更年期の症状が「出たり消えたり」するのはどうして?
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
更年期の症状が、日によって、または時間帯によって強くなったり弱くなったりする状態をいいます。閉経(最後の月経)の前後の時期はホルモンの分泌が不安定になるため、症状があらわれたりおさまったりを繰り返すのは自然なことです。いったん症状が落ち着いても、また出てくることがあるため、「出たり消えたり」しているように感じられます。
重要な事実
- 更年期とは、閉経の前後5年ずつの約10年間をいいます。
- のぼせや寝汗などの症状は、ホルモンの変動に刺激されて起こります。
- 症状の出方は人それぞれで、1日中続く人もいれば、1日に数回だけの人もいます。
- 「出たり消えたり」はよくある経過で、心配しすぎる必要はありません。
とてもよく見られる変化です。更年期を迎える女性の多くが、程度の差はあれ、症状の波を経験します。ある調査では、更年期の女性の約8割が何らかの症状を持つとされています。
おもに45歳から55歳ごろの女性に多いです。個人差が大きく、40代前半で始まる人もいれば、50代後半まで大きな変化がない人もいます。また、早い人では30代から「プレ更年期」と呼ばれる軽い症状を感じることがあります。
症状
- 突然の強い胸の痛みがある
- 息ができなくなるほど苦しい
- 顔の片側が動かない、または手に力が入らない
- 今までにない激しい頭痛がある
- 意識がもうろうとする
- ⚠1時間以上、生理用ナプキンを交換するほどの大量の出血がある
- ⚠閉経後なのに不正出血がある
- ⚠めまいや立ちくらみで立てない
- ⚠強い不安や落ち込みがあり、自分を傷つける考えが浮かぶ
一般的な症状
- 顔や体が急に熱くなる「ほてり」
- 寝ている間に汗をかく「寝汗」
- イライラや気分の落ち込み
- 疲れやすさ
- 眠りが浅い、朝早く目が覚める
- 肩こり、関節や筋肉の痛み
- 腟の乾燥や性交痛
原因
主な原因
- 閉経が近づくと、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)が減ることにより、脳の体温調節が乱れやすくなる。
- ホルモンの分泌は徐々に減るのではなく、増えたり減ったりしながら低下するため、症状に波ができる。
- 睡眠不足やストレス、体重の変化などが、症状を強めたり引き出したりすることがある。
リスク要因
- 運動不足
- 慢性的なストレス
- 卵巣の摘出など、婦人科の手術を受けたことがある
- 家族に更年期症状が重い人がいる
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 急な胸痛、呼吸困難、片側のまひなど、緊急のサインがある場合(すぐに119番)
- 大量の出血、または長期間続く不正出血
- 自分を傷つけたいという考えが浮かぶ
定期受診を予約すべき場合:
- のぼせや寝汗で眠れない日が続く
- イライラや気分の落ち込みが強く、仕事や家事に支障がある
- 腟の乾燥や性交痛で悩んでいる
- 生理の周期が乱れてきた
- 更年期症状かどうか自分で判断できない
診断
診察では、症状の内容や始まった時期、月経の状態を詳しくお聞きします。血液検査でホルモン値を調べたり、ほかの病気(甲状腺の異常や貧血など)を除外するための検査を行ったりすることがあります。症状がはっきりしていれば、血液検査を行わずに診断することもあります。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状や月経の状態)
- 血液検査(エストロゲンや卵胞刺激ホルモンなどの測定)
- 甲状腺機能や貧血の検査
- 子宮や卵巣の状態を確認する超音波検査(必要な場合)
診察で予想されること
診察室では、「いつ頃から、どのような症状があるか」を自分の言葉で伝えましょう。「最近、夜なかなか眠れない」「夕方になるとほてる」など、具体的だと伝わりやすくなります。更年期についての不安や疑問も、遠慮なく尋ねてください。
治療
