不妊治療の準備:はじめる前に知っておきたいこと
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
不妊治療の準備とは、体外受精や人工授精などの不妊治療を始める前に、心と体を整えることです。健康的な生活習慣を取り入れ、必要な検査を受け、治療についてしっかり理解することで、治療をスムーズに進め、成功率を高めることを目指します。
重要な事実
- 治療前の検査やカウンセリングで、あなたやパートナーの健康状態を確認します。
- 葉酸を十分にとることや、禁煙・節酒など、生活習慣の見直しがすすめられます。
- 治療には時間と費用がかかることもあり、心身の負担を軽くするための相談窓口やサポートを活用することが大切です。
不妊治療を考えている人は少なくなく、厚生労働省の調査でも多くの夫婦が不妊の検査や治療を受けたことがあると報告されています。決して特別なことではありません。
不妊は女性だけの問題ではなく、男性側に原因がある場合も約半数あります。しかし、女性の年齢は妊娠のしやすさに大きく影響するため、特に年齢が高い女性では、早めの相談がすすめられます。
症状
- 急激なおなかの痛みが強くなり、我慢できないほど(この場合はすぐに119番を呼んでください)
- 月経とは思えないような大量の出血
- 息苦しさや胸の痛み、尿の出が極端に減った(治療後の卵巣過剰刺激症候群の可能性)
- 意識がもうろうとする、顔色が真っ青になる
- ⚠持続する38度以上の発熱
- ⚠おなかの張りや痛みが続くが、救急車が必要なほどではない
- ⚠治療後の強い気分の落ち込みや不安で、日常生活が苦しい
一般的な症状
- 避妊をやめて1年程度、妊娠のために性交渉があるのに妊娠しない
- 月経周期が極端に不規則で、排卵が順調でない可能性がある
- 強い月経痛があり、日常生活に支障をきたしている
- 子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群などと診断されたことがある
- 骨盤内手術や性感染症の既往がある
子供の症状
- 不妊治療の準備は大人のためのものです。思春期の子どもの場合、強い月経痛や月経不順が続くときは、小児婦人科や産婦人科に相談してください。
高齢者の症状
- 閉経後の方は妊娠を目指す治療の対象にはなりませんが、更年期以降も婦人科の定期検診は大切です。かかりつけ医に相談しながら健康管理を続けましょう。
原因
主な原因
- 女性の年齢が上がると、卵子の数と質が低下する
- 排卵障害(卵子が育たない、排卵しない)
- 卵管のつまりや子宮の異常
- 子宮内膜症(子宮の内膜に似た組織が子宮の外にできる病気)
- 男性側の精子の数や運動率の問題
- 原因がはっきりしない場合もある
リスク要因
- 女性で年齢が35歳以上であること
- 喫煙や飲酒
- 過度のやせや肥満
- 激しいストレスや慢性的な睡眠不足
- 骨盤内の炎症や性感染症の既往
- がん治療による影響(放射線治療、抗がん剤治療など)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 治療中や治療後に「症状」の「緊急」にあげた症状がある場合は、すぐに救急受診してください。119番をためらわずに使うことも大切です。
定期受診を予約すべき場合:
- 一般的に、避妊をやめて1年(35歳以上では6か月)妊娠しない場合
- 月経周期が極端に不規則で、妊娠を望む場合
- 子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群など、妊娠に影響する可能性のある持病がある場合
- 流産を繰り返す場合(不育症の相談)
診断
妊娠を望む場合、まず夫婦(カップル)両方を対象に、問診と基本的な検査(血液検査、超音波検査、精液検査など)を行います。治療方針を決める前に、あなたの健康状態や排卵状態、子宮や卵巣の形、精子の状態などを調べることが必要です。
行われる可能性のある検査
- 女性:血液検査(ホルモン値、感染症検査など)
- 女性:経腟超音波検査(子宮や卵巣の状態を確認)
- 女性:子宮卵管造影(子宮の形と卵管の通りを調べる)
- 男性:精液検査(精子の数、運動率、形)
- 必要に応じて、遺伝子検査や甲状腺機能検査
診察で予想されること
検査は生理周期に合わせて行うことがあり、すべてを1日で終えるわけではありません。数週間かけてじっくりと評価することもあります。結果をもとに、あなたたち夫婦に合った治療計画を立てます。不安なことや怖い検査は、担当医に遠慮なく説明を求めてください。
