抗がん剤治療による疲れ(ケモ疲れ)を理解する
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
抗がん剤治療(化学療法)を受けているときに現れる、強い疲れや倦怠感のことをいいます。普通の疲れとは違い、十分に休んでも回復しない、とてもつらいものです。
重要な事実
- 抗がん剤治療を受けている多くの人が経験する、代表的な副作用です。
- 疲れはがんそのものや治療の影響で起こるので、決して『気のせい』ではありません。
- 治療が終わると、多くの場合、ゆっくりと改善していきます。
はい、とてもよく見られる副作用です。抗がん剤治療を受ける多くの人が、程度の差はあれ疲れを感じます。
がん治療を受けるすべての人に起こる可能性があります。治療の種類や組み合わせ、治療期間、年齢、体調によって、疲れの強さや続く期間は人それぞれです。
症状
- 突然の胸の痛みや強い息苦しさ
- 呼吸が苦しくて話せない
- 意識がもうろうとする
- 激しいめまいで立っていられない
- けいれんや発作がある
- 自分を傷つけたい、死にたいという気持ちが強くある
- 救急車を呼ぶべきか迷う場合は、遠慮せず119番へ相談しましょう
- ⚠発熱がある(38℃以上)
- ⚠食事や水分がまったく取れない
- ⚠吐き気や下痢が続き、おしっこの量が減るなど脱水の心配がある
- ⚠いつもより急にひどくなる疲れやだるさ
- ⚠立ちくらみやめまいが続く
- ⚠あざや出血ができやすい
- ⚠夜眠れず、昼もぼんやりして毎日がつらい
一般的な症状
- 体が重く、だるい
- 何をするにもエネルギーが必要で、すぐ疲れる
- 眠っても疲れが回復しない
- 集中力が続かない、物忘れが増える(ケモブレイン)
- 食欲がわかない
- 気分が沈みやすい、イライラする
- 少し動いただけでも息苦しい
原因
主な原因
- 抗がん剤ががん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えるため
- 治療によって赤血球が減り、貧血(血液が酸素を運ぶ力が弱くなる)になるため
- 体の中で炎症を引き起こす物質が増えるため
- 食欲低下により、十分なエネルギーや栄養が取れなくなるため
- 睡眠の質が低下するため
- がん治療に対する不安やストレス、落ち込みが関係するため
リスク要因
- 治療期間が長い
- 抗がん剤治療と放射線治療を組み合わせている
- 子どもや高齢者である
- もともと疲れやすい体質や、心臓・肺・腎臓などの持病がある
- 睡眠不足や栄養不足
- 気分の落ち込みや過度のストレスを抱えている
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛み、息苦しさ、意識がもうろうとするなど、救急対応が必要な症状がある
- 高熱が出ている
- 自分を傷つけたいという気持ちが強い
- 便が黒い、血が混じる、血を吐くなど出血のサインがある
定期受診を予約すべき場合:
- 疲れが数日以上続き、日常生活に支障が出ている
- 食欲がなく、体重が減っている
- 寝ても疲れが取れず、夜も眠れない
- 気分の落ち込みが続く
- 疲れのために治療の継続が難しいと感じている
診断
医師があなたの疲れの状態を詳しく聞き、血液検査や体の状態を確認して診断します。疲れの原因が抗がん剤の影響なのか、貧血や甲状腺の病気など別の理由があるのかを調べます。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(血算、生化学、甲状腺の機能など)
- 体温・血圧・脈拍などのバイタルサイン測定
- 疲れの程度や日常生活への影響についての問診(疲れの日記など)
- 必要に応じて、心電図や胸部レントゲン検査
診察で予想されること
診察では、「いつから疲れが始まったか」「どんなときに悪化するか」「睡眠や気分はどうか」「食欲はあるか」などを聞かれます。事前にメモを用意しておくと、自分の状態を伝えやすくなります。
治療
疲れの原因や個々の状況に合わせて、休養、運動、栄養、心理的ケアなどを組み合わせて対処します。完全に疲れが消えなくても、程度を減らして毎日を過ごしやすくすることが目標です。
自宅でのセルフケア
- 疲れが強い日は無理をせず、休むことを優先する
- 短い昼寝(30分以内)を日中に取り入れる
- 毎日同じ時間に起きて、睡眠のリズムを整える
- 軽いストレッチや散歩など、無理のない範囲で体を動かす
- 水分と栄養をこまめに取る
- やることの優先順位をつけて、エネルギーを大切に使う
- 家族や友人、医療者に助けを求める
医療治療
疲れの原因となる貧血、痛み、吐き気、気分の落ち込みなどがあれば、それを改善するための治療が行われます。また、運動療法(リハビリテーション)や認知行動療法などのプログラムが効果を示すこともあります。どの治療が合うかは医師があなたの状況に合わせて説明します。
手術が検討される場合
がんの手術は抗がん剤治療とは異なる治療ですが、手術後の回復期にも疲れを感じることがあります。疲れが強い場合や長く続く場合は、担当医に相談しましょう。
この病気と共に生きる
疲れが強い日は休むことを第一にし、体調のよい日に少しずつ活動するようにしましょう。毎日の過ごし方に「ゆとり」を持たせ、人に頼ることも大切です。
生活習慣のアドバイス
- 疲れの程度や気分、睡眠、食事の記録をつける
- 昼寝をする場合は短時間にする
- 軽いストレッチや散歩を習慣にする
- お酒やたばこは控える
- 気分転換になる活動(音楽、読書、人との会話など)を取り入れる
- がん相談支援センターなどのサポートを活用する
食事と運動
バランスの良い食事を、食べられるときに分けて取るとよいでしょう。管理栄養士に相談しながら、体力に合った食事の工夫を見つけることもできます。運動も、理学療法士などの指導のもとで、短時間の散歩や軽い筋力トレーニングを少しずつ行うことが勧められます。水分をこまめに取り、脱水を防ぎましょう。
精神的健康と心の健康
がん治療中の疲れは、気分の落ち込みや不安と強く関係します。つらい気持ちを一人で抱え込まず、医療者や家族、友人に話してください。『死にたい』『消えたい』という気持ちが浮かんだら、すぐに信頼できる人や医療機関に連絡しましょう。
予防
抗がん剤治療による疲れを完全に防ぐ方法はありませんが、日常生活での工夫や適切なケアによって、症状を軽くしたり、生活の質を保ったりすることができます。
ワクチン
この疲れを予防するための特別なワクチンはありません。
検診プログラム
この疲れを早期に見つけるための検査はありませんが、定期診察で症状を伝え、早めに対処することが大切です。
合併症
治療しない場合
- 生活の質が大きく低下し、仕事や家事、趣味を続けられなくなる
- うつ状態や不安が強くなる
- 転倒やけがのリスクが高まる
- 治療の継続が難しくなる
- 人とのつながりが減り、孤立しやすくなる
長期的な見通し
抗がん剤治療が終わると、多くの人の疲れは数週間から数か月かけて徐々に和らぎます。中には長く続く人もいますが、対処法を知り、周りのサポートを得ながら、自分に合ったペースで生活を整えていくことができます。希望を持って、一歩ずつ進んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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