンで音楽を聞くときは音量を大きくしすぎない(目安は音量の半分くらい)
- 耳を休ませる「静かな時間」を毎日つくる
- 睡眠をしっかりとり、疲れをためない
食事と運動
特定の食品で難聴がよくなるわけではありませんが、血行をよくする軽い運動や、バランスのよい食事は耳を含む体全体の健康に役立ちます。塩分のとりすぎに注意し、野菜や魚を中心にした食事を心がけましょう。
精神的健康と心の健康
聞こえにくさは、会話のストレスや孤独感につながることがあります。職場や家庭で伝えにくさを感じることもあるかもしれませんが、あなたの感じているつらさは自然なことです。ひとりで抱えこまず、家族や友人、産業医、相談機関に話してみましょう。
予防
はい、騒音性難聴は予防が可能な病気です。職場では「騒音対策の3原則」として、まず騒音の発生源をなくす・へらす(機械の防音、囲いの設置など)、次に人を騒音から遠ざける(距離をとる、作業時間を短くする)、そして耳栓やイヤーマフを使う、という順に対策を行います。
検診プログラム
騒音のある職場では、労働安全衛生法にもとづく特殊健康診断として、定期的に聴力検査が行われます。対象になる人は必ず受けるようにし、指摘があったら早めに専門医を受診しましょう。
合併症
治療しない場合
- 会話が聞き取りにくくなり、仕事や人間関係に支障が出る
- 耳鳴りが続き、ストレスや不眠の原因になる
- 大きな音にさらされ続けると、難聴の程度が進む
- 周囲の音が聞こえにくいことで、事故や転倒のリスクが高まる
長期的な見通し
職場の騒音を減らし、耳を守る対策を続ければ、これ以上悪くなりにくくすることができます。難聴はつらいものですが、補聴器やコミュニケーションの工夫で生活の質を保つことは十分に可能です。早く気づいて対策を始めるほど、あとあとの生活がラクになります。
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最終更新: 2026年7月31日
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