神経障害(ニューロパチー)のスクリーニング:早期発見で安心して生活するために
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
神経障害(ニューロパチー)とは、体のすみずみに広がる末梢神経が傷ついたり、働きが弱まったりする状態です。スクリーニングとは、自覚症状がはっきりしない段階でも、神経の異常を早く見つけるための簡単な検査や問診です。早く見つけることで、原因に応じた対応を早く始められます。
重要な事実
- 神経障害は、しびれや痛みとして現れることが多いですが、はっきりした症状がないこともあります。
- 糖尿病や特定の病気がある場合、症状がなくても定期的なチェックがすすめられます。
- スクリーニングは多くの場合、痛みを伴わず、短時間で終わります。
神経障害は、決して珍しいものではありません。特に糖尿病の患者さんでは、神経障害のサインがみられることが多く、健康診断やかかりつけ医の診察でも行われることがあります。
糖尿病のある方、高齢の方、長くお酒を飲み続けている方、特定の薬や化学物質を使う方、栄養バランスが偏っている方などに起こりやすいとされます。しかし、原因がはっきりしないこともあります。
症状
- 急に片側の手足が動かせない、顔がゆがむ、言葉がしゃべりにくい場合―すぐに119番に電話してください。
- 突然の激しい頭痛、胸の痛み、息苦しさがある場合―すぐに119番に電話してください。
- 下半身が急に動かせない、または感覚がなくなり立てない場合―緊急です。119番を呼びましょう。
- ⚠手足のしびれや痛みが、数時間のうちに急速に強くなっている(当日中の受診が必要です)
- ⚠おしっこやうんちが急に出しにくい、または漏れてしまう(当日中の受診が必要です)
- ⚠足の感覚がなくなり、立てない(すぐに医療機関へ連絡してください)
- ⚠視力が落ちた、物が二重に見える(当日中の受診が必要です)
一般的な症状
- 手足のしびれ(特に足の裏や指先)
- 針で刺すような痛みや、焼けるような痛み
- 触った感覚がにぶい、あるいは反対に過敏になる
- 筋力が落ちて、階段や歩行が不安定になる
- 足の冷え、むくみ、あるいは異常な汗
- つまずきやすくなった、物を落としやすくなった
子供の症状
- 子どもでは、遺伝性の神経の病気などが原因になることがあります。感覚の異常を「しびれ」と説明できないため、急に歩きたがらない、不機嫌になる、動きがぎこちないといった変化で気づかれることが多いです。
高齢者の症状
- 高齢者では、感覚がにぶることで転倒しやすくなります。また、足の小さな傷やまめに気づかず、悪化させてしまうことがあります。毎日の足のチェックと、家族の声かけが大切です。
原因
主な原因
- 糖尿病(血糖値が高い状態が続く)
- ビタミンB群などの栄養不足
- アルコールの多量摂取
- 免疫の異常(ギラン・バレー症候群など)
- 遺伝性の神経の病気
- 甲状腺や腎臓の病気
- 特定の薬の副作用
リスク要因
- 高血糖が長く続く
- 肥満や運動不足
- アルコール依存
- 栄養の偏った食事
- 振動のある機械を長時間使う仕事
- 家族に神経障害の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- しびれが急に悪化し、日常生活が難しくなっている
- 手足の感覚が急に麻痺した
- 排尿・排便のトラブルが現れた
- ことばが回らない、顔がゆがむなど、ほかの神経症状がある
定期受診を予約すべき場合:
- 手足のしびれや痛みが数週間以上続く
- しびれが気になるが、日常生活は何とか送れている
- 糖尿病や腎臓病などの持病がある
- 家族に神経の病気にかかった人がいる
診断
医師は、症状の経過、服用している薬、仕事や飲酒の習慣などをたずねたあと、手足の筋力、感覚、反射をみる神経診察を行います。必要に応じて、血液検査や電気で神経の働きを調べる検査を追加します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(血糖値、ビタミンB12、甲状腺ホルモンなど)
- モノフィラメントや音叉を使った感覚検査
- 神経伝導速度検査(神経が電気を伝える速さを測る)
- 針筋電図検査(筋肉の電気的な活動を調べる)