治療の目標は、つらい症状を和らげて、日常生活を快適に送ることです。症状の強さや持病の有無、年齢に合わせて、治療法を医師と一緒に選びます。まずは生活習慣の見直しから始め、それでも改善しない場合に薬物療法を検討するのが一般的です。
自宅でのセルフケア
- 寝る前はカフェインを控え、部屋を涼しくして眠る
- 厚着をせず、重ね着で体温を調節する
- ゆっくり深呼吸をしてリラックスする時間を作る
- 気分が落ち込むときは、無理に元気に振る舞わず休む
- 日記やアプリで症状の記録をつける
医療治療
医療機関では、主にホルモン補充療法(不足する女性ホルモンを補う治療)が行われることがあります。のぼせや寝汗、腟の乾燥などに効果が期待できますが、既往症や年齢によっては使えない場合があります。このほか、漢方薬や、抑うつ症状に用いられる薬などが処方されることもあります。どの薬を選ぶかは、医師がその人に合わせて判断します。必ず医師の指示に従い、自己判断で使用しないでください。
手術が検討される場合
通常の更年期症状に手術は行いません。ただし、重い子宮筋腫や子宮内膜症などが原因で症状が強い場合や、卵巣の病気が疑われる場合は、手術が選択肢になることがあります。手術後に更年期症状が強く出る場合は、ホルモン補充療法などを医師と相談しながら進めます。
この病気と共に生きる
症状がある日は無理をせず、休める時に休むことが大切です。また、症状がない日を「治った」と考える必要はありません。長い目で見て、自分のペースで生活リズムを整えましょう。パートナーや家族に更年期について伝えておくと、理解が得られやすくなります。
生活習慣のアドバイス
- 毎日20分ほどのウォーキングなど、軽い運動を習慣にする
- 入浴はぬるめのお湯で、長湯をしない
- ストレスをためないよう、好きなことをする時間を作る
- タバコはやめる
- アルコールはほどほどにする
食事と運動
骨粗しょう症を予防するために、カルシウム(乳製品、小魚、大豆製品など)とビタミンD(魚、きのこなど)を意識して摂りましょう。運動は筋肉を保つだけでなく、気分転換にもなります。急激に体重を増やさないよう、3食バランスよく食べることも大切です。
精神的健康と心の健康
ホルモンの変動は、脳内の神経伝達にも影響を与えるため、イライラや不安、悲しみなどの感情が強くなることがあります。それは決して「気のせい」ではありません。自分の感情を否定せず、信頼できる人に話したり、気分が楽になる方法を見つけたりしてください。つらい気持ちが長く続くときは、ひとりで抱えず医療機関に相談しましょう。
予防
更年期そのものを予防することはできません。しかし、日頃から規則正しい生活とバランスのよい食事を心がけることで、症状を軽くしたり、生活の質を保ったりすることができます。また、定期的な健康診断を受けることで、更年期に起こりやすい骨粗しょう症や生活習慣病の予防にもつながります。
ワクチン
更年期に特有のワクチンはありませんが、年齢に応じた定期接種(インフルエンザ、肺炎球菌など)は受けるようにしましょう。予防接種についての詳しい情報は、お住まいの自治体やかかりつけ医にご確認ください。
検診プログラム
子宮頸がん検診や乳がん検診は、更年期世代こそ定期的に受けることが大切です。市区町村から送られる健診の案内を活用し、年に一度は婦人科検診を受けましょう。
合併症
治療しない場合
- 骨の中身がスカスカになる「骨粗しょう症」のリスクが高まる
- 悪玉コレステロールの増加や血圧の上昇など、心血管のリスクが高まる
- 気分の落ち込みが続き、うつ状態になることがある
- 腟の乾燥により、性交痛や膀胱炎を繰り返すことがある
長期的な見通し
更年期は、多くの女性が通る人生の通過点です。症状が強い時期があっても、適切なケアや治療で快適に過ごすことができます。また、閉経後はホルモンの変動が落ち着くため、症状が自然に和らぐ人も多いです。この時期を上手に乗り越えた先には、安定した日々が待っています。自分を大切にしながら、一歩ずつ進んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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