発熱としびれ
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
しびれとは、触った感じがにぶる、チクチクする、感覚がわかりにくいなど、体の感覚に変化が起きることです。これに発熱(熱)がともなう場合は、脳やせきずい、体のすみずみにのびる神経に、炎症や感染などの何らかの変化が起きているサインかもしれません。
重要な事実
- 発熱としびれが同時に現れることは、神経の病気のサインになることがあります。
- 多くの原因は治療が可能で、早く受診すれば回復の見込みが高まります。
- 急に悪化することがあるため、動けるうちに早めに医療機関へ相談することが大切です。
発熱としびれの組み合わせは、めずらしい症状です。多くは風邪などの感染症がきっかけで一時的に現れるものですが、まれに重い脳・神経の病気が原因になることもあります。
子どもと高齢者は感染症にかかりやすく、重症化することもあります。持病がある方や、免疫の働きが低下している方も注意が必要です。どの年齢でも起こり得るため、油断はできません。
症状
- 次の症状がひとつでもある場合は、ためらわずに119番(救急車)を呼んでください
- 高熱とともに、首がかたくてあごが胸につかない
- 激しい頭痛とおう吐が続く
- しびれやまひが急に全身に広がる
- 意識がもうろうとする、呼びかけに答えない
- けいれんや、全身のふるえが止まらない
- 呼吸が苦しい
- ⚠当日中に受診しましょう。かかりつけ医に電話で相談し、指示をあおいでください
- ⚠発熱に加えて、手足のしびれが数時間続く
- ⚠しびれがだんだん強くなっている
- ⚠ふだんの生活動作(歩く、服を着るなど)が難しくなってきた
一般的な症状
- 手足の指先や顔に、チクチクした感じや感覚がにぶる感じがある
- 38℃以上の発熱がある
- 頭痛や体のだるさがある
- 手足に力が入りにくい、動かしにくい
- 感覚が鈍くて、熱さや痛さがわかりにくい
子供の症状
- 熱が高くても、ぐったりして機嫌が悪い
- 首がかたくて、うつむけない(あごを胸につけられない)
- いつもと違い、呼びかけに反応しない
- 哺乳量が減る、食欲がない、おう吐する
高齢者の症状
- 熱は高くなくても、急にぼんやりして話がまとまらない
- いつもの場所で転びやすい、足がもつれる
- しびれに加えて、顔半分や手足のまひが出る
- 歩くときふらつく、急に眠気が強くなる
原因
主な原因
- 細菌やウイルスによる感染症(髄膜炎や脳炎など、脳やせきずいのまわりに炎症が起きる病気)
- 感染症のあとに、体の免疫が自分の神経を攻撃してしまう病気(ギラン・バレー症候群など)
- せきずいの炎症(脊髄炎)
- 強い脱水や電解質(体の塩分バランス)の乱れ
- まれに、高齢者では感染をきっかけに脳の血管のトラブル(脳卒中)が起こることもある
リスク要因
- 乳幼児や高齢者
- 免疫を弱める持病がある(糖尿病、腎臓病など)
- 予防接種を受けていない、または接種が遅れている
- 感染症にかかった直後(特に下痢やかぜのあと)
- 海外旅行など、感染症にかかる機会が増える状況
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 高熱が続き、それにともなってしびれが現れた場合
- しびれが数時間で強くなったり、手足の力が落ちてきた場合
- 治療中なのに症状が悪化する場合
定期受診を予約すべき場合:
- 熱は下がったが、しびれが数日続く場合
- しびれの感じが日によって変わる場合
- 健康診断や持病の通院のついでに相談したい場合
診断
医師はまず、症状の始まりや経過、これまでかかった病気、予防接種の状況などを詳しく聞きます。そのうえで、手足の感覚や力、反射、歩き方などに問題がないかを確認する神経の診察(神経学的検査)を行います。
行われる可能性のある検査
- 血液検査(炎症や感染の有無を調べる)
- MRIやCTなどの画像検査(脳やせきずいの状態を細かく見る)
- 腰椎穿刺(ようついせんし):背中の腰のあたりから細い針で、脳とせきずいを守る液(脳脊髄液)を少し採取して調べる検査
- 神経伝導検査:皮膚に電極を貼って電気刺激を加え、神経の働きを測る検査
診察で予想されること
検査の結果はすぐに出るものと、数日かかるものがあります。診断がはっきりするまでは、症状の変化を伝えることが大切です。不安なことは遠慮なく看護師や医師に質問してください。
