職場のトラウマを防ぐには
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
トラウマとは、命の危険や大きな苦しみを感じる出来事が心に深い傷を残すことです。職場で事故や暴力、ひどい嫌がらせなどにあうと、その後も強い恐怖や不安が続くことがあります。予防には、職場の環境を安全に整えることと、つらい体験をした後のケアが大切です。
重要な事実
- 職場でのつらい出来事は、だれにでも心と体の反応を引き起こすことがあります。
- トラウマへの反応は人間として自然な反応であり、多くの人が時間とともに回復します。
- 早期に相談するほど、回復が早くなる可能性があります。
仕事や職場の人間関係による強いストレスを感じている人は少なくありません。日本では、労働者のメンタルヘルス対策が重要な課題とされており、ストレスチェック制度もすすめられています。ただし、同じ経験をしても、トラウマになるかどうかは個人差があります。
一般のオフィスから、建設業、介護、医療、警察、消防など、どんな仕事でも起こりえます。特に、人を支援する仕事や危険をともなう仕事、人間関係のストレスが多い職場では、経験するリスクが高くなります。
症状
- 自分を傷つけたい、死にたいという強い気持ちがある
- 周囲の人が命の危険を感じるような言動や行動がある
- 突然、息苦しさや動悸が激しくなり、動けなくなる
- このような症状がある場合は、すぐに119番(救急)に電話してください。
- ⚠眠れない日が続き、体や心がもちこたえない
- ⚠食事がとれない、水分もとれない
- ⚠強い恐怖や不安で家から出られず、仕事に行けない
- ⚠自暴自棄になって、危険な行動をとってしまいそう
- ⚠このような症状がある場合は、今日中に医療機関か相談窓口に連絡しましょう。
一般的な症状
- つらい場面が突然よみがえる(フラッシュバック)
- 悪夢、眠れない、寝ても疲れがとれない
- 強い不安や恐怖を感じ、仕事に行くのが苦痛
- イライラしやすくなる、集中できない
- 出来事を思い出させる場所や人を避ける
子供の症状
- 甘えが強くなったり、わがままになったりする
- 表情が暗くなる、元気がなくなる
- 体調をよく崩す(頭痛、おなかが痛いなど)
- 遊びでつらい出来事をくりかえす
高齢者の症状
- 体の不調(頭痛、胃の不調、肩こりなど)が続く
- 気分の落ち込みや不安が長引く
- 物忘れが進んだように見える
- 食欲が落ち、体重が減る
原因
主な原因
- 職場での大きな事故やけがを経験する
- 暴力や暴言、ひどいパワーハラスメントを受ける
- 同僚や利用者の身に危険が及ぶ場面を目撃する
- 重大なミスを起こし、その後も強い責任感や恐怖に苦しむ
- 長時間の過酷な労働や、突然の大きな変化に耐える
リスク要因
- 職場で誰にも相談できない雰囲気がある
- 仕事の量やスケジュールをコントロールできない
- 上司や同僚からのサポートが少ない
- ハラスメントを訴えにくい職場の風土
- 家でのストレスや経済的な不安をかかえている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 自分を傷つけたい、死にたいという考えがあり、止められない
- 体の危険を感じるほどつらく、身の回りのことができない
- 意識がもうろうとしたり、息ができなかったりする
定期受診を予約すべき場合:
- 夜眠れない、悪夢で目がさめる、が続く
- 仕事に行くのが怖い、集中できない、ミスが増えた
- 不安や落ち込みが2週間以上続いている
- 食欲が落ちる、体重が減るなどの体の変化がある
診断
診断は医師があなたの話をていねいに聞くことから始まります。どのような出来事があり、今どんな症状があるのか、仕事や生活にどんな影響が出ているかを一緒に整理します。
行われる可能性のある検査
- 特別な血液検査や画像検査は通常ありません
- うつや不安の程度を評価する質問票を使うことがあります
- ほかの病気が原因でないかを確認するために、診察や検査が行われこともあります
診察で予想されること
初診では、症状の始まりやきっかけ、睡眠、食事、仕事の様子などを聞かれます。話したくないことは無理に話す必要はありません。医師はあなたのペースを尊重してくれます。焦らず、安心して話せることを少しずつ伝えてください。
治療
治療は、つらい記憶や不安を和らげるための心理的なケアを中心に行われます。あわせて、職場の環境調整や休養もとても大切です。職場の産業医や人事と相談しながら、無理のない復帰計画を立てることもあります。
自宅でのセルフケア
- しっかり眠り、体を休めることを優先する
- 安全な場所でゆっくり過ごす時間を作る
- 信頼できる人に自分の気持ちを話す
- ゆっくりした深呼吸やストレッチで体の緊張をゆるめる
- 仕事から離れて、好きなことに少しだけ取り組む
医療治療
精神科や心療内科では、認知行動療法(考え方や行動のパターンに働きかける治療)などで、つらい記憶の整理を助けます。症状が強い場合は、医師の判断で薬を使うこともありますが、薬の種類や量は必ず医師と相談してください。
手術が検討される場合
この症状に対して手術はありません。
この病気と共に生きる
回復には時間がかかることを知り、無理をしないことが大切です。仕事に復帰するときは、好きな時間に短時間働くなど、段階を踏むと安心です。つらい気持ちを押し込めず、休息日を作りましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に起きて、寝るリズムを整える
- アルコールをたくさん飲まず、カフェインをとりすぎない
- 散歩やストレッチなど、軽い運動を習慣にする
- ストレスを感じたときの対処法をいくつか用意しておく
食事と運動
食事は3食、時間を決めてとるように心がけましょう。何を食べるかは気にしすぎず、食べられるものを少しずつ食べましょう。運動は体の緊張をほどき、気分を上向きにする効果が期待できます。
精神的健康と心の健康
トラウマを経験した後は、気分が不安定になるのが普通です。自分を責めたり「弱いからだ」と決めつけたりしないでください。心のエネルギーは仕事よりも回復に使う時期だと考えてください。
予防
職場で起こるすべてのつらい出来事を防ぐことは難しいかもしれません。しかし、ハラスメントを禁止する方針を明確にする、危険な作業を減らす、休暇を取りやすくする、相談窓口を設置するなどの対策で、トラウマのリスクを下げることができます。個人でも、日ごろからストレスをためない生活と、信頼できる話し相手を作ることが予防になります。
ワクチン
このテーマにワクチンはありません。
検診プログラム
日本では、労働者に対して「ストレスチェック」という検査が義務づけられています。これは職場のストレスを自分で気づくための手がかりになります。詳しくは職場の担当者や、かかりつけ医に相談してください。
合併症
治療しない場合
- うつ病や不安症などの心の病気に進むことがあります
- 仕事を続けるのが難しくなり、離職につながる可能性があります
- 眠れない日が続き、体の不調や疲労が強くなります
- お酒やタバコ、薬に頼りすぎてしまうことがあります
長期的な見通し
つらい体験をした後でも、多くの人は適切な休息とサポートを受けて回復していきます。治療や職場の調整によって、症状は必ず改善することができます。希望を持って、一歩ずつ自分を大切にしてください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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