がん治療後の長く続く疲れ(がん疲労)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
がん疲労とは、がんやがんの治療によって起こる、強い疲れが長く続く状態です。普通の疲れとは違い、休んでもなかなか回復せず、日常生活に大きな影響をおよぼすことがあります。がんの治療が終わった後も、何か月も何年も続くことがあります。
重要な事実
- がん疲労は、実際の医学的な症状のひとつで、決して気のせいではありません。
- 休んでも改善しないことが多く、からだのエネルギーが不足したような感覚が続きます。
- 運動や生活の工夫などのサポートで、症状が和らぐことがあります。
- がん治療後1年以上続くこともありますが、時間とともに良くなる人が多いです。
- 疲れを我慢せず、医療者に相談することが大切です。
はい、とてもよくある症状です。がん治療を受けた人の4人に3人ほどが疲れを経験し、治療後も3人に1人ほどが長引く疲れを感じることもあると言われています。
年齢やがんの種類を問わず、がん治療を受けたすべての人に起こりうる症状です。特に、化学療法や放射線治療、手術などの複数の治療を受けた人に強い疲れが出やすい傾向があります。
症状
- 命に関わる次の症状が出たら、すぐに119番に電話してください:
- 呼吸が苦しくて息ができない
- 胸の強い痛みや圧迫感がある
- 突然、意識がもうろうとする、または呼びかけに反応しない
- 突然、片方の手足が動かない、またはろれつが回らない
- 大量の出血がある
- けいれんが止まらない
- ⚠熱がある(38度以上など)
- ⚠のどが渇き、水分が取れない、尿が極端に少ない
- ⚠新しい強い痛みが出た
- ⚠吐き気や嘔吐が続いて食事ができない、または下痢が続く
- ⚠疲れが急にひどくなり、立っていられない
一般的な症状
- からだが重く、だるく感じる
- 十分に眠っても、疲れがとれない
- 集中力や記憶力が低下する(頭がぼーっとする)
- 少し動くだけで息が切れたり、ぐったりする
- 仕事や家事、趣味の活動が難しくなる
- 気分の落ち込みやいらいらを感じる
子供の症状
- いつもより寝ている時間が長くなる
- 遊びや活動への意欲が減る
- 学校の課題や集団活動に参加するのがつらくなる
- 気分のむらが多くなる、または無口になる
高齢者の症状
- 足や腕の力が弱くなり、転びやすくなる
- 身の回りのことをするのがおっくうになる
- 物忘れが増えたように見える(実際は疲労による集中低下)
- 食欲が落ち、体重が減る
- 気分の落ち込みが強くなることがある
原因
主な原因
- がんそのものがからだに負担をかけている
- 手術、化学療法、放射線治療などの治療の影響
- 貧血や栄養不足(からだのエネルギーが作れない)
- 夜の睡眠が浅い、不眠
- 不安やうつなどの気持ちの影響
- 運動不足による筋力の低下
リスク要因
- 治療の期間が長かった
- 複数の治療を組み合わせて受けた
- もともと疲れやすい体質
- 高齢である
- ほかの病気(心臓病や糖尿病など)がある
- 仕事や家事、介護などの負担が大きい
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱が出た
- 息苦しさ、強い胸の痛みがある
- 急に意識がもうろうとする
- 立てないほどの強いだるさが出た
定期受診を予約すべき場合:
- 疲れが何週間も続き、日常生活に支障がある
- 疲れがだんだん強くなっている
- 眠れない、または寝ても疲れがとれない
- 気分の落ち込みが続き、楽しみが感じられない
- 体重が大きく減った、食欲がない
診断
疲労がほかの病気(貧血や甲状腺の問題、うつなど)によるものではないかを確認し、症状の経過や生活への影響を詳しく伺って診断します。疲れそのものを測る特別な検査はありません。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(貧血や甲状腺機能などの確認)
- 栄養状態の評価
- 睡眠状態についての質問票や睡眠日誌
- 必要に応じて、睡眠時無呼吸などの専門検査
診察で予想されること
診察では、疲れの程度、始まった時期、良くなったり悪くなったりする状況、仕事や家事への影響などを聞かれます。疲れの日記をつけておくと、医師に伝えやすくなります。