治療
不妊治療の準備は、医療による治療そのものの前段階です。治療方針に応じて、薬による排卵誘発、人工授精、体外受精などの生殖補助医療から選択します。また、治療の成功率を高めるために、生活習慣の見直しや医師の指示に基づく葉酸などの栄養補給もすすめられます。
自宅でのセルフケア
- 医師や管理栄養士のアドバイスに従い、バランスのよい食事を心がける
- 禁煙・飲酒は控える
- 過度な運動は避け、適度な運動(歩く、ヨガ、軽い筋トレなど)を習慣にする
- 睡眠時間をしっかり確保し、ストレスをためない
- 市販薬やサプリメントを使うときは、医師や薬剤師に相談してからにする
医療治療
不妊の原因に応じて、排卵を促す内服薬や注射薬、ホルモン剤の補充などが使われます。また、人工授精、体外受精、顕微授精といった生殖補助医療が行われることもあります。日本の診療ガイドラインに沿って、医師と十分に話し合い、同意書を交わした上で進められます。費用や時間、身体的負担についても事前に説明があります。
手術が検討される場合
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮ポリープ、卵管の水腫など、手術で改善が見込まれる病変がある場合は、腹腔鏡手術や子宮鏡手術が検討されることがあります。ただし、必ず手術が必要というわけではなく、治療選択肢の一つです。生殖専門医とよく相談しましょう。
この病気と共に生きる
不妊治療の準備期間中は、通院や検査、治療が重なることがあります。仕事と両立するために、職場に治療の予定を事前に伝えたり、休暇制度を調べたりする工夫が役立ちます。治療計画は数週間単位で変わることもあるため、パートナーと声を掛け合いながら進めることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の起床・就寝時間をできるだけ一定にする
- 趣味や好きなことでリラックスの時間を持つ
- パートナーや家族、友人と話す時間を大切にする
- インターネットの情報に振り回されず、わからないことは医療者に確認する
食事と運動
妊娠しやすい体づくりのためには、極端な食事制限はせず、三食をバランスよく食べましょう。糖質や脂質は控えめに、野菜・果物・たんぱく質を十分にとります。運動は医師と相談しながら、ウォーキングなどの適度な強度を1日30分程度続けることがすすめられます。肥満も低体重も月経のサイクルに影響するため、健康的な体重を目指しましょう。
精神的健康と心の健康
不妊治療は、喜びと同時に不安や悲しみ、焦り、孤独感を感じることも多い過程です。治療を受けている人は、うつや不安のサインを見逃さないよう、定期的に気持ちをチェックすることがすすめられています。つらいときは我慢せず、医療者やカウンセラーに相談してください。
予防
すべての不妊を予防することはできませんが、後悔しないために、妊娠を希望する時期が来たら早めに産婦人科を受診し、健康状態を確認することが大切です。喫煙や過度の飲酒を避け、性感染症の予防を心がけることも、不妊のリスクを下げる助けになります。
ワクチン
不妊治療の準備に直接関係するワクチンはありませんが、妊娠前に風疹や麻疹、水痘などへの抗体があるかを確認し、不足している場合は妊娠前に予防接種を済ませておくことがすすめられています。かかりつけ医に相談しましょう。
検診プログラム
厚生労働省が推奨する「妊娠前の健康診査」を参考に、血圧、血糖、貧血、甲状腺機能、性感染症などの検査を受けることができます。自治体によっては、不妊検査や治療費への助成制度もあるので、住んでいる市区町村の窓口で確認してみましょう。
合併症
治療しない場合
- 原因となる病気(子宮内膜症や排卵障害など)が進行する可能性がある
- 年齢が進むと卵子の数と質が低下し、治療の成功率が下がることがある
- 不妊によるストレスが、うつや不安など心の健康に影響を及ぼすことがある
長期的な見通し
不妊治療は決して暗い話ではありません。多くの人が適切な治療と生活習慣の見直しによって妊娠に至っています。医療技術も進歩しており、年齢や原因によって成功率は異なりますが、選択肢はたくさんあります。あなたに合った医療機関と医療チームを見つけることが第一歩です。あきらめずに、一歩ずつ進んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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