もの忘れ・記憶障害:検査・処置当日に知っておきたいヒント
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
この記事では、もの忘れ・記憶障害の基礎知識と、医療機関で検査や処置を受ける当日に、本人や家族が安全に準備を進めるためのヒントをまとめました。もの忘れは年齢による軽いものから、認知症などの病気によるものまで幅があります。
重要な事実
- もの忘れには、年齢による正常な変化と、治療や支援が必要な記憶障害があります。
- 処置当日は、付き添い・メモ・薬の一覧を活用すると安心です。
- 急に始まった意識障害やまひ症状は、迷わず119番へ連絡してください。
- 早めに相談することで、原因が分かり、暮らしやすくなることもあります。
年のせいと感じる軽いもの忘れは、中高年以降の多くの人が経験します。日常生活に支障が出る記憶障害は高齢者に増えるため、身近な症状です。
高齢者に多く見られますが、若い人でも、うつ病、頭部外傷、睡眠不足、薬の副作用、甲状腺や栄養の問題によって起こることがあります。
症状
- 顔のゆがみ・片方の手足が動かない・言葉が出ないなど、脳卒中が疑われる症状
- 呼びかけに反応しない、意識がはっきりしない
- 突然の激しい頭痛と吐き気・意識障害
- ⚠数日から数週間、あるいは数時間で急にもの忘れや混乱が悪化した
- ⚠頭を打った後に記憶があいまいになった
- ⚠幻覚、強い興奮、昼夜逆転が続く
- ⚠高熱や全身の不調とともに意識がぼんやりする
一般的な症状
- 最近の約束や会話の内容を思い出せない
- 同じ質問や同じ話を繰り返す
- 慣れている道で迷うことがある
- 薬やお金の管理、料理の手順などがうまくできなくなる
- 物を置き忘れ、探せないことが増える
原因
主な原因
- 加齢による正常な変化
- アルツハイマー型認知症など、脳の神経細胞が変化する病気
- 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害
- 甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏、感染症などの体の病気
- うつ病や強いストレス
- 薬の副作用や飲み合わせ
- 睡眠不足、栄養の偏り、頭部外傷
リスク要因
- 高齢であること
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を持っていること
- 喫煙や過度の飲酒
- 運動不足
- 人との交流が少なく、閉じこもりがちであること
- 聴力や視力の低下で周囲の情報を得にくいこと
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- もの忘れや意識の状態が数時間から数日で急に悪くなった
- 頭部外傷や転倒の後に記憶の異常が出た
- まひやろれつが回らないなど脳卒中のサインがある
定期受診を予約すべき場合:
- 日常生活の予定管理、服薬管理、金銭管理に時間がかかり困っている
- 家族や周囲が、以前より明らかに忘れっぽいと感じる
- 本人がもの忘れのことで不安になっている
診断
医師が本人と家族から詳しく話を聞き、記憶や注意力の簡単なチェックを行い、必要に応じて血液検査や画像検査を組み合わせて、原因を総合的に評価します。
行われる可能性のある検査
- 問診・家族からの情報提供
- 記憶力、注意力、判断力を調べる神経心理検査
- 血液検査(甲状腺ホルモン、ビタミン、感染症などの確認)
- 頭部MRI・CT(脳の萎縮、脳梗塞、腫瘍などの有無を確認)
- 服用中のお薬の確認
診察で予想されること
受診当日は、症状がいつ始まり、どのように変わったのか、飲んでいる薬の情報を整理するとスムーズです。必要に応じて家族からも話を聞かれます。診断は時間をかけて行われることがありますが、今後の生活の見通しを立てる第一歩になります。
治療
