自宅でできる末梢神経障害(ニューロパチー)のセルフケア
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
末梢神経障害(ニューロパチー)とは、脳や脊髄から手足などへつながる神経(末梢神経)が傷つくことで、しびれ、痛み、力が入りにくいなどの症状が出る病気です。自宅でのケアは症状の悪化を防ぎ、日常生活を安全に送るためにとても大切です。
重要な事実
- 主に手足のしびれや痛み、感覚の異常などが現れます。
- 糖尿病やビタミン不足、アルコールなどさまざまな原因で起こります。
- 原因を治療しながら、自宅でのフットケアや転倒予防が重要です。
末梢神経障害は、決して珍しいものではありません。特に糖尿病の患者さんに多くみられ、60歳以上では約7%の人が何らかの神経障害を持つといわれています(厚生労働省の調査などを参考に)。
糖尿病の人、高齢者、ビタミンB群が不足しやすい人、長くお酒を飲み続けている人、抗がん剤治療を受けている人などに多くみられます。
症状
- 突然、顔や手足に力が入らない
- しゃべりにくい、言葉が出ない
- 激しい頭痛を伴う
- ⚠症状が急に悪くなった
- ⚠歩けなくなった
- ⚠強い痛みや赤み・腫れがある
- ⚠傷口から膿が出る
- ⚠発熱がある
一般的な症状
- ピリピリ・ジンジンする痛み
- 感覚が鈍くなる
- 冷感・灼熱感
- 筋力低下
- バランスをとりにくい
原因
主な原因
- ビタミンB群の不足
- アルコールの多飲
- 自己免疫疾患
- 遺伝性の病気
- 抗がん剤などの薬の影響
- 腎臓病や肝臓病による代謝異常
リスク要因
- 血糖コントロール不良
- 栄養バランスの悪い食事
- 大量飲酒
- 慢性の腎臓病・肝臓病
- 神経を傷つける薬の使用
- 末梢神経障害の家族歴
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然、力が入らない、言葉が出ない、胸の痛みを伴うなどの場合は救急対応が必要です。すぐに年間119番へ連絡してください。
- 症状が急速に進む場合もすぐ受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 手足のしびれや痛みが続く
- 生活に支障がある
- 傷がなかなか治らない
- 感覚が低下している
診断
医師が問診や診察を行い、神経の伝わる速さを調べる検査や血液検査などで原因を探ります。自宅での症状の経過を伝えることが診断の手がかりになります。
行われる可能性のある検査
- 神経伝導検査(神経の伝わり具合を調べる)
- 針筋電図(筋肉の電気活動を調べる)
- 血液検査(糖尿病やビタミン不足の有無)
- 場合によっては皮膚生検や遺伝子検査
診察で予想されること
診察では、いつから、どんな症状があるか、持病や服薬の状況などを聞かれます。検査は痛みを伴うものもありますが、通常は日帰りで行えます。
治療
治療の基本は、原因となる病気の治療、症状をやわらげるケア、神経の回復を助ける生活習慣の改善を組み合わせることです。医師や薬剤師、看護師、理学療法士などのサポートを受けながら、長い目で取り組むことが大切です。
自宅でのセルフケア
- 毎日足の状態を確認し、洗って清潔に保つ。保湿クリームで乾燥を防ぐ。
- 転倒を防ぐために家の中の段差をなくし、明るくする。
- 靴は足に合ったものを選ぶ。
- 熱すぎるお湯やカイロを使わない(感覚が鈍いと火傷しやすいため)。
- 長く同じ姿勢を続けず、適度に体を動かす。
医療治療
症状に応じて、神経の痛みをやわらげる薬、神経の修復を助けるビタミン剤、うつや不眠にともなう症状を整える薬などが検討されます。治療薬の種類や量は医師が個別に決めます。市販薬を自己判断で使うのではなく、必ず医師や薬剤師に相談してください。
手術が検討される場合
末梢神経が、手や足の狭い場所で圧迫されて症状が出る場合(手根管症候群など)には、圧迫を取り除く手術が考慮されることがあります。ただし、多くの場合、まずは保存的な治療を検討します。
この病気と共に生きる
症状と上手に付き合いながら、日常生活の安全を保つことが大切です。痛み・しびれを無理にがまんせず、自分に合ったケアを見つけましょう。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい生活を送る
- アルコールは控えめにする
- 禁煙する
- 睡眠をしっかりとる
- ストレスをためない
食事と運動
栄養バランスのよい食事を心がけ、特にビタミンB群を多く含む食品(豚肉、うなぎ、レバー、青魚など)を意識するとよいでしょう。運動は、無理のない範囲でウォーキングやストレッチなどを行い、筋力を保つことが転倒予防につながります。糖尿病の方は、血糖コントロールを良好に保つことが神経障害の進行を防ぐうえで重要です。
精神的健康と心の健康
しびれや痛みが続くと、イライラしたり、気分が落ち込んだりすることがあります。そうした気持ちは自然なことです。ひとりで抱え込まず、家族や医師、時には心理の専門家に相談することも大切です。
予防
原因によっては、予防が可能です。糖尿病の方は血糖値を良好に保ち、栄養バランスのよい食事と適度な運動を心がけることで、神経障害のリスクを下げられます。過度な飲酒を避けることも重要です。
検診プログラム
糖尿病の方は、定期的に医療機関で足のチェックや神経の状態を確認することをおすすめします。しびれなどを自覚していなくても、受診時に足の状態を診てもらいましょう。
合併症
治療しない場合
- 感覚がなくなった部分に気づかないうちに傷ができ、潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)に進むことがあります。
- 筋力低下やバランス障害による転倒、骨折などにも注意が必要です。
長期的な見通し
末梢神経障害は、原因を適切に治療し、毎日のケアを続けることで、進行を抑え、症状が改善することもあります。あきらめずに、医療者と一緒に取り組むことが大切です。多くの人は、痛みやしびれをうまくコントロールしながら、日常生活を続けています。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。