がん治療後の片側の疲労感
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
がん疲労とは、がんそのものやがん治療によって起こる、つらい倦怠感(けんたいかん)のことです。多くの場合、体全体がだるく、休息しても十分に回復しないのが特徴です。一方で、体の片側だけに強い疲労感や重だるさを感じることもあります。これは、治療が神経や血管、リンパの流れに影響したことが原因になっている場合があります。症状の背景にはさまざまな要因が考えられるため、まずは医療者に相談することが大切です。
重要な事実
- がん疲労は、がん治療のあと数か月から数年続くことがあります。
- 片側に強く出る場合は、神経やリンパのトラブルが原因のことがあります。
- 安静にしても改善しないことがあり、適切なケアと生活の工夫が必要です。
- 症状は正確に伝えることで、最適な支援を受けられます。
がん体験者の多くは、治療中または治療後に疲労を経験します。しかし、片側だけに強く症状が出る場合は、必ずしも多くはありません。重要なのは、「いつから」「どのように」出ているかを医療者に伝えて、原因を調べてもらうことです。
どの年齢のがん体験者にも起こり得ます。特に、手術や放射線治療を体の片側(たとえば乳腺や肺など)に受けた方に、同じ側の腕や脚の重だるさとして現れることがあります。性別やがんの種類に関わらず、治療内容によって症状が変わるため、注意が必要です。
症状
- 突然、片側の顔や手足のまひ・脱力が現れた
- 言葉がろれつ回らず、うまく話せない
- 片側の視界が見えにくい・視野が欠ける
- 今までにない激しい頭痛を伴う
- これらの症状が1つでもある場合は、ためらわず119番に電話してください。
- ⚠急に片側のだるさやしびれが強くなった
- ⚠片側の腕や脚が大きく腫れてきた
- ⚠発熱や寒気をともない、だるさが強い
- ⚠痛みやしびれで眠れない・日常生活が送れない
- ⚠これらの場合は、当日中に医療機関へ連絡しましょう。
一般的な症状
- 片側の腕や脚が重くだるく、動きにくい
- 片側だけにしびれやピリピリとした感覚がある
- 片側のむくみが気になる(朝と夕方で変化する)
- 片側に力が入りにくく、細かい動作がしづらい
- 全身の疲労に加えて、片側が特に痛む・こわばる
子供の症状
- 小児の場合、正確に症状を言葉にできないことがあります。普段と違って片側の手足をかばう、遊びを嫌がる、転びやすくなったなどの変化に気づいたら、早めに医療者へ相談してください。
高齢者の症状
- 高齢者はもともと転倒や筋肉低下が心配なため、片側の重だるさや力の低下は日常生活の自立に影響します。また、脳卒中など別の病気の初期症状と似ていることもあるため、急に現れた場合はすぐに医療機関を受診してください。
原因
主な原因
- がん治療による神経のダメージ(末梢神経障害と呼びます)
- 手術や放射線治療によるリンパ浮腫(リンパ液の流れが滞りむくむ状態)
- 神経や筋肉へのがんの影響(ただし、治療後であれば再発とは限りません)
- 貧血や栄養不良、体力低下が全身の疲労を強め、片側に目立つことがある
リスク要因
- 手術や放射線治療を体の片側に受けた
- 神経に影響を及ぼす可能性がある化学療法を受けた
- 長期間の安静や運動不足で体力が落ちている
- 睡眠不足、ストレス、栄養不足が続いている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 突然のまひや言葉の障害、激しい頭痛(この場合は119番へ)
- 胸部の痛みや息苦しさがある
- 意識がもうろうとする
定期受診を予約すべき場合:
- 片側の重だるさやむくみが数日以上続く
- しびれや感覚の低下が徐々に広がる
- 痛みがあって夜も眠れない
- 症状で仕事や家事に支障がある
診断
まず医師が問診と診察を行い、症状の現れ方やがん治療の経過を確認します。神経や血管、リンパの状態を評価するために、必要に応じて検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(貧血や栄養状態などを調べます)
- 超音波検査(むくみの原因を調べます)
- CTやMRIなどの画像検査(神経や組織の状態を確認します)
- 神経伝導検査(神経の働きを評価します)
診察で予想されること