もの忘れの治療は、まず原因を見つけることから始まります。甲状腺の病気、ビタミン不足、薬の影響、うつ病などが原因の場合は、その治療によって改善が期待できます。認知症などの神経の病気が原因の場合は、進行を緩やかにする薬や、生活を支えるリハビリテーション・環境調整を組み合わせて、できることを増やしていきます。
自宅でのセルフケア
- 検査や処置の前日までに、服用中のお薬の一覧と実物をまとめておく
- 当日の予約時間、持ち物、質問したいことなどをメモにして、付き添う家族にも渡す
- メガネ、補聴器、杖など、いつも使う道具を忘れずに持参する
- 朝の薬を飲み忘れないよう、前日に飲む分を仕分けておく
- 交通手段と時間を前もって確認し、時間に余裕を持つ
- 説明を受けたら、メモを取ってもらうか、家族にも同席してもらい、後で確認できるようにする
- 体調や不安なことは、遠慮せず医師や看護師に伝える
医療治療
医師は、原因に応じて、栄養やホルモンを補う薬、脳の血流を保つ薬、認知機能の進行を抑える薬などを検討します。お薬は必ず医師の指示に従って使用し、自己判断でやめたり、量を変えたりしないでください。
手術が検討される場合
脳腫瘍、水頭症、脳血管障害などの病気が原因で記憶障害が起きており、手術が有効と判断された場合は、脳神経外科で手術を検討する可能性があります。手術が必要かどうかは、専門医が検査結果と全身状態をふまえて判断します。
この病気と共に生きる
毎日の生活に一定のリズムをつくること、メモやカレンダー、服薬管理サービスなどを活用することで、記憶への不安をやわらげることができます。一人でかかえず、家族や専門職の助けを上手に借りましょう。
生活習慣のアドバイス
- 起床・食事・就寝の時間をできるだけ一定にする
- 予定や連絡先をひとつのノートにまとめておく
- 財布、鍵、スマートフォンなど大切な物の置き場所を決める
- 地域の集まりや趣味の活動に参加し、人とのつながりを保つ
- 火の取り扱い、薬の管理、運転などに不安があるときは、家族や専門家に相談する
食事と運動
野菜や魚を中心としたバランスのよい食事と、散歩・体操・水中運動などの無理のない運動習慣が、脳の健康を支えると考えられています。糖分や塩分、脂肪のとりすぎに注意しましょう。
精神的健康と心の健康
もの忘れが増えると、自信や気力が低下し、不安や抑うつ気分を伴うことがあります。また、家族も心配や疲れを感じることがあります。「できないこと」に注目しすぎず、「今できること」を大切にしましょう。もし死にたい気持ちや追い詰められた気持ちがある場合は、一人で抱え込まず、信頼できる人、医療機関、自治体の相談窓口にすぐ連絡してください。緊急の危険があれば119番を呼んでください。
予防
加齢によるもの忘れを完全に防ぐ方法は確立されていません。しかし、生活習慣病をしっかり治療し、運動・バランスのよい食事・人との交流を続けることは、記憶障害のリスクを減らす可能性があるといわれています。
ワクチン
記憶障害そのものを予防するワクチンはありません。ただし、インフルエンザや肺炎などの感染症を予防することで、体調不良による一時的な記憶の混乱(せん妄)を避けられることがあります。予防接種はかかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
健康診断で血圧や血糖などをチェックし、脳卒中など記憶障害の原因となる病気を早期に見つけることが大切です。また、自治体で実施される認知機能の簡易チェックを利用することもできます。
合併症
治療しない場合
- 服薬の飲み忘れや重複が起こり、持病が悪化することがある
- 火の消し忘れ、転倒、交通トラブルなど事故のリスクが高まる
- 本人が家庭や社会から孤立し、うつ状態が進行することがある
- 脳卒中など、もとになる病気の治療が遅れることがある
長期的な見通し
もの忘れの原因は人によってさまざまで、適切な診断と支援があれば、症状が改善する方もいます。難しい面があっても、環境調整やサポートを活用しながら、その人らしい暮らしを続けていくことは十分に可能です。希望を持って、医療や地域の力を頼りにしましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。