慢性骨盤痛(長く続く骨盤の痛み)について
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
慢性骨盤痛とは、下腹部や骨盤まわりに半年以上、繰り返しまたは続く痛みがある状態のことです。子宮や卵巣、膀胱、腸、筋肉、神経など、いろいろな組織が関係して起こります。原因がひとつでないことが多く、はっきりしないこともありますが、症状を和らげる方法はあります。
重要な事実
- 慢性骨盤痛は、女性に比較的多く見られる症状です。
- 原因は、婦人科の病気だけでなく、消化器や泌尿器、筋肉・神経の問題など多岐にわたります。
- 治療は、原因を特定することよりも、痛みを和らげ、生活の質を高めることを目指します。
決してまれではありません。海外の研究では、女性の約20~25%が経験するという報告もあります。
思春期から閉経後の女性まで、幅広い年代で起こり得ます。特に20代から40代の出産可能年齢の女性に多く見られます。
症状
- 突然の激しい下腹部痛がある
- 大量の出血や意識もうろう、冷や汗、めまいを伴う
- 立ち上がれないほどの痛みがある
- 妊娠している可能性があるのに、激しい腹痛や出血がある
- ⚠痛みが日に日に悪化している
- ⚠発熱や吐き気を伴う
- ⚠痛みで排尿や排便ができない
- ⚠安静にしていても痛む
一般的な症状
- おなかの下に鈍い痛みや重だるさがある
- 生理のときに痛みが強くなる
- 性交時に痛む
- 排尿や排便のときに痛む
- 腰痛や背中の痛みがある
- 疲れやすい、気分が落ち込む
原因
主な原因
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫や卵巣のう腫
- 骨盤内炎症性疾患(感染症)
- 過敏性腸症候群(腸の働きの不調)
- 膀胱炎や間質性膀胱炎
- 骨盤底筋の緊張やけいれん
- 過去の手術や外傷による神経の変化
リスク要因
- 月経が始まって間もない年齢
- 出産を経験している
- 子宮内膜症などの婦人科疾患の既往
- 反復する感染症
- 長期間のストレスや抑うつ
- 過去に骨盤の手術や事故
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 痛みが強い、または長期間続く場合は、我慢せずに早めに受診してください。
- 上記の緊急症状がある場合は、すぐに救急車を呼んでください(119番)。
定期受診を予約すべき場合:
- 1か月以上、周期的または続く骨盤痛がある場合
- 日常生活に支障をきたしてきた場合
- 痛みに加えて、不妊や生理不順がある場合
診断
診断では、まず医師があなたの症状や経過について詳しく話を聞き、そのうえでおなかの触診や内診を行います。原因を探るために、いくつかの検査を行うこともあります。
行われる可能性のある検査
- 超音波(エコー)検査
- MRI(磁気共鳴画像)検査
- 血液検査・尿検査
- 感染症の検査
- 必要に応じて内視鏡検査や腹腔鏡検査
診察で予想されること
すべての検査を一度に行うとは限りません。痛みの原因やあなたの状態に合わせて、計画的に進められます。原因がすぐに分からない場合もありますが、つらい症状を伝えることが診断の第一歩です。
治療
治療の目的は、痛みをやわらげ、日常生活を取り戻すことです。原因がはっきりしている場合はその病気の治療を行い、原因が複数の場合は組み合わせて治療します。
自宅でのセルフケア
- おなかや腰を温める
- ゆっくりお風呂に入ってリラックスする
- 無理のない範囲で歩く、ストレッチをする
- 腹式呼吸などで呼吸を深くする
- 痛みの記録をつけて、つらい時間やきっかけを知る
- 十分な睡眠を心がける
医療治療
お薬を使う場合は、痛みを和らげるお薬や、ホルモンのバランスに働きかけるお薬などが検討されます。どのお薬を使うかは、症状や原因、年齢などを考えて医師が決定します。医師の指示に従って使用してください。
手術が検討される場合
原因となる病気(子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣のう腫など)があり、薬でコントロールが難しい場合には、手術が選択肢になることがあります。ただし、手術がすべての人に必要なわけではなく、リスクや利点をしっかり説明したうえで検討されます。
この病気と共に生きる
慢性の痛みは長い付き合いになることもあります。無理をせず、自分のペースで過ごすことが大切です。痛みが強くならない範囲で行動し、休息の時間も計画に入れましょう。
生活習慣のアドバイス
- 毎日の生活リズムを整える
- ストレスをため込まない工夫をする
- 趣味や好きなことで気分転換をする
- パートナーや家族に痛みのことを伝えて理解を求める
食事と運動
バランスの良い食事を心がけ、便秘を防ぐために食物繊維や水分を十分に取りましょう。血流を良くする、軽いウォーキングやヨガなどの運動は痛みの緩和に役立つことがあります。
精神的健康と心の健康
長く続く痛みは、不安や落ち込みなど心にも影響することがあります。それは決して「気のせい」ではありません。心のつらさを感じたら、一人で抱え込まずに医師や専門家に相談してください。
予防
すべての慢性骨盤痛を予防することはできません。しかし、感染症を防ぐこと、ストレスケア、定期的な婦人科検診を受けることは、原因となる病気の早期発見・早期治療につながります。
検診プログラム
子宮頸がん検診や婦人科検診を定期的に受けることは、骨盤痛の原因になる病気を見つける機会になります。
合併症
治療しない場合
- 痛みが慢性化し、日常生活や仕事、人間関係に支障をきたす
- 原因となる病気が進行する可能性がある
- 不眠やうつ状態など心身の健康を損なうことがある
長期的な見通し
原因がはっきりしないこともありますが、痛みを和らげ、生活の質を高める方法は数多くあります。治療には時間がかかることもありますが、多くの方が症状の改善を実感しています。希望を持って、一歩ずつ取り組んでいきましょう。
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重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
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最終更新: 2026年7月31日
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