長く続く不眠(慢性不眠症)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
長く続く不眠とは、十分な睡眠の時間があるのに、寝つきが悪い、夜中に目がさめる、朝早く目がさめる、ぐっすり眠れないなどの状態が、週に3回以上、3か月以上続くことをいいます。日中のだるさや集中力の低下など、生活に影響が出ることもあります。
重要な事実
- 不眠には「寝つきが悪い」「夜中に目がさめる」「朝早く目がさめる」という大きく3つのタイプがあります。
- 慢性不眠は、眠ろうと「がんばりすぎる」ことで、かえって悪化することがあります。
- 睡眠薬だけに頼るのではなく、行動や生活のリズムを見直すことが治療の中心です。
- 不眠に対する考え方や行動を整える「認知行動療法」は、日本の厚生労働省も推奨する効果の高い治療法です。
日本人の約5人に1人が何らかの不眠に悩んでいるとされています。そのうち約1割の人が長く続く不眠症であるといわれ、とても身近なこころの不調です。
大人やお年寄りに多く、特に女性は男性の約1.5倍といわれています。うつ病や不安症のある人、交代制勤務の人、ストレスの多い生活を送っている人にもよく見られます。
症状
- 眠れないと同時に、胸の激しい痛みや息苦しさがある
- 意識がもうろうとしたり、受け答えがおかしかったりする
- 自分を傷つけたい、死にたいという強い気持ちに襲われたときは、ためらわずに119番(救急)に電話してください
- ⚠不安や落ち込みがとても強く、身の回りのことができない
- ⚠眠れないことが原因で、仕事や家事・育児がまったくできない状態が続く
- ⚠家族に見守られながらも、危険な眠気でうつむきながら歩くことがある
一般的な症状
- 寝つくのに30分以上かかる
- 夜中に何度も目がさめる
- 朝早く目がさめて、その後眠れない
- 朝起きても疲れがとれない
- 日中、強い眠気や体のだるさがある
- 集中力や記憶力が落ちる
- いらいらしたり、気分が落ち込んだりする
子供の症状
- なかなか寝たがらず、寝つきが悪い
- 夜中に何度も起きる
- 朝起きられず、不機嫌になる
- 日中ボーッとする、注意力が続かない
- 落ち着きがなく、かんしゃくを起こすこともある
高齢者の症状
- 眠りが浅く、夜中に目がさめやすい
- 朝早く目がさめてしまう
- 昼間のうたた寝が増えて、夜眠れなくなる
- 腰痛や頻尿などで夜中に目がさめる
原因
主な原因
- 仕事や人間関係のストレス、強い心配ごと
- 不規則な生活リズム(夜更かしや交代勤務など)
- カフェインのとりすぎ、アルコールやたばこの習慣
- うつ病や不安症など、こころの病気
- 痛み、呼吸の苦しさ、頻尿などの身体の病気
- 睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群などの別の睡眠障害
リスク要因
- 女性であること
- 年齢が高いこと
- うつ病や不安症の既往があること
- 寝る前に明るい画面(スマートフォンやパソコン)を見ること
- 昼寝のしすぎや運動不足
- 寝室の環境が合わない(騒音・明るさ・温度)
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 自分を傷つけたい、死にたいという気持ちがあり、抑えられないときは、すぐに119番(救急)を呼んでください。
- 眠れないことでこころが限界に近く、家族や友人に助けを求められないときも、緊急性が高いと考えます。
定期受診を予約すべき場合:
- 不眠が1か月以上続いている
- 眠れないことで日中のだるさ、集中力の低下、気分の落ち込みなどが続く
- 睡眠薬をやめたい、または減らしたい
- 家族から「いびきがひどい」「呼吸が止まっている」と指摘されている
診断
医師があなたの話をじっくり聞き、睡眠の記録や質問票をもとにして診断します。必要に応じて、身体の病気やこころの病気が原因になっていないかを調べます。
行われる可能性のある検査
- 睡眠日誌(1週間程度、寝た時間や起きた時間、夜中の目ざめなどを記録する)
- 不眠の質問票(アテネ不眠尺度などを使うことがあります)
- 血液検査(甲状腺の病気や貧血、血糖の状態を調べます)
