がん疲労(がん治療後の強い疲れ)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
がん疲労とは、がんそのものやがん治療が原因で起こる、つらいほどの疲れや倦怠感のことです。普通の疲れとは違い、十分に休んでもなかなか回復しないのが特徴です。がんを経験した方の多くが感じる、れっきとした症状の一つです。
重要な事実
- がん治療を受けている人の多くが経験する一般的な症状です
- 普通の疲れとは異なり、休んでも改善しにくいことがあります
- 気持ちの問題ではなく、体と心の両方に影響する医学的な症状です
- 適切な対処や支援によって、症状を和らげられることがあります
はい、とてもよくある症状です。がん治療を受けている方のおよそ8割が経験すると言われています。また、治療が終わった後も数か月から数年にわたって続くことがあります。
がんと診断された方、がん治療を受けている方、治療を終えた後(がんサバイバー)まで、幅広く影響をおよぼします。年齢やがんの種類を問わず、どんな方にも起こりうる症状です。
症状
- 急に意識がもうろうとする、呼びかけに反応しない
- けいれんが起きる
- 呼吸が苦しい、胸に強い痛みがある
- 自分を傷つけたい、死にたいという考えが強くある
- ⚠水分も取れないほどの吐き気や嘔吐が続く
- ⚠便や尿の出が突然悪くなる、異常に少ない
- ⚠38度以上の発熱が続く
- ⚠急な出血や、理由のない大きなあざができる
一般的な症状
- 休んでもとれない強い疲れ・だるさ
- 体が重く感じる、動き始めるまでに時間がかかる
- 集中力や記憶力が低下する
- ちょっとした活動で疲れ果ててしまう
- しっかり眠っても回復した感じがしない
- やる気が出ない、気分が沈む
子供の症状
- 普段のように遊べない、疲れやすい
- 学校に行くのがつらい、行きたがらない
- イライラしたり、ぐずったりすることが増える
- 食欲がなくなる、食べる量が減る
高齢者の症状
- 寝たきりに近い状態になりやすい
- 転倒のリスクが高まる
- 気力がなくなり、人と話すのもおっくうになる
- 混乱や物忘れが目立つようになる
原因
主な原因
- がん治療(手術、化学療法、放射線療法など)の影響
- がん自体が体の中で炎症や代謝の変化を引き起こすこと
- 貧血や栄養不足、体力の低下
- 睡眠が十分に取れない、睡眠の質が悪い
- 不安やうつなどの心の負担
- 痛みや吐き気など、他の症状や副作用
リスク要因
- 治療が長期間にわたる
- 複数の治療法を組み合わせている
- 治療前から疲れやすかった
- 夜なかなか眠れない
- 体を動かす習慣があまりない
- 精神的なストレスを抱えている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 疲れに加えて、意識がもうろうとする、息が苦しい、胸が痛むなどの症状がある場合は、すぐに救急車(119番)を呼んでください。
- 自分を傷つけたい、死にたいという考えがある場合は、そのままにせず、すぐに医療機関や相談機関に連絡してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 強い疲れが数週間以上続き、家事や仕事、通院などの日常生活に支障が出ている
- 食欲がなく、体重が減っている
- 夜眠れない日が続いている
- 気分の落ち込みが強く、何をしても楽しめない
診断
がん疲労を診断するための特別な検査はありません。医師があなたの疲れの程度、始まった時期、日常生活への影響を詳しくお聞きし、疲れの原因となる他の病気(貧血や甲状腺機能低下症など)がないかを確認しながら診断します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(貧血や炎症反応、栄養状態などを確認)
- 問診と疲労の程度を測る質問票
- 睡眠状態の評価(眠れているかどうか)
診察で予想されること
診察では、疲れの感じ方や1日の過ごし方、治療の経過、使用中の薬について尋ねられます。「こんなことで相談してよいのかな」と遠慮せず、感じていることをそのまま伝えることが大切です。必要に応じて、看護師や薬剤師、リハビリの専門家などにもつながります。
治療
がん疲労の治療は、原因となっている症状(貧血、痛み、睡眠障害、うつなど)への対処と、日常生活の工夫を組み合わせて行います。医師や看護師、薬剤師、理学療法士、心理の専門家などが連携し、あなたに合った方法を一緒に探していきます。
自宅でのセルフケア
- 無理をせず、休む時間をあらかじめ計画に組み込む
- 短い昼寝(15〜30分程度)は1日1回までにして、夜の睡眠を妨げないようにする
- 1日の中で行う活動に優先順位をつけ、ペース配分を工夫する
- 気分転換に軽いストレッチやその場での歩行を取り入れる
- 水分をしっかり摂り、バランスの良い食事を心がける
- 疲れが強い時は、家族や友人に助けを求める
医療治療
治療法としては、医師の指導のもとで行う有酸素運動(歩行やサイクリングなど)や筋力トレーニングが、疲労の改善に役立つというエビデンスがあります。また、認知行動療法やマインドフルネスといった心理的支援も、疲労への対処に効果が期待できます。薬を使う場合は、医師があなたの状態に合わせて安全性を確認し、適切に選択します(特定の薬の名前や用法をお伝えすることはできません)。
手術が検討される場合
がん治療のための手術を行った場合、手術後の回復期には疲労が特に強まることがあります。手術後は、リハビリテーションを行いながら少しずつ体力を回復させていくことが大切です。疲労があるからといって手術の選択が変わるわけではありません。手術の必要性はがんの治療方針に基づいて決まります。
この病気と共に生きる
疲れを「敵」にせず、「波」のように考えてみましょう。調子の良い日は少し活動を増やし、悪い日は休むことを優先するなど、自分のリズムを大切にしてください。完璧を目指さず、「できたこと」に目を向けると気持ちが楽になります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝るようにする
- 寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控える
- カフェイン入りの飲み物は午後からは控える
- 無理のない範囲で、散歩や軽い体操を日課にする
- 人に頼ることを恥ずかしがらず、「手伝ってほしい」と伝える
食事と運動
食事は、エネルギー不足を防ぐために、たんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品など)やビタミンを意識して摂りましょう。運動は、医師や理学療法士と相談しながら、歩行などの有酸素運動を週に数回、1回5〜10分から始めるのがおすすめです。無理はせず、体調に合わせて継続することが大切です。
精神的健康と心の健康
疲労が長く続くと、気分が落ち込みやすくなったり、不安やいらだちが強くなったりすることがあります。これは決して「弱さ」ではなく、症状の一部です。心のつらさは、がまんせずに医療者や相談窓口に伝えてください。
予防
がん疲労を完全に予防することは難しいですが、治療の前から無理のない範囲で体を動かす習慣をつけておくこと、睡眠を整えておくことで、疲労の程度を軽くできる可能性があります。また、治療中から疲れの変化を医療者に伝え、早めに対策をとることも大切です。
合併症
治療しない場合
- 日常生活の質(QOL)が大きく低下する
- うつ病や不安障害などの心の病気を併発しやすくなる
- 治療を続ける意欲が低下し、治療の中断につながることもある
- 体を動かさないことで筋力や体力がさらに衰え、疲れが悪循環する
長期的な見通し
がん疲労は、がん治療が終わると多くの方で時間とともに改善していきます。ただし、中には長く続く方もいます。適切な支援や対処法を身につけることで、生活の質を取り戻すことは十分に可能です。希望を持って、一歩ずつ取り組んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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