- 心電図、眼底検査など、原因となる病気の検索
診察で予想されること
スクリーニングは、多くの場合、診察室で10分程度で終わります。細い糸のような器具で足の裏に触れたり、音叉の振動を感じるかどうかを確かめます。痛みはほぼなく、結果は医師からその場で説明されます。必要に応じて、専門の病院を紹介されることもあります。
治療
治療は、まず原因を特定し、それを管理することから始まります。糖尿病があれば血糖コントロールを、ビタミン不足なら食事や栄養の改善を行います。症状が強く出ている場合は、医師が患者さんの状態に合わせて薬を調整します。具体的な薬の名前はここではお伝えしません。ぜひ医療機関で相談してください。
自宅でのセルフケア
- 毎日足を観察し、傷や水ぶくれ、赤みをチェックする
- 入浴で体を温め、血行を良くする(やけどに注意)
- ゆったりとした靴や靴下を選び、締め付けを避ける
- 適度なストレッチやウォーキングを続ける
- お酒を控える、たばこをやめる
医療治療
医師は、原因の治療に加えて、神経の痛みに効果がある薬(もともとは神経痛のほか、てんかんやうつ病などに使われる薬)を、症状や体質に合わせて処方することがあります。ビタミン剤や漢方薬が検討されることもあります。痛みが強い場合は、神経ブロック注射やリハビリテーションなどの専門治療も選択肢です。すべて医師の指導のもとで行われます。
手術が検討される場合
骨や椎間板、そのほかの組織が神経を圧迫して症状が出ている場合は、圧迫を取り除く手術が検討されることがあります。手術が適しているかは、画像検査や神経の損傷程度を専門医が判断します。
この病気と共に生きる
神経障害があっても、日々の工夫で安全性と生活の質を保てます。感覚がにぶい場合は、毎日鏡で足の裏までしっかりチェックしましょう。家の中では段差を減らし、夜は明るい照明を使って転倒を防ぎます。長時間同じ姿勢を避け、こまめに体を動かすことも大切です。
生活習慣のアドバイス
- 足を保湿して、ひび割れを防ぐ
- 入浴時は滑り止めマットを使う
- 感覚に自信がないときは、杖や手すりを活用する
- 睡眠前にカフェインをとりすぎない
- 定期的に医療機関を受診する
食事と運動
バランスのよい食事と、無理のない運動は神経の健康を支えます。緑黄色野菜、魚、肉、卵、大豆製品などに含まれるビタミン類をまんべんなく食べましょう。運動は、ウォーキングや水中歩行など関節に負担の少ないものを週に数回行うと、血流と血糖コントロールの改善に役立ちます。感覚がにぶい場合は、運動中に足を傷つけないよう医師に相談しながら始めてください。
精神的健康と心の健康
慢性的なしびれや痛みは、睡眠や気分に影響し、不安や落ち込みにつながることがあります。これは決して「弱さ」ではありません。つらいときは一人で抱えず、家族や医師に伝えましょう。もし、食事がとれない、眠れない、死にたいという気持ちが強い場合は、ためらわずに医療機関や地域の保健所、電話相談などの支援につながってください。
予防
すべての神経障害を予防することはできませんが、糖尿病や生活習慣が関係するタイプであれば、血糖値・血圧・脂質をよい状態に保ち、禁煙・節酒・適度な運動を心がけることで、発症や進行を抑えられる可能性があります。
検診プログラム
日本では、糖尿病の治療の一環として、厚生労働省の指針でも定期的な神経障害のスクリーニングが推奨されています。糖尿病や腎臓病、自己免疫疾患のある方は、症状がなくても定期チェックを受けましょう。かかりつけ医や健康診断の際に気軽に相談してください。
合併症
治療しない場合
- 感覚がにぶくなり、足の傷ややけどに気づかず、潰瘍や感染症へと進行する
- 筋力低下やバランス感覚の悪化により、転倒しやすくなる
- 自律神経の障害で、立ちくらみ、便秘・下痢などの悩みが出る
- 足の変形や関節の損傷につながることがある
長期的な見通し
原因がしっかり治療されれば、進行を遅らせたり、症状が軽くなったりすることが多くあります。神経障害は一つの経過がすべてではありません。あきらめずに、自分に合った方法を医療者と一緒に見つけていくことが何より大切です。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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