抗がん剤治療中、食事のあとのつらさへの対処法
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
抗がん剤(化学療法)の治療中、食事をしたあとには、吐き気やおう吐、食欲の低下、下痢や便秘、味の変化などが起こることがあります。これは、抗がん剤ががん細胞だけでなく、食べ物を消化する胃や腸の細胞にも影響するために起こる、治療にともなう副作用のひとつです。治療を続けながら、食事を楽しめる方法を見つけていくことが大切です。
重要な事実
- 抗がん剤の副作用は、治療の途中で変化し、数日で改善することがよくあります。
- 食事のあとの吐き気やだるさは、食べる量や時間を変えることで和らぐことがあります。
- 副作用のつらさは我慢しなくて大丈夫です。担当の医師や看護師に早めに相談しましょう。
- 輸液(点滴)や薬の調整など、副作用を和らげるための方法が医療側にもあります。
はい、とてもよくあることです。抗がん剤治療を受けている人の多くが、食事のあとや治療中の数日間に、吐き気や食欲の低下などの副作用を経験します。程度は人によってさまざまで、まったくない人もいます。
抗がん剤治療を受けているすべての人がなる可能性がありますが、特に強い抗がん剤を使用する場合や、治療を長く続けている場合にあらわれやすいです。年齢や体調、治療の種類によっても異なります。
症状
- 食事のあと突然、激しい腹痛やおう吐が続いて、水分も受けつけない
- 吐いたものに血が混じっている
- 便に血が混じっている、または黒い便が出る
- 息苦しさ、胸の痛み、意識がもうろうとする
- 38度以上の発熱が続く(感染症の可能性があります)
- ⚠吐き気や下痢がひどく、水分がほとんどとれない
- ⚠1日以上ほとんど食事がとれない
- ⚠体重が急に減っている
- ⚠口の中の痛みやただれが強く、つばを飲み込むのもつらい
- ⚠便が3日以上出ず、お腹が張って痛む
一般的な症状
- 食事のあとに起こる吐き気や気持ち悪さ
- 食欲がわかない、食べてもおいしく感じられない
- 味覚の変化(金属のような味がする、苦く感じるなど)
- 下痢や便秘
- 食後のおなかの張りや痛み
- 食後の強いだるさ(疲れやすさ)
子供の症状
- 食べたものをすぐに吐いてしまう
- 体重が減る、まったく食べようとしない
- 食後にぐったりして元気がない
- 口の中の痛みを訴えて食事を嫌がる
高齢者の症状
- 食べる量が極端に減る、水分も取れなくなる
- 下痢が長く続いて脱水を起こしやすくなる
- 便秘によるお腹の張りが強く出やすい
- 薬の影響で意識のぼんやりやめまいが出やすい(口の渇きや低血圧にも注意)
原因
主な原因
- 抗がん剤が、胃や腸などの消化管の細胞を一時的に傷つけるため
- 抗がん剤が脳の吐き気をつかさどる部分に働きかけるため
- 吐き気を抑える薬を使うことで、便秘や下痢が起こるため
- 治療によるストレスや不安が食欲に影響するため
リスク要因
- 抗がん剤の種類や投与量
- 治療の回数(回を重ねるごとに症状が出やすいことがある)
- もともと胃腸が弱い方
- 年齢(小児や高齢者は影響を受けやすい)
- 治療中の体調や栄養状態
- 他の薬を併用している場合
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 吐き気や下痢がひどく、水分もとれないとき
- 38度以上の発熱があったとき
- 便に血が混じるとき
- 激しい腹痛があるとき
定期受診を予約すべき場合:
- 吐き気や食欲の低下が続いて体重が減っているとき
- 味覚の変化や口内炎で食事が楽しめないとき
- 便秘や下痢が長く続くとき
- 次の治療が始まる前に、副作用のつらさを相談したいとき
診断
「食事のあとの副作用」は、特別な検査で診断するというより、あなたの症状の様子や治療のスケジュール、身体の状態を医師や看護師が聞き取り、評価して対処法を決めていきます。必要に応じて、脱水や栄養の状態を調べるための血液検査などが行われることもあります。
行われる可能性のある検査
- 問診:症状の始まり、程度、食事の内容、治療との時間関係を確認します
- 身体診察:お腹の張りや痛み、口の中の状態を確認します
- 血液検査:脱水や栄養状態、臓器の働きを確認します
- 必要に応じて、腹部エコーやCT検査などを行い、他の原因がないかを確認することもあります
診察で予想されること
