パーキンソン病:症状と処置の準備
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
パーキンソン病は、脳の神経細胞の一部が減り、体を動かすための「ドパミン」という神経伝達物質が不足することで起こる進行性の病気です。手足のふるえや体のこわばり、動作が遅くなるといった症状が現れます。
重要な事実
- パーキンソン病は感染する病気ではありません。
- 症状はゆっくりと進みますが、治療やリハビリによって生活の質を保つことができます。
- 早期に診断し、適切な治療を始めることが大切です。
日本では高齢者を中心に比較的多く見られる病気で、厚生労働省が定める指定難病の一つです。
60歳以上の人に多く見られますが、40歳以下で発症する「若年性パーキンソン病」もあります。男性のほうがやや多い傾向があります。
症状
- 息ができない、呼吸が非常に苦しい(すぐに119番)
- 意識がない、または呼びかけに反応しない(すぐに119番)
- 激しい頭痛、けいれんが止まらない(すぐに119番)
- 高熱があり、体が強くこわばって動けない(すぐに119番)
- 転倒や事故で頭を強く打ち、状態が悪化している(すぐに119番)
- ⚠症状が急に悪化し、普段の動作がまったくできなくなった(当日中に医療機関へ)
- ⚠飲み込みが難しく、食事や水分がとれない(当日中に医療機関へ)
- ⚠強い幻覚や混乱が見られる(当日中に医療機関へ)
- ⚠強い腹痛や吐き気が続く(当日中に医療機関へ)
一般的な症状
- 手足がふるえる(特に体を休めているとき)
- 筋肉がこわばり、体が動かしにくい
- 動作がゆっくりになり、すり足になる
- 姿勢のバランスを保ちにくくなる
- 表情が少なくなる、声が小さくなる
- 睡眠の問題、便秘、においがわからない、気分の落ち込み
子供の症状
- パーキンソン病は子どもにはほとんど見られません。まれに遺伝子の変化が原因で起こることもありますが、その場合は専門医による詳しい評価と治療が必要です。
高齢者の症状
- 高齢者では、転倒による骨折のリスクが高くなります。
- うつ症状や認知機能の低下(物忘れなど)が一緒に現れやすくなります。
- 薬の副作用にも注意が必要で、特に飲み忘れや急な中止に気をつけます。
原因
主な原因
- 脳内の「黒質」と呼ばれる部分の神経細胞が減り、ドパミンが不足することが原因と考えられています。
- なぜ神経細胞が減るのかはまだはっきりわかっていませんが、遺伝的要因と環境的要因が関係しているとされています。
リスク要因
- 加齢(年を重ねるほど発症しやすい)
- 家族にパーキンソン病患者がいる
- 特定の農薬や化学物質への曝露
- 頭部の外傷の既往
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- ふるえや動作が遅くなるなどの症状が急に悪くなった
- 日常生活で転倒が増えた、または足がまったく上がらない
- 薬の服用が急に中断され、動けなくなった
定期受診を予約すべき場合:
- 手のふるえに気づく
- 動作が以前よりゆっくりになった
- 体がこわばると感じる
- 症状が1〜2か月以上続いている
診断
パーキンソン病を確定的に診断するための簡単な検査はありません。問診や神経学的診察を行い、症状の経過を見ながら診断します。治療薬への反応を確認することで診断が確かめられることもあります。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状の内容や経過を詳しく聞く)
- 神経学的診察(ふるえ、こわばり、歩き方、バランスなどを確認)
- 血液検査(他の病気を除外するため)
- 画像検査(MRIや脳血流シンチなどを行うことがある)
診察で予想されること
初診では、現在の症状や体の状態についての質問があります。診断が難しい場合には、専門の神経内科医やパーキンソン病の専門外来を紹介されることもあります。
治療
パーキンソン病の治療は、症状をやわらげて日常生活の質を保つことを目的に行います。薬物療法とリハビリテーションが中心で、症状に合わせて計画を立てます。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示に従って薬を継続的に服用する
- 転倒を防ぐため、家の中の段差をなくすなどの工夫をする
- 理学療法や作業療法などのリハビリを続ける
- 十分な睡眠と休養をとる
- 日々の活動量を記録し、無理のないペースを保つ
医療治療
薬の治療が中心となり、不足したドパミンを補うなど、複数の種類の薬があります。どの薬を使うか、どのくらいの量にするかは、症状や年齢、生活状況に合わせて医師が決定します。薬を急に中止すると症状が悪化するため、必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
薬の効果が十分でない場合や、強い副作用がある場合には、脳深部刺激療法と呼ばれる手術が検討されることがあります。手術には専門のチームによる詳しい評価と準備が必要です。また、パーキンソン病の人が別の病気の手術や歯科治療を受ける際は、担当医にパーキンソン病のことを伝え、服用中の薬を必ず申告してください。
この病気と共に生きる
規則正しい生活を心がけ、無理をしすぎないことが大切です。検査や手術、歯科治療などの処置を受ける前には、パーキンソン病の治療薬をいつ飲んでいるかを医療者に必ず伝えましょう。治療薬の変更や中止は、必ず医師の指示に従ってください。
生活習慣のアドバイス
- 趣味や人との交流を続けて、気分を明るく保つ
- 散歩や軽い体操など、できる範囲で体を動かす
- 杖や手すりなど、転倒を防ぐ道具を利用する
- 家族や友人に、自分の状態や気持ちを伝える
食事と運動
バランスのよい食事を心がけ、特に便秘を防ぐために食物繊維と水分をしっかり摂りましょう。運動は、ストレッチや歩行を中心に、理学療法士や作業療法士と相談しながら継続することがすすめられます。
精神的健康と心の健康
パーキンソン病では、うつ状態や不安を感じることがあります。気分が落ち込んだときは、ひとりで抱え込まずに医師や家族に相談してください。もし「生きるのがつらい」という強い気持ちが続く場合は、すぐに医療機関に連絡するか、119番に相談してください。
予防
現在、パーキンソン病を確実に予防する方法は見つかっていません。ただし、バランスのよい食事、適度な運動、頭部のけがを避けることは、健康全般の維持に役立ちます。
ワクチン
パーキンソン病を予防するワクチンはありません。
検診プログラム
パーキンソン病のための特別な健康診断はありません。気になる症状がある場合は、医療機関を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 重度の動作障害により、日常生活が困難になる
- 転倒による骨折や頭部外傷
- 飲み込みの低下による誤嚥(ごえん)や肺炎
- 抑うつ状態や認知症の悪化
長期的な見通し
パーキンソン病はゆっくり進行する病気ですが、適切な治療とリハビリを続けることで、多くの人が長く自分らしい生活を送ることができます。研究も進んでおり、治療の選択肢は広がっています。医療チームと一緒に、無理のない目標を立てて進んでいきましょう。
サポートを探す
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。