長く続くトラウマ(心の傷)とは
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
トラウマとは、つらい体験によって心に受けた深い傷のことです。多くの人は時間とともに回復しますが、その傷が長く続き、生活に支障をきたすことがあります。このような状態を、この記事では「長く続くトラウマ」と呼んで説明します。
重要な事実
- つらい体験のあとに起こる反応は、決して「弱さ」ではありません。
- 症状は適切な支援や治療で改善することができます。
- 回復には時間がかかることもあり、焦らずに自分のペースで進むことが大切です。
長く続くトラウマは決して珍しいものではありません。誰にでも起こりうる反応です。
子どもから高齢者まで、あらゆる年齢、性別、背景の人に起こります。特に、繰り返し苦しい体験(虐待、暴力、災害、戦争など)にさらされた人はリスクが高くなります。
症状
- 自分や他人を傷つけたいという強い衝動がある
- 現実と区別がつかない幻覚や混乱がある
- 生命の危険を感じる状況にある(自ら命を絶とうとしているなど)
- 食事や睡眠がまったくとれない状態が続く
- ⚠症状が急に悪化した
- ⚠数日間ほとんど何も食べたり眠ったりしていない
- ⚠自分で自分を傷つけてしまった(またはその危険が高い)
- ⚠周りの人から見て明らかに異常な様子がある
一般的な症状
- つらい体験が突然思い出される(フラッシュバック)
- 悪夢を見る
- 体験を思い出させる場所や状況を避ける
- 常に緊張し、落ち着かない
- 眠れない、イライラする
- 集中できない
子供の症状
- 急にだっこを求めるようになるなど、赤ちゃん返りをする
- 遊びの中でつらい体験をくり返し再現する
- よく泣く、おびえる、ぐずる
- 夜驚(やきょう)や悪夢が増える
- 言葉や発達の遅れが見られることもある
高齢者の症状
- 体の痛みや不調として現れることがある
- 物忘れや混乱が目立つ
- 人との交流を避ける
- 食欲が落ちる、眠れない
- 孤立しがちになる
原因
主な原因
- 災害、事故、暴力、犯罪などの突然の出来事
- 虐待や家庭内暴力など、繰り返し続く苦しい体験
- 戦争や紛争などの恐怖の体験
- 大切な人との突然の死別
リスク要因
- 過去にトラウマ体験がある
- 周りに助けを求められる人がいない
- その後に生きづらさやストレスが続いている
- 心の病気にかかったことがある
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 症状が強く、日常生活が送れない
- 自分や他人を傷つける恐れがある
- 幻覚や強い混乱がある(緊急時は119番)
定期受診を予約すべき場合:
- 症状が1か月以上続いている
- 仕事や家事、学業に支障が出ている
- 自分一人で乗り越えられないと感じる
- 眠れない夜が続く、落ち込む、不安が強い
診断
医師や心理の専門家が、あなたの体験や症状について丁寧に話を聞き、心と体の状態を評価します。診断は血液検査などで決まるものではなく、会話と観察が中心です。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状や経過についての話)
- 心理の評価シート(質問票)
- 体の状態を確認するための診察(ほかの原因を除外するため)
診察で予想されること
初めての診察では、不安になることもあるかもしれません。無理に詳しく話す必要はありません。あなたのペースで話せます。必要に応じて信頼できる人に付き添ってもらっても構いません。
治療
治療の中心は、心の傷に寄り添いながら、安全に気持ちを整理していく心理療法(精神療法)です。症状が強い場合には、医師の指導のもとで薬を使うこともあります。
自宅でのセルフケア
- 安心できる場所や活動を探す
- 呼吸を整える、リラックス法を練習する
- 規則正しい睡眠を心がける
- 無理をしないで、小さな休息をとる
- あせらずに、つらい気持ちをひとりで抱え込まない
医療治療
心理療法には、認知行動療法やEMDRと呼ばれる方法があります。また、症状に応じて薬を処方されることもありますが、薬の名前や用量は医師が個別に決めるものです。必ずかかりつけの医師や精神科医に相談してください。
この病気と共に生きる
毎日を少しずつでも安心して過ごせるように、今日できることを見つけましょう。大きな目標ではなく、小さな達成を重ねることが回復につながります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日同じ時間に起きて、朝の光を浴びる
- 散歩や軽い運動で体を動かす
- お茶や食事をゆっくり楽しむ
- 趣味や好きなことに取り組む
- 夜はスマホやパソコンを控えめにする
食事と運動
栄養のバランスがとれた食事と、無理のない運動は、心の健康を支えます。1日20分程度の散歩だけでも気分転換になります。
精神的健康と心の健康
長く続くトラウマは、うつや不安、いらだちを引き起こすことがあります。そうした気持ちは自然な反応であり、専門的な支援を受けることで改善が期待できます。
予防
トラウマになる出来事を完全に防ぐことはできません。しかし、つらい体験の直後に安心できる環境と支援があれば、その後の症状をやわらげることができるかもしれません。
合併症
治療しない場合
- うつ病や不安障害を合併する
- お酒や薬に頼りたくなる
- 人間関係のトラブルが続く
- 不眠や体調不良が長引く
- 仕事や学業に支障が出る
長期的な見通し
回復には時間がかかることもありますが、多くの人は治療と支援を受けて、症状を和らげ、自分らしい生活を取り戻しています。希望をもって、一歩ずつ進むことができます。
サポートを探す
地域の団体
- 厚生労働省 こころの耳 ↗ · 日本
相談窓口
外部リンクは第三者のウェブサイトを開きます。Ruqelo は外部コンテンツについて責任を負いません。団体名の掲載は推奨を意味するものではありません。
必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
関連する疾患
情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
免許を持つ医療者のアドバイスを補うために使い、代わりにはしないでください。
症状が重篤、悪化、または緊急の場合は、地域の救急番号に電話するか、緊急医療を受けてください。