片側の卵巣を摘出した後の更年期(メノポーズ)
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
「片側の卵巣を摘出する手術」をしたあとに、のぼせや月経不順など更年期(メノポーズ)のような症状があらわれることを指します。残った卵巣の働きによって症状や経過は個人差が大きく、人によっては閉経が早まることがあります。
重要な事実
- 卵巣は左右にあるため、片方だけを摘出しても、もう片方の卵巣がホルモンをつくり続けます。
- 手術によって卵巣への血流が変わり、閉経が予定より早まることがあります。
- この状態は病気ではなく、体の自然な変化として捉えることができます。ただし、症状がつらいときは医療機関に相談しましょう。
片側の卵巣摘出は、卵巣のう腫や子内膜症などの治療のために行われるため、決して珍しくありません。手術後に早く閉経する人がいる一方、閉経が大きく早まらない人もいます。
妊娠可能な年齢の女性で、婦人科系の病気によって片側の卵巣を摘出した人が対象になります。手術を受けた年齢や残った卵巣の健康状態によって、影響の出方は変わります。
症状
- 突然の激しい腹痛、大量の出血、意識が遠くなる、胸の強い痛みや息苦しさがある場合は、すぐに119番に電話してください。
- ⚠38度以上の熱が続く、止まらない出血、強いめまいがある場合は、当日中に受診しましょう。
- ⚠吐き気や嘔吐が続き、水分がとれない場合も、早めに医療機関へ連絡してください。
一般的な症状
- ほてりやのぼせ(顔が熱くなる、体が急に暑くなる)
- 寝汗や不眠
- 月経周期の変化(不順・量の変化)
- 気分の落ち込みや不安感
- 性交痛(腟の乾燥など)
子供の症状
- この状態は大人の女性に起こるもので、子どもにはありません。
高齢者の症状
- 手術を受けた年齢が高い場合は、通常の閉経に近い症状が出やすくなります。
- 残った卵巣の働きが低下すると、骨密度の低下や脂質異常症などの健康リスクが高まることがあります。
原因
主な原因
- 片側の卵巣を摘出することで、卵巣の組織量が減り、作られるホルモンの量が低下するため。
- 手術による卵巣への血流の変化が、残った卵巣の働きに影響するため。
- 年齢とともに卵巣機能が自然に低下しているところに、手術という負担が加わるため。
リスク要因
- 手術時の年齢(35歳以上で影響が出やすい)
- 残った卵巣の状態(子内膜症や卵巣のう腫がある)
- がん治療(放射線治療や抗がん剤治療)の既往
- 家族に早い閉経の人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 大量の出血、激しい腹痛、めまいや意識の低下など、いつもと違う緊急の症状があれば、救急外来を受診してください。
定期受診を予約すべき場合:
- 手術後は定期的な検診を受けて、ホルモンの値や体調の変化を確認しましょう。
- のぼせや不眠、気分の落ち込みなどが日常生活に影響を及ぼしている場合は、婦人科で相談してください。
診断
医師が症状や手術の経過を詳しく聞き、必要に応じて血液検査で卵巣から分泌されるホルモンの値を調べます。これによって、卵巣の働きがどの程度あるかを評価します。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(FSH・エストラジオールなど)
- 骨盤の超音波検査(残った卵巣の状態を確認)
- 骨密度検査(必要に応じて)
診察で予想されること
検査結果に基づいて、医師が今の卵巣の働きや今後の見通しを説明します。あなたの症状や生活スタイルに合った、無理のない対策を一緒に考えてもらえます。
治療
治療の目的は、つらい症状をやわらげ、将来の健康リスクを減らすことです。残った卵巣をいたわりながら、あなたのペースで生活リズムを整えていきます。
自宅でのセルフケア
- 軽いウォーキングやヨガなど、無理のない運動を習慣にする。
- 入浴や深呼吸で、心と体をリラックスさせる時間をつくる。
- カフェインやアルコール、香辛料がのぼせを強める場合は控えてみる。
- 骨を強くするために、小魚や乳製品などカルシウムの多い食品を意識する。
医療治療
ホルモン補充療法(不足しているホルモンを補う方法)は、更年期症状や骨密度の低下を予防する効果がありますが、開始時期や個人のリスクなどを考慮する必要があります。また、漢方薬など症状に合わせた治療法もありますが、どの治療が合うかは医師と話し合って決めましょう。薬には医師が処方したものだけを使い、自己判断では変更しないでください。
手術が検討される場合
残った卵巣に腫瘍が見つかったり、がんの再発予防のためなど、医学的に必要と判断される場合には追加の手術が検討されることがあります。これは一部の場合であり、すべての人に必要なわけではありません。
この病気と共に生きる
毎日の体調の波を受け入れながら、つらい日は無理をせず、休むことも大切です。自分の状態を家族や友人に伝えておくと、周りの理解を得られやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 朝起きたらカーテンを開けて、太陽の光を浴びる。
- 就寝前はスマホやパソコンの使用を控え、ゆったりした時間をつくる。
- 好きな音楽を聴いたり、趣味に没頭する時間を持つ。
食事と運動
1日30分程度の散歩を目安に、続けられる範囲で体を動かしましょう。食事は野菜、大豆食品、小魚、乳製品を意識して、1日3食、規則正しくとるのが基本です。
精神的健康と心の健康
ホルモンの変化によってイライラや悲しみを感じやすくなることがありますが、それらはあなたの性格の問題ではありません。気持ちが重いときは、遠慮なく医師や保健師に相談してください。
予防
手術が必要な病気がある場合は、卵巣摘出そのものを防ぐことはできません。しかし、残った卵巣をいたわる生活習慣を整えることで、閉経が早まりすぎるリスクを下げられる可能性があります。
ワクチン
必要に応じて、インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種も検討しましょう。予防接種については、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
手術後は、定期的に婦人科検診を受け、残った卵巣や子宮の状態を確認することが推奨されます。また、血圧やコレステロールなどの健診もあわせて受けるようにしましょう。
合併症
治療しない場合
- 骨粗しょう症(骨の強度が低下し、骨折しやすくなる)
- 脂質異常症(悪玉コレステロールが増える)
- 心臓や血管の病気のリスク上昇
- うつ状態や睡眠障害が続く
長期的な見通し
症状は多くの場合、時間の経過とともにやわらいでいきます。困っている症状があれば、医療機関で相談することで、適切な対策を受けられ、今後も前向きに生活していくことができます。あなたの体の変化は、決して終わりではなく、新しいステージへの入り口ととらえてください。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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