- 睡眠検査(家庭での簡易検査や、必要な場合に睡眠時の脳波や呼吸を調べる検査を行います)
- 心理評価(気分やストレスの状態を詳しくチェックします)
診察で予想されること
診察では、あなたの睡眠習慣や生活習慣、こころの状態を順番にうかがいます。気になることや聞きたいことをメモに書いてきても大丈夫です。無理な検査ではありませんから、安心して相談してください。
治療
慢性不眠の治療は、薬だけに頼るのではなく、睡眠に関する考え方や生活リズムを整えることが中心です。医師や専門家と一緒に、あなたに合った治療を見つけていきます。
自宅でのセルフケア
- 毎朝、だいたい同じ時刻に起きるようにしましょう。
- 起きたら日光を浴びて、体内時計を整えましょう。
- 寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見ないようにしましょう。
- カフェインは午後からは避け、アルコールやたばこも控えましょう。
- 昼寝をするなら30分以内にし、夕方以降はすごしません。
- 横になっても眠れないときは、一度起きて軽い読書や深呼吸などでリラックスしましょう。
- 寝室は暗く、静かで、快適な温度に保ちましょう。
医療治療
症状がつらいときは、医師の指示に従って、短期間の処方薬を使うこともあります。また、不眠に対する考え方や行動を見直す認知行動療法は、薬と同じくらい効果があるとされ、日本の厚生労働省の指針でも推奨されています。くわしくは、医師や薬剤師にご相談ください。
手術が検討される場合
慢性不眠で手術が必要になることはありません。
この病気と共に生きる
慢性不眠は、あきらめずに少しずつ取り組めば改善するものだと考えてください。すべてを完璧にしなくても、小さな工夫を続けることがだいじです。焦らず、できることから取り組みましょう。
生活習慣のアドバイス
- 就寝時刻にこだわりすぎず、朝の目覚めの時間を整えることを目安にしましょう。
- 寝る前にぬるめの入浴、深呼吸、やさしい音楽など、自分なりのリラックス方法を取り入れましょう。
- ストレスを一人で抱え込まず、信頼できる人に話してみましょう。
- 眠れないときは「今は休んでいるだけ」と切りかえて、起きていることを楽しむ工夫も役立ちます。
- 睡眠日誌をつけて、自分の変化に気づけるようにしましょう。
食事と運動
規則正しい食事は体内時計を整えます。朝食をしっかりとり、夕食は寝る3時間前までに済ませるのが理想です。軽めの運動(散歩やストレッチ)は昼間に行うと、夜の眠りを深くしてくれます。
精神的健康と心の健康
眠れないことはとてもつらい経験です。いらだち、不安、集中力の低下などを感じて当然です。つらいときは自分を責めずに、「今は調子が下がっているんだ」と認め、医療者や家族に助けを求めましょう。もし自分を傷つけたくなったら、ためらわずに119番(救急)を呼んでください。
予防
不眠のすべてを予防することはできませんが、規則正しい生活リズムやリラックスする習慣、ストレスへの上手な対処法を身につけることで、不眠のリスクを減らすことができます。
ワクチン
不眠を予防するためのワクチンはありません。
検診プログラム
健康診断では、睡眠時間や眠りの質についての問診があります。あてはまる症状があれば、早めに医師に相談しましょう。
合併症
治療しない場合
- うつ病や不安症などのこころの病気のリスクが高まります。
- 高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まります。
- 仕事や勉強の能率が下がり、人間関係にも影響が出やすくなります。
- 運転中の事故や作業中のケガのリスクが高まります。
- 免疫力が下がり、風邪をひきやすくなることがあります。
長期的な見通し
慢性不眠は、適切な治療と生活の見直しで改善する可能性が高い病気です。一人で悩まずに医師や専門家の助けを借りれば、多くのかたが眠りの質を取り戻せています。希望を持って、一歩ずつ取り組んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
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