検査の内容は症状に合わせて決まり、多くの場合は外来で行われます。検査時間は数十分程度で、痛みを伴う検査もありますが、医師や技師が説明しながら進めます。結果をもとに、原因の説明と対処法の提案があります。わからないことはその場で質問しましょう。
治療
片側の疲労感の治療は、まず原因を明らかにすることから始まります。原因が神経のダメージであれば神経の回復を助けるケア、リンパの浮腫であればむくみのケアなど、個別のプログラムを医療チームが作成します。薬による治療は医師の指示のもと行います。
自宅でのセルフケア
- 無理をせず、疲れを感じたらこまめに休息する
- むくみがあるときは、その部分を心臓より高くして休む
- 皮膚を清潔に保ち、保湿やケアを丁寧に行う
- 締め付ける衣服やアクセサリーを避ける
- 体重管理を心がける(急な増減がむくみに影響します)
医療治療
医師は必要に応じて、症状に合わせた薬(例:神経の痛みを和らげる薬や、むくみを改善する薬など)を処方することがあります。薬の名前や飲むタイミングは必ず医師・薬剤師の説明に従ってください。また、リハビリテーション(理学療法・作業療法)や、圧迫療法(包帯や弾性ストッキングを使用する方法)なども、症状の改善に役立つことがあります。
手術が検討される場合
手術が治療の第一選択になることはまれです。しかし、リンパ浮腫の症状が重度で、圧迫や運動などの保存的治療でも改善しない場合には、外科的な処置を検討することがあります。これについては、専門の医師とよく相談して決めます。
この病気と共に生きる
症状と上手につきあいながら生活する工夫が大切です。たとえば、重い物を持つ時は症状のない側を使う、動作の前に準備運動をする、休憩を取り入れるなどがあります。また、疲労感は「がん体験者にとって自然な反応」と理解し、自分を責めないようにしましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に起き、睡眠のリズムを整える
- 短時間の散歩やストレッチを医師の許可のもと行う
- タバコをやめ、アルコールは体の状態に合わせて控える
- 悩みを家族や友人の話す、または日記に書く
- 地域の患者サポートグループに参加する
食事と運動
食事は、赤身の肉や魚、卵、豆製品など良質なたんぱく質を意識してとり、野菜や果物でビタミン・ミネラルを補いましょう。水分は十分にとって、便秘の予防にも努めます。運動は、ウォーキングやサイクリングなど軽度~中等度のものを、体調を見ながら続けることが勧められています。ただし、めまいや強い痛みがあるときは中止して医師に相談してください。
精神的健康と心の健康
片側の症状が続くと、「どうして自分だけ」「また悪くなるのでは」という不安や、気分の落ち込みが生じることがあります。このような感情は自然なものです。信頼できる人に話す、医療チームに相談する、心理的サポートを受けるなどの方法があります。また、強い自責感や、自分を傷つけたくなる気持ちがわいた場合は、ためらわずに119番や医療機関へ相談してください。
予防
がん疲労自体を完全に予防する方法はまだわかっていません。しかし、がん治療の早い段階からリハビリや栄養ケア、睡眠やストレスへの対処を行うことで、重症化を防ぎ、片側の症状が生活に与える影響を小さくできる可能性があります。
ワクチン
インフルエンザや肺炎などの感染症は、体の消耗を増やし、疲労感を強めることがあります。がん治療中のワクチン接種は、主治医に相談して適切な時期に行うことが大切です。
検診プログラム
がん治療後は、再発や合併症を早期に見つけるために、定期的な通院と検査が大切です。医師がすすめる検査を続けましょう。
合併症
治療しない場合
- 片側の症状が悪化し、日常生活の動作が制限される
- リンパ浮腫が進行して、むくみや感染症のリスクが高まる
- 神経障害が進むと、感覚の回復が難しくなる可能性がある
- 眠れない・動けないことで、気持ちの落ち込みが強くなる
長期的な見通し
片側の疲労感は、原因が分かれば多くは適切なケアで改善します。がん治療後も、多くの人が生活の質を取り戻しています。症状に合わせたセルフケアと医療のサポートを組み合わせ、一歩ずつ前に進んでください。希望を持って取り組むことが、回復の力になります。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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