診察では、最近の食事の内容や量、吐き気や便の状態を詳しく聞かれます。日記をつけておくとスムーズです。身体の状態を確認したあと、副作用を和らげるための方法を一緒に考えてくれます。
治療
治療の基本は、つらい症状をやわらげ、しっかり食べて体力を保てるようにサポートすることです。副作用を抑えるための薬の処方や、食事のとり方の工夫、点滴による栄養や水分の補給など、さまざまな方法があります。
自宅でのセルフケア
- 食事は一度にたくさん食べずに、1食の量を減らして回数を増やす(6回ほどに分ける)
- 消化のよい温かい食べ物や、のどごしのよい食品を選ぶ
- 脂っこいもの、香りの強いもの、刺激の強いものは避ける
- 食事の前に口をすすぐ、食べたあとはゆっくり休む
- 冷たいものや酸味のあるものは、吐き気が落ち着いているときに試す
- こまめに水分をとる(冷たい水、スポーツドリンク、お茶など、飲みやすいもので)
- 調味料や香辛料を工夫して、味覚の変化に対応する(だしの味を強める、酸味を足すなど)
医療治療
医師は、吐き気やおう吐を抑える薬、下痢や便秘を整える薬、口内炎の治療薬などを、あなたの症状に合わせて処方することがあります。これらの薬は食事とのタイミングを考えて使うことが大切です。また、食事が十分とれない場合には、栄養の補給や脱水の改善のための点滴が行われることもあります。必ず医師または薬剤師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
通常、食事のあとの副作用に対して手術は行いません。ただし、吐き気や腹痛の原因ががん治療とは別の病気(腸閉塞など)による場合には、手術が必要になることもあります。この場合は担当医が詳しく説明してくれます。
この病気と共に生きる
治療中は、体調のよい日とつらい日の波に合わせて、無理のない生活リズムをつくりましょう。食事は「食べる時間」を治療のスケジュールに合わせてずらすだけでも楽になります。たとえば、治療の前は軽めにしておき、治療後は吐き気が落ち着く時間に食べるなど、自分なりのパターンを見つけていきましょう。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる(横になるだけでも胃腸の負担が減ります)
- ゆったりした服装で、お腹を締めつけない
- 食後はすぐに横にならず、しばらく座って過ごす
- 軽い運動や散歩は、食欲を促す助けになります(体調のよい日に行う)
- 吐き気が強いときは、部屋の換気をしてにおいを避ける
- 家族や友人に、手伝ってもらうこともひとつの方法です
食事と運動
食事は、エネルギーやたんぱく質を意識しながら、食べやすいものから始めましょう。おかゆ、うどん、スープ、豆腐、卵、白身魚、ヨーグルトなどは負担が少なくおすすめです。食欲がない日は、ゼリーやスープなどの水分が多いものでもOK。無理に食べる必要はありません。運動は、体調が落ち着いている日に、軽い散歩から始めるのがおすすめです。
精神的健康と心の健康
食事のつらさが続くと、治療がつらいと感じたり、気分が落ち込んだりすることもあります。これはとても自然な反応です。無理に明るく振る舞う必要はありません。つらい気持ちを家族や看護師、ソーシャルワーカーに話すだけでも心が軽くなります。
予防
すべての副作用を完全に防ぐことは難しいですが、事前に吐き気止めを使う「先制治療」や、食事のとり方を工夫することで、つらい症状の一部は防いだり、和らげたりすることができます。自分の体調を観察して、早めに対処することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 栄養が足りず、体重が減って体力が落ちる
- 脱水が進む(喉の乾き、尿が少ない、めまいなど)
- 下痢や便秘が長引いて、生活の質が下がる
- 吐き気が続いて薬が飲めなくなる(治療の継続が難しくなる)
- 口腔内のただれから、食べ物や菌が入って感染症のリスクが高まる
長期的な見通し
食事のあとの副作用は、多くの場合、治療のスケジュールや薬の調整、生活の工夫によってうまく付き合っていけます。つらい時期は続きますが、治療全体を乗り越えるための通過点ととらえ、できることから一歩ずつ始めましょう。完璧を目指さなくて大丈夫です。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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