治療
治療は原因によって異なります。感染症なら原因となる菌やウイルスへの治療、免疫の異常なら免疫の働きを整える治療が中心です。早く正確に原因を見つけて治療を始めることが、後遺症を防ぐ鍵になります。
自宅でのセルフケア
- 医師の指示がない限り、安静にして無理をしない
- 水分をこまめに取り、脱水を防ぐ
- 症状の変化(始まった時間、場所、強さ)をメモしておく
- しびれのある間は、車の運転や危険な作業を控える
- お酒やたばこは控えめにする(症状を悪化させることがある)
医療治療
細菌感染が原因の場合は抗生物質、ウイルス感染が原因の場合は抗ウイルス薬など、原因に合わせた治療薬が使われます。免疫の異常による神経の病気では、免疫の働きを調整する治療(免疫グロブリン療法=点滴で免疫を調整する成分を投与する方法や、血漿交換=血液の液体成分を取り換えて原因物質を取り除く方法)が行われることがあります。発熱や痛みに対する対症療法や、入院しての点滴、リハビリが行われることもあります。薬の名前や具体的な量は、必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
手術が必要になることはまれです。脳やせきずいのまわりに膿がたまって、神経を圧迫する場合などに限り、外科的な処置が検討されます。
この病気と共に生きる
退院後や治療中は、無理をせず、体調の変化を記録しながら日常生活を送りましょう。回復のペースは人それぞれです。かかりつけ医やリハビリの専門家と相談しながら進めることが大切です。
生活習慣のアドバイス
- 十分な睡眠と休息をとる
- 規則正しい生活リズムを維持する
- 手洗いやうがいを習慣にし、感染症を防ぐ
- ストレスをためすぎない(散歩や好きなことを楽しむ)
食事と運動
バランスのよい食事と十分な水分補給を心がけましょう。運動は、医師や理学療法士の許可が出てから、軽い散歩やストレッチなどから始めるのが安心です。しびれが強いときは無理をしないでください。
精神的健康と心の健康
原因がはっきりしないしびれは、「もしかして重い病気なのでは」という不安につながることがあります。話したい気持ちがあれば、家族や友人に話すだけでも気持ちが楽になることがあります。眠れない、気分が落ち込む、つらい気持ちが続く場合は、心のケアの専門家(精神科医や公認心理師など)に相談してみてください。もし「消えてしまいたい」という気持ちが浮かんだときは、ひとりで抱え込まず、すぐに信頼できる人や医療機関に相談してください。
予防
すべての原因を予防することはできませんが、予防接種と日ごろの感染対策(手洗い、うがい、十分な栄養と睡眠)によって、重い感染症のリスクを下げることができます。
ワクチン
日本では、厚生労働省が推奨する定期予防接種として、Hib(インフルエンザ菌b型)、小児用肺炎球菌、日本脳炎などがあります。これらは、細菌性髄膜炎や脳炎など重い脳・神経の感染症を予防するのに役立ちます。お子さんの予防接種のスケジュールは、かかりつけ医に相談してください。
検診プログラム
この症状に特化した定期健診はありません。大切なのは「発熱+しびれ」という組み合わせを軽く見ないことです。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診してください。
合併症
治療しない場合
- 神経の損傷が進み、しびれやまひが残る
- 難聴や視力障害など感覚の障害が残る
- 学習や記憶に影響が出ることがある(特に脳炎・髄膜炎のあと)
- まれに、呼吸をする力が弱まって命に関わることがある(ギラン・バレー症候群など)
長期的な見通し
発熱としびれの原因はさまざまですが、早く受診して正しい治療を受ければ、多くの人は症状が改善します。たとえ後遺症が残っても、リハビリや装具などで生活の質を取り戻せる方も少なくありません。あきらめずに、医療チームと一緒にゆっくり進んでいきましょう。
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必ず医師に確認してください
健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
教育上の注記: この情報は教育目的のみであり、診断ではありません。
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