治療
がん疲労の治療は、原因となる症状(貧血や睡眠障害、不安など)を整えながら、からだと心の両面からサポートする方法を組み合わせて行います。医療者と相談しながら、あなたに合った計画をつくることが大切です。
自宅でのセルフケア
- 活動と休息のバランスをとる(無理をしない)
- 短い昼寝やリラックスの時間を決める
- 散歩やストレッチなど、無理のない運動を少しずつ
- 入浴やマッサージで温めて、血行を良くする
- 睡眠のリズムを整える(毎日同じ時間に起きる)
- 気分を共有できる家族や友人に話す
医療治療
医療機関では、疲れの原因となっている貧血や甲状腺の異常などを治療します。また、運動療法や認知行動療法といった心理面への働きかけ、作業療法やリハビリテーションなどが行われることもあります。症状に応じて、医師が処方できる薬もありますが、必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
がん疲労そのものに対して手術は行われません。ただし、がん治療に手術が含まれる場合、手術後の回復期に疲れを強く感じることがあります。術後のリハビリを進めることで、筋力の低下や疲労を減らすことができます。
この病気と共に生きる
毎日の優先順位を決めて、大事なことを先にするようにしましょう。家事や育児、仕事は周りの人に頼ることも大切です。疲れを感じたら、無理せず休憩をとることを許してください。むしろ、自分のペースを守ることが回復への近道です。
生活習慣のアドバイス
- できる範囲で体を動かす(ウォーキング、軽い体操、ヨガなど)
- バランスの良い食事を心がける(たんぱく質や野菜を十分に)
- お酒は飲みすぎない、たばこは控える
- カフェインは夕方以降は避ける
- ストレスをためないために、好きな本や音楽、自然散策などの時間を持つ
食事と運動
食事は、3食を無理に食べようとせず、少量を小まめにとるのがおすすめです。からだのエネルギーとなるたんぱく質(卵、魚、肉、大豆製品など)を意識してとりましょう。運動は、初めは1日5分の散歩から始めて、体調に合わせて時間を延ばしてください。運動の前後には水分補給を忘れずに。医師や理学療法士に相談しながら計画を立てましょう。
精神的健康と心の健康
疲れが続くと、気分が落ち込んだり、不安になったり、周囲に申し訳ないと感じることもあるかもしれません。がん疲労は心身ともに影響をおよぼす症状です。それらの感情があるのは自然なことです。一人で抱え込まず、医療者や相談機関、信頼できる人に気持ちを話すことが重要です。必要に応じて心理カウンセリングなどのサポートもあります。
予防
がん疲労は完全に予防することは難しいとされています。しかし、治療中から無理のない範囲で体を動かし、栄養をバランスよくとり、質の良い睡眠を心がけることで、疲れの強さを和らげたり、回復を助けたりすることができます。
ワクチン
がん治療後の免疫の状態は個人差があります。インフルエンザや肺炎などの予防接種は、医師と相談して受けることをおすすめします。
検診プログラム
がん疲労そのものに対する検診はありませんが、治療のフォローアップで定期的に診察を受けることで、再発やほかの健康問題を早く見つけることができます。
合併症
治療しない場合
- 日常生活が送れなくなるほど体力が低下する
- うつ病や不安症を発症するリスクが高まる
- 社会的な交流が減り、孤立する
- 筋肉の減少や骨密度の低下など、からだの衰えが進む
- 仕事や家庭での役割に影響する
長期的な見通し
がん疲労はつらい症状ですが、多くの場合、時間の経過とともに少しずつ改善します。適切なサポートと生活の工夫によって、多くの人が以前のような生活を取り戻したり、新しいペースを作ったりしています。あきらめずに、あなたのペースで一歩ずつ前に進んでいきましょう。
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- がん情報サービス ↗ · 日本全国(国立がん研究センター)
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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