突然の不安や恐怖に襲われる ― パニック症状が来たり治まったりするとき
国際的な診療ガイドラインに基づく
概要
「パニック」とは、突然、強い不安や恐怖に襲われて、動悸が激しくなったり、息が苦しくなったり、自分を抑えられなくなる感覚を指します。この症状は数分から数十分続き、波が引くように落ち着くこともあれば、また何度も繰り返すことがあります。パニック症状そのものは病気というより体のサインですが、何度も繰り返して生活に支障が出る場合は「パニック症(パニック障害)」と呼ばれることがあります。ここでは、診断をするのではなく、症状への理解と適切な対処のしかたを紹介します。
重要な事実
- パニック症状は心の病気の一つで、決して特別なことでも、恥ずかしいことでもありません。
- 突然の動悸や息苦しさは、心臓の病気の可能性もあるため、一度は医師に相談することが大切です。
- 適切な治療と自己対処で、多くの人が症状の改善を実感しています。
はい、とても一般的な症状です。国内の調査では、100人のうち数人が人生のある時点でパニック症状を経験すると報告されています。また、強いストレスやライフイベントの後に初めて起こる人も多く、決して珍しいことではありません。
どの年代の方にも起こりえますが、特に20代から40代の働き盛りの方に多く見られます。女性のほうが多いという報告もありますが、男性でも子どもでも高齢者でも起こる可能性があります。
症状
- 胸の強い痛み、押しつぶされるような胸の苦しさがある
- 呼吸がとても苦しく、息がほとんどできない
- 意識を失いそうになる、実際に倒れてしまった
- 顔色がまっ青で、冷や汗がひどい
- 自分を傷つけたい、死にたいという気持ちが強くある
- ⚠パニック発作が繰り返し起きて、生活や仕事に支障が出ている
- ⚠発作が長く続いて、1時間以上おさまらない
- ⚠発作がきっかけで家から出られなくなった
- ⚠発作中に怪我をしてしまった
一般的な症状
- 突然の強い不安・恐怖感
- 動悸(心臓がバクバクする)
- 息苦しさ、息が詰まる感じ
- めまい、ふらつき
- 手足のしびれ・ふるえ
- 汗が止まらない・のぼせ・悪寒
- 吐き気や胃の不快感
- 自分がコントロールを失う感じ・気が遠くなる感じ
子供の症状
- おなか(胃)が痛い、気持ちが悪いと訴える
- 頭痛や体の痛みとして現れる
- 学校に行きたがらない、親から離れたがらない
- 理由がわからない恐怖を感じる
- 夜なかなか寝つけない、悪夢を見る
高齢者の症状
- 動悸や息切れが症状として目立ちやすい
- 「何か悪い病気かもしれない」と不安になることが多い
- めまいから転倒への怖れを感じやすい
- 身体の症状が前面に出て、パニックとうつ状態が同時に起こることもある
原因
主な原因
- 強いストレス(仕事、人間関係、経済的な不安など)
- 過労や睡眠不足による心身の疲れ
- 大きなライフイベント(転職、引っ越し、出産、身近な人の死など)
- 過去のつらい体験やトラウマ
- 体調の変化(更年期、妊娠・出産、病気など)
リスク要因
- 生まれつき不安を感じやすい気質
- 家族にパニック症状や不安障害の人がいる
- カフェインの過剰摂取やアルコール・大量の喫煙
- もともと身体疾患(心臓や甲状腺など)で通院している
- 幼少期のストレスや虐待の体験
受診の目安
緊急で受診すべき場合:
- 胸の痛みや息苦しさが初めてで、少しでも心臓の病気が心配される場合
- 発作が頻繁に起こり、仕事や学校、家事ができなくなっている場合
- 自分を傷つけたい気持ちがある場合
定期受診を予約すべき場合:
- パニック症状が繰り返し起こるが、救急ほどではない場合
- 外出への不安が強くなってきた場合
- 症状について心配になり、自分で調べても不安がおさまらない場合
診断
医師は、あなたの症状の話を丁寧に聞き、家族歴やこれまでの生活状況も確認しながら診断を行います。パニック症状には身体疾患が隠れていることがありますから、脈拍や血圧、心電図、血液検査などで心臓や甲状腺などの問題がないかを確認します。
行われる可能性のある検査
- 問診(症状がいつから、どのような場面で起こるかなど)
- 心電図・脈拍・血圧の検査
- 血液検査(甲状腺ホルモンや貧血、電解質などの確認)
- 必要に応じて、心エコーなどさらに詳しい検査
診察で予想されること
診察は特別に入院が必要なものではありません。医師に「どんな時に、どんな症状が出るのか」を具体的に話せるように、メモを用意していくといいでしょう。診断は時間をかけて行われ、最初からはっきりしないこともあります。焦らずに通院しながら、体と心の両面から状態を整えていきます。
治療
パニック症状の治療は、お薬だけに頼るのではなく、ストレスへの向き合い方・考え方のバランスを整える心理療法(精神療法)と、ごく一般的な薬物療法を組み合わせることが基本です。治療の期間は人によって異なりますが、多くの場合、数か月のうちに症状は減っていきます。
