がん疲労(がんの疲れ)を予防・やわらげるために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
がん疲労とは、がんそのものやがん治療が原因で起こる、つらいほどの疲れのことです。普段の「だるさ」とは違って、休んでもなかなか回復せず、生活に大きな影響をあたえることがあります。
重要な事実
- がんを経験した人の多くが、治療中や治療後にがん疲労を感じます。
- がん疲労は体だけの問題ではなく、気持ちや睡眠、栄養などが関係しています。
- がん疲労は決して「気のせい」ではなく、適切な対処で和らげることができます。
はい、とてもよくある症状です。がん治療を受けている方の約3〜4人に2人以上が経験すると言われています。
がんで治療中の方だけでなく、治療が終わった後もつらい疲れが続く「サバイバー」と呼ばれる方々にも起こりえます。年齢や性別を問わず、誰にでも起こりえます。
症状
- 突然の強い息切れ
- 胸の痛み
- 意識がもうろうとする
- けいれん
- ⚠38度以上の発熱
- ⚠激しい痛み
- ⚠止まらない出血
- ⚠水分や食事がまったくとれない
- ⚠急に体が動かせない
一般的な症状
- 体が重くだるい
- 休んでも疲れがとれない
- 少し動いただけでも疲れる
- 集中力や記憶力が落ちる
- 眠れない、または眠りすぎる
- 気分が落ち込む
- やる気がわかない
子供の症状
- いつもより機嫌が悪い
- 学校や遊びを嫌がることがある
- よく横になりたがる
- 食欲がない
- 遊んでいてもすぐ疲れる
高齢者の症状
- 体力の低下がはっきり見える
- 転びやすくなる
- ぼんやりすることが増える
- 意欲がわかない
- 食事をとるのもつらそうに感じる
原因
主な原因
- がん細胞が体のエネルギーを多く使う
- 手術や抗がん剤治療、放射線治療の影響
- 貧血や栄養不足
- 痛みや睡眠の問題
- 不安やストレス、気分の落ち込み
リスク要因
- 治療の種類や期間
- がんの進行具合
- もともとの体力や年齢
- 睡眠や食事の状態
- 気分やストレスの状態
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 上にあげた緊急の症状があるときは、すぐに119番に電話してください。
- 強い疲れのほかに、発熱や激しい痛み、出血などがあるときは、同じ日に病院へ連絡してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 疲れが1週間以上続くとき
- 日常生活に支障が出ているとき
- 眠れない日が続くとき
- 気分の落ち込みが強いとき
- 治療中の体調変化について相談したいとき
診断
がん疲労の診断は特別な機械などではなく、医師があなたの症状や治療経過を詳しく聞き、体の状態を確認することで行われます。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状の程度や生活への影響を聞く)
- 血液検査(貧血や栄養状態、ホルモンの異常などを調べる)
- 体の診察
診察で予想されること
大切なのは、あなたの「つらい」という気持ちをそのまま伝えることです。どのくらい疲れるか、いつ疲れやすいか、何をすると楽になるかをメモして医師に見せると、より正確なアドバイスがもらえます。
治療
がん疲労の治療は、まず原因となっている体の問題(貧血、痛み、栄養不足など)を改善することと、日常生活の工夫で症状を和らげることが中心になります。医師や看護師、薬剤師、管理栄養士などと一緒に無理のない計画を立てていきます。
自宅でのセルフケア
- 自分のペースを守り、無理をしない
- エネルギーを温存するために、やることの優先順位を決める
- 疲れやすい時間帯を避けて活動する
- 短い休憩をこまめにとる
- 睡眠時間を一定にし、寝る前のスマホやカフェインを控える
- リラックスする時間や趣味の時間をもつ
- 家族や友人に具体的な手伝いをお願いする
医療治療
医師は、疲れの背景にある貧血や痛み、気分の落ち込みなどの症状に対して、適切な治療や支援を提案します。また、運動療法や生活習慣の指導なども行います。どんな治療を受けるかは、あなたの状態に合わせて医師が説明してくれます。
手術が検討される場合
がん疲労そのものに対する手術はありません。ただし、疲れの原因となるがんそのものや合併症への治療として手術が行われることがあります。手術後の回復には時間がかかるため、医師と相談しながら焦らず進めることが大切です。
この病気と共に生きる
毎日の生活では、「できるとき」「できないとき」の波を認めて、自分に合ったペースを見つけることが大切です。「やるべきこと」を小さく分けて、少しずつ行うと負担が減ります。疲れたら休むことを自分に許しましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に起きて、太陽の光を浴びる
- 昼寝は30分以内にする
- 医師に相談しながら、軽い散歩やストレッチを続ける
- 入浴や温かい飲み物でリラックスする
- 趣味や人との交流の時間を大事にする
- たばこは控え、お酒は医師に確認してから
食事と運動
食事は栄養のバランスを意識し、食べられるときに食べられるものを少しずつとりましょう。食欲がないときは、無理をせず、のどごしのよいものや冷たいものを選んでみてください。運動は軽い散歩などから始め、医師の許可を得て行うと、疲れの改善に役立つことがあります。
精神的健康と心の健康
がん疲労が続くと、「いつまで続くのだろう」「自分はもうだめなのでは」と不安や悲しみを感じることがあります。これは弱さではなく、がん治療の影響のひとつです。気持ちのつらさも大切な症状として、遠慮なく医療者に伝えましょう。
予防
がん疲労を完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、治療開始前から無理のない範囲で体力をつけておく、治療中も少し体を動かす、睡眠と栄養をしっかりとるなどの工夫で、疲れのつらさを和らげることができます。
ワクチン
がん治療中は感染症にかかりやすくなることがあります。インフルエンザなどのワクチン接種が受けられるかどうかは、必ず医師に相談してください。
検診プログラム
定期的な健康診断やがん検診は、再発や新しいがんを早く見つけるために大切です。治療後も医師のすすめに従って、定期的に検査を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 外出や人との交流が減り、孤立することがある
- 運動不足による筋力低下や転倒のリスクが高まる
- 仕事や家事が続けられなくなる
- 気分の落ち込みや不安が強くなることがある
- 生活の質が大きく低下することがある
長期的な見通し
がん疲労は、多くの場合、治療が進むにつれて少しずつやわらいでいきます。完全に消えなくても、自分に合った対処法を見つけることで、疲れと上手につきあいながら、仕事や趣味、家族との時間を取り戻すことは十分に可能です。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。