抗がん剤治療と吐き気~つらい症状をやわらげるために~
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
抗がん剤治療中に起こりやすい吐き気やおう吐のことを指します。治療のつらさの一つですが、適切な対処と薬で、ほとんどのかたは症状を抑えることができます。
重要な事実
- 吐き気は抗がん剤治療でよく見られる副作用です。
- 吐き気は我慢しなくてよい症状で、医療チームに相談すれば改善できます。
- 吐き気を予め防ぐ薬や生活の工夫があります。
はい。特に吐き気を起こしやすい種類の抗がん剤では、多くのかたが一度は経験します。ただし、現在は予防薬やケアが発達しており、以前よりは強くないことが増えています。
抗がん剤治療を受けるすべてのかたに可能性がありますが、若いかた、女性、乗り物酔いやつわりの経験があるかた、不安が強いかたは、吐き気が出やすい傾向があります。治療内容や体質によっても違いがあります。
症状
- 呼びかけに反応しない・意識がもうろうとしている
- 息苦しさが急に強くなる
- けいれんが起きる
- 血を吐く(コーヒーかすのようなものを吐くなど)
- ⚠1日以上、水分もとることができない
- ⚠尿がほとんど出ない・尿の色が濃い(脱水のサイン)
- ⚠立ち上がるとふらつく・めまいがする
- ⚠38度以上の発熱がある
- ⚠吐き気が数日続き、体重が減ってきた
一般的な症状
- 吐き気(むかつき)
- 食欲不振
- 胃の不快感・膨満感
- 体のだるさ
子供の症状
- 小児の抗がん剤治療では吐き気やおう吐が特に起こりやすいことがあります。
- 水分がとれずぐったりする、泣き続けるなどの様子があれば注意が必要です。
- 年齢に合わせた声かけや、食事の工夫が助けになります。
高齢者の症状
- 高齢者では脱水や低栄養になりやすくなります。
- 吐き気止めの薬によっては、ふらつきや眠気を強く感じることがあります。
- 持病や他に飲んでいる薬との関係に注意が必要です。必ず医療チームに相談してください。
原因
主な原因
- 抗がん剤が脳の吐き気を感じる部分を刺激するため
- 治療中に感じる不安や緊張
- 食べ物のにおいや味、視覚からの刺激
- 便秘などの体調の変化
- がんそのものの影響(脳や消化管など)
リスク要因
- 若い年齢
- 乗り物酔いや妊娠中のつわりを経験したことがある
- 過去の治療で吐き気が強く出た
- 一定の種類の抗がん剤を使用している
- 治療前から不安が強い
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 吐き気やおう吐がひどく、水分もとれない
- 尿が少ない、口が渇くなど脱水のサインがある
- 血を吐いた
- 高熱が出た
定期受診を予約すべき場合:
- 吐き気が続き、食事がとれない
- 吐き気を抑える薬を飲んでも十分に効いていない
- 体重が減ってきた
- 吐き気の記録を見せて今後の対策を相談したい
診断
医師や看護師が吐き気の程度や出現するタイミングを問診で確認します。抗がん剤によるものか、便秘や脳転移など他の原因によるものかを判断します。
行われる可能性のある検査
- 問診(いつから、どのくらい、どんなときに吐き気があるか)
- 血液検査(脱水・栄養状態・電解質バランスの確認)
- 必要に応じてCTや超音波などの画像検査
診察で予想されること
診察では、吐き気の起こる時間帯、食事や水分がどれくらいとれているか、普段の排便の状態などを聞かれます。吐き気が起きやすい治療薬がある場合は、その情報を共有し、予防の計画を立てます。不安や気になることは何でも伝えましょう。
治療
吐き気の治療は“予防”が基本です。抗がん剤治療を受ける前から、吐き気を抑える薬(制吐薬)を準備して使うことが多くあります。薬に加えて、食事や生活の工夫で症状をやわらげることもできます。
自宅でのセルフケア
- 1回の食事量を少なくし、何回かに分けて食べる
- 脂っこい料理や強い香りのある食べ物を避ける
- 冷たい料理・果物・ゼリーなど食べやすいものを選ぶ
- ゆっくり呼吸をする・好きな音楽を聞くなどリラックスする
- 食後すぐに横にならず、30分ほど座って過ごす
- こまめに水分をとる(微温湯・経口補水液など)
医療治療
医療機関では、吐き気を抑えるための薬(制吐薬)を内服や注射で使います。治療の前後や患者さんの状態に合わせて、複数の薬を組み合わせることもあります。吐き気が強く食事や水分がとれない場合は、点滴で栄養や水分を補うこともあります。薬の名称や量は医師が決めます。必ず指導に従ってください。
手術が検討される場合
吐き気そのものに対して手術を行うことは通常ありません。ただし、吐き気の原因が脳の転移や腸の閉塞など外科的な対応が必要な状態にある場合は、治療の一部として手術が検討されることがあります。
この病気と共に生きる
治療の周期に合わせて、吐き気が出やすい日と比較的落ち着く日が分かってくることがあります。吐き気の強い日は無理をせず家で過ごし、体調の良い日に外出や買い物を楽しみましょう。吐き気の起きた時間や強さを記録しておくと、受診時に役立ちます。
生活習慣のアドバイス
- 十分な休息をとり、疲れをためない
- 吐き気が比較的少ない時間帯に活動を組み立てる
- 少量の食事をこまめにとる
- 必要に応じて家族や地域の支援を活用する
食事と運動
食事は、冷たいものや酸味のあるもの、口当たりのよいものを選ぶと食べやすいことがあります。運動は、軽い散歩など無理のない範囲で行いましょう。強めの運動は吐き気を悪化させることがあるため、医師と相談してから行ってください。
精神的健康と心の健康
吐き気が続くと、眠れない、食べられない、治療への意欲が下がるなど、心身に大きな影響をおよぼすことがあります。つらい気持ちは当然のことです。一人で抱え込まず、家族や医療チームに話し、心理的なケアを受けることも考えてください。
予防
抗がん剤による吐き気は、ある程度予防できます。治療前から吐き気を抑える薬を決められたとおりに使うことが大切です。また、生活面の工夫やリラックス法も予防に役立ちます。過去の治療で吐き気が強かった場合は、そのことを医師に伝えておくと予防策を強化できます。
ワクチン
吐き気を直接予防するワクチンはありません。ただし、抗がん剤治療中は感染症にかかりやすいため、インフルエンザや肺炎球菌などのワクチンが勧められる場合があります。接種のタイミングは主治医と相談してください。
検診プログラム
定期的に血液検査や画像検査を行うことで、脱水や栄養不良など吐き気に関連する変化を早く見つけることができます。吐き気が続く場合、治療の合併症やがんの進行が原因でないかを確認するためにも、定期受診を守りましょう。
合併症
治療しない場合
- 脱水や電解質異常
- 体重減少・低栄養
- 倦怠感の悪化
- 抗がん剤治療の中断や延期が多くなり、治療の効果に影響する可能性
長期的な見通し
吐き気はつらい副作用ですが、ほとんどの場合、適切な対処でコントロールできます。我慢せず早めに相談することが、治療を安全に続ける力になります。医療の進歩により、吐き気の予防法は日々改善されています。希望を持って治療に取り組むことができます。
サポートを探す
地域の団体
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。