パーキンソン病の症状とリスクを減らすために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
パーキンソン病は、脳のなかの「ドパミン」という化学物質を作る神経細胞が減ってしまうことで、体の動きに症状が出る病気です。進行はゆっくりで、薬やリハビリで症状をコントロールしながら、長く日常生活を続けることができます。
重要な事実
- 手足のふるえ、筋肉のこわばり、動きが遅くなる、という3つの症状が代表です。
- 原因はまだ完全にはわかっていませんが、脳のドパミン不足が関係します。
- 治療で症状をやわらげ、生活の質を保つことができます。
- 発症は50歳以降の方が多いですが、若い方にもまれにみられます。
日本では高齢化にともなって患者さんは増えており、1000人に数人程度の方がパーキンソン病と診断されるといわれています。決してまれな病気ではありません。
主に50〜70歳代で発症しやすい病気で、男性のほうがやや多い傾向があります。ただし、40歳未満で発症する「若年性パーキンソン病」もあります。
症状
- 顔の片側が下がる、片方の手足に力が入らない、ろれつがまわらない、突然の強い頭痛:脳卒中の可能性があります。119番にすぐ連絡してください。
- 意識がもうろうとする、けいれんが止まらない場合も、119番に連絡してください。
- ⚠転倒して頭を打った、その後眠気や頭痛が続く
- ⚠食べ物や飲み物が飲み込みにくく、むせるようになった
- ⚠ふらつきが強く、立てない
一般的な症状
- 片側の手足から始まることが多い、ふるえ(振戦)
- 筋肉がこわばる(固縮)
- 動きがゆっくりになる(無動)
- バランスをとりにくい(姿勢反射障害)
- 字が小さくなる
- においがわかりにくい
- 便秘や睡眠中の異常行動
原因
主な原因
- 脳のドパミンを作る神経細胞が減少すること(現時点で決定的な原因は不明です)
- 遺伝子の変化が関係するまれな家族性パーキンソン病があります
- 環境要因(農薬や化学物質への曝露)が関連する可能性を指摘する研究があります
リスク要因
- 年齢(高齢になるほど発症リスクが上がります)
- 家族にパーキンソン病の人がいる(リスクはやや高まりますが、多くは遺伝しません)
- 頭部外傷の既往(頭を強く打った経験がある方)
- 研究レベルでは、農薬・溶剤などの化学物質曝露との関連が報告されています
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 症状が数日以内に急速に進んだ、急に歩けなくなった
- ろれつ・表情・飲み込みなどが急に悪化した
- 強いふらつきや転倒が続いて受診が必要と判断される場合
定期受診を予約すべき場合:
- 手のふるえが続く、動作がゆっくりになった、歩くときに足がすりやすい
- においがわかりにくくなった、便秘がひどくなった
- 家族から表情が少なくなった、声が小さくなったといわれた
診断
パーキンソン病の診断は、特定の検査ひとつで決まるものではなく、脳神経内科(神経内科)の医師が、症状の経過や診察、画像検査を組み合わせて総合的に判断します。
行われる可能性のある検査
- 神経学的診察(手足の動き、ふるえ、筋肉の張り、バランスなどを確認)
- 頭部MRI(脳の画像検査:ほかの病気を除外するために行います)
- ドパミン輸送体シンチグラフィー(DaTSCAN)などの核医学検査(必要に応じて)
- 血液検査(ほかの病気が原因でないかを確認)
診察で予想されること
受診時には、いつから、どのような症状が、どのように始まったのかをメモしておくとスムーズです。診断後は、症状にあわせて薬やリハビリを組み合わせた治療計画を医師と一緒に立てていきます。
治療
今のところ根本的に治す治療法はありませんが、症状をやわらげる薬物療法、リハビリテーション、生活上の工夫を組み合わせることで、進行を穏やかにし、生活の質を保つことが目標になります。
自宅でのセルフケア
- 毎日続けられる範囲で運動をする(ウォーキング、体操、ストレッチなど)
- 転倒予防のため、家の中の段差をなくし、手すりを付ける
- 薬をきちんと決められた時刻に飲む(自己中止しない)
- 日記やメモを使って、自分の症状や薬の効果を記録する
医療治療
薬物療法では、脳のドパミンの働きを補ったり長く保ったりする薬剤が使われますが、薬の名前や用量は必ず医師の指示に従ってください。薬以外に、理学療法・作業療法・言語療法などのリハビリテーションも重要です。症状の変化に合わせて、治療内容は定期的に見直されます。
手術が検討される場合
症状が強く、薬物療法の効果が十分でない進行期の方には、脳深部刺激療法(脳の特定の場所に電極を置き、電気刺激で症状を和らげる手術)が選択肢となる場合があります。適応は医師の評価で慎重に決まります。
この病気と共に生きる
ゆっくりした動作でも焦らずにできるよう、時間に余裕を持った行動を心がけましょう。ボタンの代わりにマジックテープを使う、滑りにくい靴をはくなど、ちょっとした工夫で日常生活が楽になります。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠と休息をとる
- 人との交流や趣味を続ける
- 家の中の安全対策(照明を明るく、床のものを片づける)
- 家族や周囲の人に症状を伝え、サポートを得る
食事と運動
バランスのよい食事と、無理のない運動が大切です。便秘予防のため食物繊維と水分を十分にとりましょう。パーキンソン病の薬の中には食事のたんぱく質の影響を受けやすいものがあるため、薬の使い方について食事との関係を医師・薬剤師・管理栄養士に相談してください。
精神的健康と心の健康
うつや不安、睡眠障害をともなうことがあります。それは「気のせい」ではなく、病気の一部として現れる症状です。つらい気持ちを一人で抱え込まず、医師や看護師、家族に話し、必要に応じて精神面のサポートを受けましょう。
予防
パーキンソン病そのものを確実に予防する方法は現在のところ見つかっていません。ただし、定期的な運動やバランスのよい食事などの健康的な生活習慣が、発症リスクを下げたり、進行を穏やかにしたりする可能性があるとして研究されています。
ワクチン
パーキンソン病を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
症状が出る前に診断するための、一般向けの健診(スクリーニング検査)は行われていません。気になる症状がある場合は医療機関で相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- 転倒による骨折(特に太ももの付け根の骨折)
- 飲み込みの低下による食べ物の誤嚥(ごえん)や肺炎
- うつ・認知機能の低下など精神面への影響
- 日常生活の自立度が低下し、介護が必要になる
長期的な見通し
パーキンソン病は進行がゆっくりな病気で、治療やリハビリ、環境の調整によって、長く家庭や社会での生活を続けられることが多くあります。症状の変化に合わせて支えを得ながら、無理なく過ごしていくことが大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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