自宅でのセルフケア
- 深い呼吸をゆっくりと練習する(息を吸うときは鼻から、吐くときは口から長めに)
- 発作が起きそうなときに、足の裏の感覚や周りの物の色など、五感を意識して「いまここ」に集中する
- カフェインやアルコールを取りすぎないようにする
- 睡眠時間を確保し、疲れをためない
- 発作が起きたら「あわてず、その場で呼吸を整える」と自分に言い聞かせる
医療治療
医師が症状や生活の状況に合わせて、不安や恐怖をやわらげるお薬や、抗うつ薬の一部を処方することがあります。これらのお薬は飲み始めに少し調整が必要なこともあり、効果が出るまでに時間がかかるものもあります。市販薬や自己判断でお薬を変えることは避けて、必ず医師の指示に従ってください。
手術が検討される場合
手術は通常必要ありません。
この病気と共に生きる
パニック症状は「波がある」ものです。調子のよい日は無理をせず、少し落ち着かない日は予定をゆるめるなど、自分のペースを作ることが大切です。また、発作が起きても「また来た」と良い意味で流せるようになると、次第に怖さが減っていきます。
生活習慣のアドバイス
- 規則正しい睡眠と起床時間を心がける
- ぬるめのお風呂にゆっくり入るなど、リラックスの時間を作る
- 軽い散歩やストレッチを日課にする
- 信頼できる人に気持ちを話す
- SNSや情報をチェックする時間を制限して、心を休める
食事と運動
バランスのよい食事を腹八分目にとり、特に朝ごはんを抜かないようにしましょう。また、早足のウォーキングなど適度な運動はストレスを減らし、心の安定に役立ちます。激しい運動はかえって動悸を強めることがあるため、軽く息が弾む程度から始めてください。
精神的健康と心の健康
パニック症状は「また起きたらどうしよう」という予期不安を引き起こし、心のエネルギーを奪うことがあります。そのため、うつ気分になったり、外出を避けるようになったりすることもあります。この変化はしばしば自分では気づきにくいものです。周囲の人から「最近元気がない」と指摘されたら、素直に受け止めて医療機関に相談しましょう。
予防
パニック症状そのものを完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、日頃からのストレス管理や十分な睡眠、適度な運動によって、発作の頻度や強さを減らすことは可能です。また、発作が起きても適切に対処する方法を身につけると、進行を抑えられます。
検診プログラム
心配な症状を抱えていても、健康診断の場でパニック症状が取り上げられることはほとんどありません。気になる場合は、健診の問診のときに医師へ伝えてみてください。
合併症
治療しない場合
- 発作を恐れて家の外に出られなくなる「広場恐怖」を伴うことがある
- うつ病や睡眠障害を合併することがある
- 仕事や学業、人間関係に影響が出る
- アルコールや市販の眠剤などに頼りがちになる
- 心臓や甲状腺など身体の病気を見逃すリスクがある
長期的な見通し
パニック症状はとても治療しやすい症状の一つです。多くの人は、心理療法とお薬による治療を続けることで、数か月から1年ほどで発作をほぼ感じずに生活できるようになります。「自分の人生がコントロールを取り戻せる」と希望を持って、まずは一歩を踏み出してみてください。
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健康ガイドラインは国や地域によって異なります。この記事の情報は国際的な臨床ガイドラインに基づいていますが、お住まいの国の具体的なガイドライン、薬、または診療慣行を反映していない場合があります。健康上の懸念は常にご自身の医師または医療提供者と相談し、利用可能な場合は地域の国家ガイドラインを参照してください。
重要なお知らせ この情報は教育目的にのみ提供されています。専門的な医療アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。ご自身の状況については、常に資格を持つ医療専門家にご相談ください。医療上の緊急事態が発生した場合は、直ちに最寄りの救急医療サービスに連絡してください。
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情報源とガイダンス
この記事は教育目的で、利用可能な場合は認知された健康情報および臨床ガイダンスの情報源を参照して作成されています。具体的な情報源リンクはトピックによって異なる場合があります。
最終更新: 2026年7月31日
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